3度目の防衛戦に挑む重岡銀次朗を待ち受けるミニマム級世界王者たち|7.28 3150FIGHT vol.9

2024-07-19
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3150FIGHT/亀田プロモーション

7月28日(日)、滋賀県・滋賀ダイハツアリーナで開催される『3150 FIGHT vol.9』のメインイベントで、IBF世界ミニマム級王者の重岡銀次朗が同級1位のペドロ・タドゥラン(フィリピン)を迎え、3度目の防衛戦に臨む。この試合をはじめ、『3150 FIGHT vol.9』は、同日13時からインターネットTV『ABEMA』で無料ライブ配信される。

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ここでは、名門『The Ring』誌の元編集人で本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが、特に注目する重岡銀次朗を中心に、現在のミニマム(ストロー/ミニフライ)級の世界戦線を解説する。

最軽量級で頂点を目ざす日本の逸材・重岡銀次朗

過去10年間、日本はボクシングの主要な激戦区となってきた。現在のIBF世界ミニマム級チャンピオン『人生無敗』重岡銀次朗(11勝0敗1無効試合、9KO)が、その激戦区においても傑出した存在のボクサーであることに疑念の余地はないだろう。

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ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。最初のタイトル挑戦となった2023年1月のダニエル・バラダレス(メキシコ)戦は、第3ラウンドに王者バラダレスが頭をぶつける『アクシデント』で中断。その後、ノーコンテストとなり、すぐにIBFから再戦が命じられることになった。

しかしながら、バラダレスが回復の遅れを理由に同年4月の再戦案を蹴ったことで、重岡は前王者レネ・マーク・クアルト(フィリピン)とのIBF暫定王座決定戦を敢行。9ラウンドで圧倒した重岡は、最後は戦慄のボディショットでノックアウトに沈め、暫定王者となった。

そして迎えた2023年10月の正規王者バラダレスとの統一戦。そもそもこの試合も8月開催が予定されていたが、重岡の怪我で10月に延期。だが、重岡はその影響もうかがわせず、1ラウンドに早々とバラダレスからダウンを奪うと、バラダレスのバッティングに右目の上をカットしながら、落ち着いた試合展開で圧倒。5ラウンドにボディブローの連打でレフェリーストップとなり、重岡がTKO勝利での王座統一&初防衛を果たした。

今年3月に行われた2度目の防衛戦では、試合5日前に対戦相手が変更されるというアクシデントにも見舞われたが、新たな挑戦者となったジェイク・アンパロ(フィリピン)を2ラウンドKOで葬り去って防衛に成功。改めてその強さを見せつけることとなった。

常々、具志堅用高氏の持つ世界戦連続防衛記録13試合を塗り替えたいと口にしてきた重岡だが、このまま『人生無敗』を継続していけば、周囲が期待するミニマム級王座統一の道も開けてくるだろう。

重岡銀次郎の年齢、身長、戦績

  • 年齢:1999年10月18日(24歳)
  • 国籍・出身地:日本・熊本県熊本市
  • スタンス:サウスポー
  • 身長:153cm
  • リーチ:156cm
  • キャリアデビュー:2018/9/25
  • キャリアタイトル:IBF世界ミニマム級王座
  • プロ戦績:11勝0敗1無効試合(9KO)

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重岡銀次郎の実力は?

シンプルな答えは「とてもいい」だ。

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プロキャリアわずか12戦にして、重岡はThe Ring誌で105ポンド(ミニマム)級1位と評価されている。まだ多くはない試合数とは裏腹に技量は高く、そのボクシングスタイルはプロの試合にアジャストしている。所属先のワタナベボクシングジムがある東京を拠点とするこの左腕は、アグレッシブだがディフェンスが巧みで、パンチのバリエーションに優れている。

重岡のパワーは、81.8%のKO率からも明らかなように大きな武器でもある。

挑戦者のペドロ・タドゥランとは?

ペドロ・タドゥラン(16勝4敗1分、12KO)は2015年プロデビュー、現在IBF世界ミニマムのランキング1位につける指名挑戦者であり、重岡が今保持しているIBFのベルトをかつて保持していた元チャンピンでもある。クアルトに判定の末にそのベルトを奪われ、ダイレクトリマッチでもテクニカルデシジョンで敗戦したが、昨年12月、重岡とも対戦したアンパロを相手に挑戦者決定戦を制して今回のタイトルマッチを勝ち取った。

至近距離で戦ってくるプレッシャーファイターで、KO率は高くはないが、デビューからこれまで一度もKO負けを喫したことはないタフさを誇る。重岡とは身長で10センチ、リーチでも8センチと、サイズ的にはアドバンテージを有する。

ペドロ・タドゥランの年齢、身長、戦績

  • 年齢:1996年10月29日(27歳)
  • 国籍:フィリピン
  • スタンス:サウスポー
  • 身長:163cm
  • リーチ:164cm
  • キャリアデビュー:2015/5/16
  • キャリアタイトル:元IBF世界ミニマム級王座
  • プロ戦績:16勝4敗1分(12KO)

ほかのミニマム級チャンピオンは?

【WBA】タンマヌーン・ニヨムトロン(別名ノックアウト・CPフレッシュマート)

  • 戦績:24勝0敗(9KO)

本名よりもノックアウト・CPフレッシュマートの名で知られるこの人物は、中国での過去1戦を除いてタイ国内でしか試合をしていないこともあり知名度は低いが、WBAスーパー王者であり、The Ring誌では4位と評価されている。この33歳のタイ人ファイターは2016年にバイロン・ロハスからレギュラー王座を奪取して以来、11連続防衛を果たしており、暫定王座から数えた防衛回数は通算15度になる。

今年3月にベネズエラ人のレギュラー王者エリック・ロサとの団体内統一戦がタイで組まれたものの、ロサのパスポート期限問題で入国ができず頓挫。その後、ハサンボイ・ドゥスマトフとの(ウズベキスタン)との指名試合を支持されるも、ドゥスマトフのパリ五輪参加でこちらも延期状態。ノックアウト自身は2022年7月から活動休止状態になっている。

【WBC】メルビン・ジェルサレム

  • 戦績:22勝3敗(12KO)

今年3月に行われた『3150 FIGHT vol.7』で重岡優大から2度のダウンを破って判定の末にWBCのタイトルを獲得した。それ以前にも、2023年1月に大阪で谷口将隆が保持していたWBO世界ミニマム級王座に挑戦し、ベルトを奪取しており、The Ring誌では重岡銀次朗、オスカー・コラーゾに次ぐ3位と高く評価されている。

ガールフレンドは日本人で、マネージャーも長く日本在住歴をもつなど、何かと日本とのつながりもあり、日本でのファイト、日本人ボクサーに対する相性の良さを見せている。

重岡戦後の初防衛戦はまだ決まっておらず。兄・雄大に続いて、弟・銀次朗とのベルトを賭けた統一戦にも意欲を見せている。

【WBO】オスカー・コラーゾ

  • 戦績:10勝0敗(7KO)

プエルトリコ生まれでニュージャージー州ニューアーク出身の26歳。2023年5月、メルビン・ジェルサレムを下し、プエルトリコ人としては最速となる8戦目での世界タイトル獲得を成し遂げた。同年8月にはガレン・ディアガン(フィリピン)を、2024年に入っても1月にレイネリス・グティエレス(ニカラグア)、3月にゲラルド・サパタ(ニカラグア)を下し、ここまで3度の防衛に成功している。

サウスポーのコラーゾは、2019年パンアメリカン競技大会ボクシング競技のライトフライ級金メダルなどアマチュアで活躍した選手であり、ここまでの8戦では圧倒的な内容で勝利してきた。この階級の誰にとっても手強い存在だろう。ギリシャ彫刻のような肉体も驚異的だ。

以上、現時点で重岡、ノックアウト、ジェルサレム、コラーゾがミニマム級の頂点に立っているが、1980年代後半に主要4団体がこの階級を導入して以来、The Ring誌のチャンピオン、そして4団体統一(アンディスピューテッド)王者は誕生していない。


※本記事は国際版記事(著者Tom Gray)を翻訳し、日本向け情報を追記した編集した記事となる。翻訳・編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁、編集:石山修二