スポーティングニュース選出ボクシング・ライトフライ級トップ12ランキング【2023年秋】:頂点に君臨する寺地拳四朗

2023-10-03
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Naoki Fukuda

去る9月中旬、寺地拳四朗がWBAスーパー・WBC世界ライトフライ(ジュニアフライ)級王座の防衛に成功し、同階級での強さを改めて示した。今、この108ポンド級世界戦線は、複数の日本人ファイターもひしめく軽量級においても指折りの激戦区となっている。

名門誌『The Ring』(リングマガジン)出身で本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが、スポーティングニュース選出ライトフライ級トップ12【2023年秋】を紹介する。

屈指の激戦区となったライトフライ級トップ12人

ライトフライ/ジュニアフライ級は僅か108ポンド(約49キロ)だが、この階級には優れたボクサーがひしめいている。

9月18日、寺地拳四朗は東京・有明アリーナにおいて元2階級世界王者のヘッキー・ブドラーを圧倒し、あらためてこの階級での無双ぶりを見せつけた。この勝利によって寺地はWBC、WBA、そして『The Ring』誌の世界ライトフライ級王座の防衛に成功し、パウンド・フォー・パウンド上位の座にも近づいた。

寺地だけではなく、この階級にはWBO同級王者のジョナサン・ゴンサレスと新鋭のIBF同級王者シベナティ・ノンティンガといった魅力的な世界タイトルホルダーがいる。無論、この2人は寺地の対戦相手候補リストに上がっている。それ以外にも可能性を感じさせる何人ものボクサーがスポットライトを浴びるチャンスをうかがっている。

スポーティングニュースでは格闘技専門チームのメンバーから意見を集め、独自のライトフライ級トップ12リストを作成した。

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12位:アービン・マグラモ

  • 戦績:17勝1敗1分け(11 KO)
  • 次戦の予定:予定なし

フィリピンに拠点を置くこのファイターはまだ名のある相手との対戦はない。しかし、直近5年間で無敗を誇り、確かな将来性を感じさせる。父メルビンは世界タイトルには届かなかったが、日本での試合経験もある元OPBF東洋太平洋フライ級王者で、さらにWBO世界フライ級王座決定戦で中谷潤人に敗れた兄のジーメルも含め、マグラモ一族はプロボクサーを多く輩出している。

マグラモは、この3年でWBO国内タイトル戦を3度こなした。次のステップを踏み出すことを求められている。そうなれば、我々は彼の潜在能力をもっとよく知ることができるだろう。

11位:レジー・スガノブ

  • 戦績:13勝1敗(4 KO)
  • 次戦の予定:ロナルド・シャコン、11月4日

スガノブもフィリピン人ファイターだ。高い成長曲線を描き、トップレベルへと踊りだしてきた。

IBF王者シベナティ・ノンティンガに唯一となる敗北を喫したものの、26歳のスガノブは将来を感じさせるボクサーだ。いずれも無敗だったアンディカ・ディ・ゴールデンボーイとマーク・ビセルズから勝利を収め、世界タイトルにまで手が届く位置に辿り着いた。これからも勝ち続ければ、さらなる大舞台が待っているだろう。

10位:ミエル・ファハルド

  • 戦績:11勝1敗2分け(10 KO)
  • 次戦の予定:予定なし

このフィリピン出身の23歳は目が離せない強打者だ。

なにしろ10KO勝ちのうち、1ラウンド目での決着が5回もあるのだ。6ラウンド以上戦ったことは4回しかない。プロ3戦目で敗北を喫し、2度のドローがある。まだ技術がパワーに追いついていないと言えるだろう。

しかし、ファハルドはこの階級では目を見張るほどのノックアウト・アーチストである。まだローカルタイトルを獲得した直後だが、粗さを補えるようになれば世界タイトル戦線で猛威をふるうだろう。

9位:岩田翔吉

  • 戦績:11勝1敗(8 KO)
  • 次戦の予定:予定なし

伝統的に日本は軽量階級に優秀なファイターを輩出してきた。2023年現在のライトフライ級もその例に漏れない。

岩田が喫した唯一の敗戦の相手は、現WBO王者のジョナサン・ゴンサレスだ。この27歳のハードパンチャーはその試合でも健闘し、経験豊かな王者を追い詰めた。

まだそれほど高い評価を受けるには至っていないが、岩田はその後も2試合をKO勝ちで飾っている。WBA・WBCランキングで2位、WBOでは1位に位置しており、ビッグファイトへの期待は高まるばかりだ。

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8位:ダニエル・マテリョン

  • 戦績:13勝1敗2分け(7 KO)
  • 次戦の予定:予定なし

カルロス・カニサレスに初の敗北を喫するまで、マテリョンの戦績は2016年と2017年の引き分け以外は完璧だった。

このキューバ人パンチャーは、今年6月10日、カニサレスと好勝負を繰り広げたが、バッティングによる2ポイントを失い、試合終了時にはテクニカル判定負けを宣せられた。これによりWBAタイトル挑戦権を失い、35歳になったマテリョンには多くの時間は残されていない。再起は急がねばならないだろう。

7位:カルロス・カニサレス

  • 戦績:26勝1敗1分け(19 KO)
  • 次戦の予定:なし

ベネズエラ人のカニサレスは元WBAレギュラー王者であり、世界タイトルも依然として視野にある。

2021年にエステバン・ベルムデスから喫したTKO負けで連勝記録は途切れた。しかし、この30歳はその後に4連勝している。そのなかにはガニガン・ロペス戦のTKO勝利とダニエル・マテリョン戦のテクニカル判定勝利が含まれる。

世界ランキングはWBAで1位、WBC・IBFで3位にあり、いつタイトルショットのチャンスを得てもおかしくない。

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6位:エルウィン・ソト

  • 戦績: 20勝3敗 (13 KO)
  • 次戦の予定:なし

この元WBO王者は長年に渡って着実な結果を出してきた。ただ世界レベルでの実力を証明する勝利は挙げていない。

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ソトは2021年にジョナサン・ゴンサレスから喫した敗戦によりWBOタイトルを失った。ベテランのヘッキー・ブドラーにも接戦の末に判定負けを喫し、寺地拳四朗への挑戦権を得ることができなかった。再起戦では同国人のブライアン・モシノスから疑問符がつくスプリット判定勝ちとなり、過去の実績を食いつぶしかけている。

ただ、このメキシコ人スターは現在26歳でまだ若い。2度目の世界王者になるためにも決定的な勝利が欲しいところだ。

5位:矢吹正道

  • 戦績:15勝4敗(14 KO)
  • 次戦の予定:なし

矢吹のキャリアはよくシンデレラ・ストーリーに例えられる。2021年に寺地拳四朗から挙げた番狂わせな勝利のおかげだ。しかし、この日本人パンチャーの実力は紛れもない。

寺地との再戦では敗れたが、その後、タノンサック・シムシーとロナルド・チャコンから連続TKO勝ちを収めた。チャコンに勝利したことで、IBF王者シベナティ・ノンティンガへの挑戦権も手にしていたが、5月の練習中に負ったアキレス腱断裂により世界戦が遠のいてしまった。

しかし、93%というKO率はライトフライ級で戦うどのボクサーにとっても脅威である。怪我を治し、このまま勝ち続ければ、世界タイトルに挑戦するチャンスがまた回ってくるだろう。

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4位:ヘッキー・ブドラー

  • 戦績:35勝5敗(11 KO)
  • 次戦の予定:なし

この歴戦のベテランは9月18日に寺地に敗れたが、まだキャリアを終えるつもりはないようだ。実績を考えれば、ふたたび世界タイトル戦線に這い上がってきても驚くには値しない。

ブドラーは16年間のプロ生活でミニマム級とライトフライ級の2階級で世界タイトルを獲得した。この南アフリカ人ボクサーのこれまでのベストバウトは、田口良一とエルウィン・ソトから挙げた勝利である。

35歳になったブドラーだが、闘志は衰えていない。元王者である知名度からすると、引退する前にもう一度大舞台のチャンスを引き寄せることができるだろう。

3位:シベナティ・ノンティンガ

  • 戦績:12勝0敗(9 KO)
  • 次戦の予定:エイドリアン・クリエル・ドミンゲス、11月4日

    ノンティンガはIBF王者だが、ライトフライ級においてはダークホース的な存在に見える。王者になるスキルを持つ一方、世界レベルでの経験は少ないからだ。それを別にすれば、この南アフリカ人は素早く、才能に恵まれ、そして威力ある右パンチを持っている。

    24歳のノンティンガはエクトル・フローレスとのタイトル戦においてポイントで上回り、同王座を獲得した。その後、レジー・スガノブに判定勝ちを収めて、タイトル防衛に成功した。勝負を決めたのは得意とする右パンチだった。

    このままノンティンガが勝ち続ければ、WBA・WBC王者の寺地との対戦が実現するだろう。興味深い対決になるはずだ。

    2位:ジョナサン・ゴンサレス

    • 戦績:27勝3敗1分け(14 KO)
    • 次戦の予定:レイマン・ベナビデス、10月27日

    この32歳のプエルトリコ人サウスポーは2011年にプロデビューして以来、着実に戦績を伸ばしてきた。キャリア初期ではフォームが安定しなかったが、試合を重ねるにつれて改善してきた。

    フライ級で当時WBO王者だった田中恒成に7回TKO負けを喫したあと、ゴンサレスはライトフライ級へ階級を下げた。この判断は賢明であったことは、のちに証明された。

    『Bomba』(爆弾)の異名を持つゴンザレスは、エルウィン・ソトを下してWBO世界タイトルを獲得したのだ。それから、マーク・アンソニー・バリガ、岩田翔吉を相手に2度タイトル防衛に成功している。

    マイコプラズマ肺炎発症により寺地との対戦が流れたが、レイマン・ベナビデス戦に勝利すれば、再び3団体統一戦の兆しも見えてくるだろう。

    1位:寺地拳四朗

    • 戦績: 22勝1敗(14 KO)
    • 次戦の予定:なし

     

    時事/JIJI Press

    ライトフライ級には絶対的な存在として寺地が君臨し、それ以外のボクサーがその後ろを追っている。

    同国人である井上尚弥ほどの圧倒的なパワーは備えていないかもしれないが、31歳の寺地は左右どちらからでも強烈なパンチを放つことができる。全体的な技術も素晴らしい。

    寺地のキャリアで唯一の汚点といえば、2021年に矢吹正道から喫したTKO負けであるが、新型コロナウイルス感染の影響によるパフォーマンス低下があったと見られているうえ、再戦では3回KO勝ちで雪辱に成功している。

    寺地はすでにガニガン・ロペス(2度)、ミラン・メリンド、京口紘人、そしてヘッキー・ブドラーといった強敵を倒し、WBAスーパー・WBC・The Ring誌認定世界王者として108ポンドの頂点に立っている。

    改めて4団体王座統一を視野に入れた寺地と、WBO王者ゴンサレス、IBF王者ノンティンガとの一日も早い対戦が期待される。

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    原文:The Sporting News: Boxing top 12 light flyweight ratings, Kenshiro is king
    翻訳:角谷剛
    編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁


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