2022年シーズンは大勢(巨人)、水上由伸(西武)のリリーフ投手が新人王を受賞。その2人と新人王を争った湯浅京己(阪神)や阿部翔太(オリックス)、宮森智志(楽天)、木澤尚文(ヤクルト)らも飛躍を遂げた。野手では長岡秀樹(ヤクルト)や上川畑大悟(日本ハム)、野村勇(ソフトバンク)など、多くの選手が台頭を見せた。
そこで今回は、2023年シーズンにブレイクを期待したい若手選手をセ・リーグ、パ・リーグから3人ずつピックアップ。第4回は読売ジャイアンツの山﨑伊織(やまさき・いおり)だ。
東海大3年時に春・秋連続MVP
山﨑は明石商業高では1年秋からベンチ入り。2年夏の兵庫大会に登板し、3回戦の明石西高戦では4安打完封勝利を挙げた。しかし決勝戦で滝川二高に敗れ甲子園はならず。同秋は兵庫大会優勝に貢献するも、ベスト4に進出した近畿大会では登板がなかった。
3年春の選抜でも同期のエース・吉高壮(現・日本生命)が3戦完投と、登板機会はなし。主に野手として出場した3年夏は決勝で市尼崎高に敗れ、2年連続準優勝となった。
その後、首都大学野球連盟の東海大に進学。2年春からリーグ戦に登板すると、3年時には春・秋連続でMVPに輝き、春は全日本大学野球選手権ベスト4進出に貢献。夏には侍ジャパン・大学日本代表にも選出され、第43回日米大学野球選手権大会優勝を果たした。
ドラフト上位候補として迎えた4年時、6月に右肘のトミー・ジョン手術を行い1年間登板がなかったが、ここまでの実績を高く評価され、2020年プロ野球ドラフト会議で巨人から2位指名を受け、プロ入りを果たした。
2年目は登板間隔を調整しながら安定した投球を披露
1年目の2021年シーズンはトミー・ジョン手術のリハビリに費やし、一軍、ファームとも実戦登板はなかった。故障が癒えて迎えた2022年シーズンはオープン戦で3試合に先発、10.1回を投げて1勝2敗、防御率6.97と打ち込まれたものの、開幕2戦目の先発に抜擢された。
迎えた3月26日の中日ドラゴンズ戦(東京ドーム)でプロ初登板初先発を果たした山﨑は、6回4安打3失点(自責2)の好投。チームを開幕2連勝に導く投球を見せた。
その後は間隔を調整しながら、月に3試合前後のペースで登板。4月28日の横浜DeNAベイスターズ戦(横浜スタジアム)では6回3安打無失点の好投、打席でも自らを援護するタイムリーを放ち、プロ初勝利を手にした。
7月は2試合12回を投げて0勝0敗、防御率2.25、8月は4試合25回を投げ、2勝1敗、防御率1.44と夏場にかけて好投。シーズン終盤には中継ぎ登板で打ち込まれる場面もあったが、20試合(うち先発17)に登板、97.1回を投げて5勝5敗、1ホールド、55奪三振、防御率3.14と、実質1年目のシーズンで好成績を残した。
先発ローテーション入り・規定投球回クリアが期待される2023年
最速153キロのストレートに、スライダー、カットボール、ツーシーム、シュート、フォークなどのコンビネーションが武器の山﨑。ホームベースの「左右」、打者の内外角を攻めて打ち取る投球が持ち味だ。
2022年シーズンは防御率3.14という数字を残したが、その一方でクオリティ・スタート(QS:6回以上自責点3以下)率は47.1%と半分を下回る結果となった。これには1試合あたりの投球回数が大きく影響している。
17試合に先発した山﨑だったが、6回以上を投げたのは8試合。その全てで自責3以内でQSを達成しているが、残りの9試合は6回に届かず降板している。崩れることは少ないが、長い回を投げることも少なかった。
故障明けで登板間隔や球数を制限された中での投球となったが、ここをクリアして先発ローテーションを守り、規定投球回をクリアできるかが課題となる。
巨人では2022年シーズン、山﨑に加えて堀田賢慎、戸田懐生、赤星優志、大勢、平内龍太、直江大輔、井上温大といずれも入団4年目以内の8投手がプロ初勝利をマークした。若手の活躍は嬉しいニュースだが、先発ローテーションが定まっていないとも言える。
制限のある中でもシーズンを完走し、一軍で戦えるだけの実力は示した山﨑には「2年目」の飛躍が期待される。