中谷潤人 初防衛戦の相手「ビンセント・アストロラビオ」とは?|7.20 両国国技館

2024-07-17
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Naoki Fukuda

バンタム級は今、素晴らしいファイターの宝庫だが、その中心に位置しているのが日本だ。主要4団体のバンタム級世界王座は現在すべて日本にあり、そのうちの一つ、WBCのベルトを保持している中谷潤人は4団体統一を目指し、その流れを止めるつもりはない。

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3階級制覇を達成した中谷がビンセント・アストロラビオを迎え打つWBC世界バンタム級タイトルマッチは、『Amazon Prime presents Live Boxing 9』の一戦として7月20日(土)、Amazonプライムビデオで独占ライブ配信される。

ここまで中谷はデビュー以来無敗をキープし続け、27戦で20のKO勝利を挙げてきた。今年2月にバンタム級転向初戦でアレハンドロ・サンティアゴを下してタイトル獲得。3階級制覇を成し遂げ、今回のアストロラビオとの一戦が初防衛戦となる。

「相手はハードパンチャーだが、自分の距離で戦って必ずノックアウトしたいと思っている」と、中谷はボクシング情報サイト『3 Kings Boxing 』の取材で語っている。

ここでは、中谷の対戦相手となるアストロラビオがどんな選手なのか、 尊敬する母国の英雄の系譜を継ぐフィリピン人ボクサーについて紹介する。

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■ビンセント・アストロラビオとは何者か?

フィリピン出身のアストロラビオはデビュー以来、ここまで19勝4敗、14KO勝利をあげている。

現在27歳、フィリピンの英雄であるマニー・パッキャオの支援のもと、パッキャオの元トレーナーであるノノイ・ネリ氏の下で練習を積んできた。パッキャオのトレーニングに立ち会える環境で育ち、その英雄と幼少の頃から触れ合ってきた、言わば『パッキャオ・チルドレン』のひとりだ。よく練習して集中することを諭されてきた。

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「常に準備は万端だ。練習を重ねてきたし、この機会を無駄にするつもりはない。フィリピンの人々のためにもこの試合に勝利したいと思う」と、アストロラビオを指導するネリ氏はフィリピンのニュースサイト『 GMA News Online 』の取材で中谷戦を前に答えた。

アストロラビオは2022年、これまでのベストマッチと言える試合で、2度のオリンピック金メダリストでスーパーバンタム級の統一王者だったギレルモ・リゴンドー(キューバ)を破っている。この試合、『アセロ(スペイン語で「鋼鉄」の意)』は、リゴンドーから8ラウンドにダウンを奪い、最終的にユナニマスデシジョンでの判定勝利を手にした。

昨年5月、世界初挑戦となったジェイソン・モロニーとのWBO世界バンタム級タイトルマッチに敗れて連勝は6でストップしたものの、8月にはナワーポン・ソー・ルンヴィサイ(タイ)をTKOで破り、今回2度目の世界戦のチャンスを勝ち取った。

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来日したアストロラビオは公開練習の際の取材で、今回の試合についてパッキャオと話をし、幼少の頃からのようにアドバイスをもらったと公言。その内容については秘密だとし、試合を楽しみにしていて欲しいとコメントしている。来日前のMPジムでの最終調整では、仮想・中谷として日本人サウスポーを招聘し、多くのスパーリングを消化してきた。

公開練習を視察した中谷陣営M・Tジム会長の村野健氏は、挑戦者の仕上がった身体に加え、中谷対策を講じてきたことを思わせる動きに警戒していた。アストロラビオは、前WBA/IBF世界スーパーバンタム級王者マーロン・タパレス、前IBF世界スーパーフライ級王者ジェルウィン・アンカハスという同胞の左打ち強豪ファイターのスパーリングパートナーを務めてきた経験から、サウスポーに対して慣れていることに自信も伺わせた。

中谷(身長172cm / リーチ170cm ※BoxRec参照)に対して、身長で7cm、リーチで4cm劣るが、スタイル的には圧をかけて距離感を潰すタイプだ。ディフェンシブで手を出して来ないモロニーを相手にした試合では迂闊なパンチが裏目に出たが、リゴンドー戦のようにプレスが有効に作用したケースでは主導権を渡さない回転力を持つ。中谷との強打対決でどちらが先にダウンを奪うか、見ものとなる。

尊敬する英雄のアドバイスを胸に、ファンのため、家族のため、そして母国フィリピンのために打倒中谷、タイトル奪取を実現しようと、『パッキャオ・チルドレン』アストロラビオは虎視淡々とチャンスを狙っている。

■ビンセント・アストロラビオのプロフィールと戦績

  • 本名:ビンセント・ディアゼン・アストロラビオ(Vincent Diazen Astrolabio)
  • ニックネーム:アセロ(Asero=鋼鉄)
  • 生年月日:1997年4月1日(27歳)
  • 国籍:フィリピン
  • スタイル:オーソドックス
  • 身長:165cm
  • リーチ:166cm
  • 総試合数:23
  • プロ戦績:19勝(14KO)4敗
  • 主要獲得タイトル:WBCインターナショナル・バンタム級王座、WBOインターコンチネンタル・バンタム級王座、WBOオリエンタル・バンタム級王座

※本記事は国際版記事を翻訳し、日本向けに編集した記事となる。翻訳・編集:石山修二、編集:神宮泰暁