野球の世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。2023年大会は3月8日に幕を開け、1次ラウンドは世界各地で熱戦が繰り広げられる。ここでは侍ジャパン(野球日本代表)のいるプールBにフォーカスし、海外ブックメーカーのオッズとともに各チームの評価を紹介する。
1次ラウンド予想・プールBオッズ一覧
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1次ラウンド突破チームのオッズ(上位2チーム)
日本:1.01
韓国:1.10
オーストラリア:7.50
中国:23.00
チェコ:29.00
首位チームのオッズ
日本:1.15
韓国:4.33
オーストラリア:34.00
中国:81.00
チェコ:101.00
■侍ジャパン(野球日本代表)の予想・評価
野球日本代表、侍ジャパンは最も多くの人がプールBを首位で通過すると予想している。それもそのはず、過去4度行われたWBCにおいて、優勝回数は最多の2回。そのほかの国際舞台においても、2019年のプレミア12で優勝、2021年の東京オリンピックで金メダルと輝かしい成績を残している。
侍ジャパンはプールBのみならず、優勝予想でも上位にランクインしている。オッズはドミニカ共和国の「3.00」に次ぎ、アメリカと並ぶ「3.50」。さらに次点のプエルトリコが「11.00」であることを考えれば、優勝争いはこの3カ国が中心になっていると考えていいだろう。
侍ジャパンは、多くの人が優勝候補に推すだけの豪華戦力をそろえている。その筆頭に挙げられるのが大谷翔平だ。現侍ジャパン監督の栗山英樹が指揮を執っていた北海道日本ハムファイターズに入団し、その後はロサンゼルス・エンゼルスに活躍の場を移した。MLBでも常識を打ち破る二刀流で席巻し、2021年はMVPに選出されたほか、多くの表彰を受けた。2022年もその勢いはとどまることを知らず、シーズンをとおしてフル稼働した証でもある規定投球回、規定打席を史上初めて同時に達成。押しも押されもせぬスーパースターは、投打の両面で侍ジャパンのカギを握る存在だ。
そのほかにも、MLBからダルビッシュ有、吉田正尚、ラーズ・ヌートバーが参戦。特にダルビッシュは宮崎キャンプから合流し、最年長としてチームをまとめる役目も担っている。経験豊富な右腕は、その変幻自在のピッチングはもちろん、精神的支柱としての活躍も見逃せない。宮崎では投手陣による『宇田川さんを囲む会』を開催。ダルビッシュの影響力はすでに、グラウンドの中にとどまらない。
日本からは2年連続4冠、現在NPB最高の投手として呼び声高い山本由伸、史上最年少三冠王で“村神様”こと村上宗隆、昨年に完全試合を達成した令和の怪物こと佐々木朗希など、球界を代表する選手がそろった。史上最強の陣容とも称されるほどだ。
惜しむらくは左脇腹の負傷により、鈴木誠也が欠場となったこと。これまで侍ジャパンの4番に座り、2019年のプレミア12では大会MVPにも輝いた主砲。貴重な右打者でもあり、MLB組とNPB組をつなぐ架け橋となるような存在でもあっただけに、欠場によるダメージは小さくない。それでも、代替として緊急招集された牧原大成はセンターに加えて内野も守れるユーティリティな選手。昨シーズンは打率.301という数字も残しており、侍ジャパンの戦い方を広げる存在として重要な役回りを担うはずだ。
■韓国の予想・評価
1次ラウンド突破のオッズは日本に次ぐ「1.10」、首位突破も2番目の「4.33」と高評価を受ける韓国。WBCでは日本と決勝戦を戦った2009年大会の準優勝が最高成績で、前回大会はまさかの1次ラウンドで敗退を喫した。今大会はそのリベンジを懸けた大会でもある。
WBCでの成績は振るわなかったが、2019年のプレミア12は準優勝、東京オリンピックでは3位決定戦で敗れて4位と、強豪国であることは疑いようはない。
今大会にはダルビッシュの同僚のキム・ハソン、セントルイス・カージナルスのトミー・エドマンと、MLBから2選手が代表入りしている。エドマンはゴールドグラブ賞の受賞経験を持つ二塁手の名手で、遊撃手のキム・ハソンも高い守備力を誇る選手。大会屈指の鉄壁の二遊間として注目を集めるコンビだ。
そのほかにも、韓国は野手陣に多くのタレントがそろう。再注目はMLB入りが有力視されているイ・ジョンフ。6年連続で3割超えを記録しているほか、昨シーズンは打率0.349で首位打者かつ打点王(113打点)、MVPにも選ばれた逸材だ。MLB経験を持つパク・ビョンホもチーム随一の長打力を誇る。
■オーストラリアの予想・評価
日本、韓国と東アジアの野球大国に続く評価を受けているのがオーストラリアだ。1次ラウンド突破のオッズは「7.50」。台風の目となる可能性を秘めたチームだろう。
チームの指揮を執るのはかつて、「ディンゴ」の登録名で中日ドラゴンズに在籍していたデービッド・ニルソン監督。メンバーには国内リーグの選手に加え、マイナーリーガーの選手も招集されている。
滞在地の東京都府中市で大國魂神社へ参拝したり、ラーメンを楽しんだりといった様子も伝えられているオーストラリア。グラウンドの外でも話題を呼んでいるが、初戦の韓国戦で金星を上げられれば、それ以上のセンセーションを巻き起こしそうだ。
■中国の予想・評価
1次ラウンド突破のオッズは「23.00」と、前述の3チームと大きな差をつけられている中国。WBCには過去4大会に出場したが、いずれも1次ラウンド敗退に終わっている。
注目は昨年まで福岡ソフトバンクホークスでプレーしていた真砂勇介。ルーツが中国にあるため、中国語は話せないものの「大きな挑戦をしたい」と代表入りを決断したという。2012年にドラフト4位でソフトバンク入り。2022年までに180試合に出場し、2023年からは社会人の日立製作所でプレーしている。
■チェコの予想・評価
環太平洋地域のチームがグループの大半を占める中、唯一ヨーロッパから参戦するチェコ。予選でフランスやドイツ、スペインを下して本大会出場をつかんだ。
代表選手は野球以外に本業を持つアマチュア選手たち。その中でも、アメリカ出身のエリック・ソガードはオークランド・アスレチックスなどで活躍した元メジャーリーガー。シカゴ・カブスに在籍した2021年の以降MLBでのプレーはないが、金星のためには36歳のベテランの奮起が欠かせない。
■プールB勢力図まとめ
日本と韓国が頭一つ抜け出し、それをオーストラリアが追うという構図だ。韓国とオーストラリアは3月9日のオープニングゲームで対戦。ここでオーストラリアが勝利すれば、1次ラウンド突破争いは混沌としてくる。韓国は翌日にはライバル、日本との対戦も控えており、この2連戦が肝となる。
日本は中国、韓国、チェコ、オーストラリアの順で対戦していく。実力を発揮できれば、首位突破は固いと見ていいだろう。
国際舞台での実績の少ない中国、チェコは1勝が目標か。10日に行われる両者の対決も、WBCという国際大会ならでは楽しみな一戦だ。
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