現地時間6月19日、FIA(国際自動車連盟)F1世界選手権の第9戦カナダGP(カナダ・ケベック州モントリオール、ジル・ビルヌーブ・サーキット)の決勝が行われ、レッドブルのマックス・フェルスタッペンがポールトゥウィンで今季6勝目をあげた。ライバルのシャルル・ルクレール(フェラーリ)はパワーユニット更新規定数超え罰則によりグリッド降格を受け19番発進となるも、貫禄の走りで5位入賞を果たした。
コロナ禍の影響で3年ぶりとなったジル・ビルヌーブ・サーキットのレースは、フェルスタッペンにとっては格好のステージとなった。
金曜、土曜と激しい雨がサーキットを濡らし、とくに予選はしばらく視界すら定かではないほどのウエットコンディションで、セルジオ・ペレス(レッドブル)はQ2でクラッシュするはめになったが、フェルスタッペンはポールを獲得。FP3はフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)に譲ったものの、ほかはすべてトップだった。
フェルスタッペンがポールシッターとなった一方で、シャルル・ルクレールは不調続きだったPUの複数コンポーネントを交換。シーズン後半戦に入る前にPU各コンポ交換規定上限数超えのペナルティを消化する戦略を採った。予選では同じくPU交換で罰則を受けた角田裕毅(アルファタウリ)との19番手争いを制していた。
予選と打って変わって快晴となった決勝は、気温は低いものの路面温度は40度近くまであがり、各車はミディアムかハードを履く選択を採った。
レース開幕でフェルスタッペンが順調にトップを快走。予選2番手に入り、10年ぶりのフロントロウでカナダの観衆の歓声を浴びたアロンソは3番手のカルロス・サインツ(フェラーリ)と競り合いを展開する。13番スタートだったペレスは8周目にダニエル・リカルド(マクラーレン)をDRSで追うところでギアボックストラブルが発生した。
ペレスはそのままリタイアとなり、バーチャルセイフティカー(VSC)出動のタイミングで首位フェルスタッペンやルイス・ハミルトン(メルセデス)らがハードに換装。ほとんどのマシンはステイアウトしたため、フェルスタッペンは3位に後退したものの、15周目には首位に復帰する。
ミック・シューマッハー(ハース)のマシンがパワーを失ってコース脇に停止したことで2度目のVSCが導入された20周目、ステイアウトしていた多くの各車がタイヤを履き替えた。
フェルスタッペンはサインツ、ハミルトン、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がにじり寄るレース展開のなか、再びピットインで順位を落とす。しかし、49周目、角田がピットアウト直後にコースアウトしてウォールに激突してフロントを大破。セイフティカー投入を勝機に変えたフェルスタッペンがまたも首位に返り咲く。
無線トラブルを抱えていたフェルスタッペンだが、粘り強く肉薄するサインツに追われながらも、そのサインツのファステストラップを上書きし、チェッカーフラッグを浴びた。今季6勝目でドライバーズランキングにおいても盤石の体制に入った。2位のサインツに6秒ほど遅れてハミルトンが滑り込み、開幕戦バーレーンGP以来の表彰台となった。
4位はラッセル、5位には貫禄の走りで19番手発進というビハインドをものともしなかったルクレールが入賞した。6位はエステバン・オコン(アルピーヌ)だった。アロンソは20周目で発生していたエンジントラブルと自身のピット戦略のミスもあり、レース直後は7位だったが、進路妨害と判断される走路変更が複数回確認されたため、ペナルティは+5秒と罰則1ポイントとなり、9位に転落してしまった。
カナダGPを終えて、ドライバーズランキングは1位のフェルスタッペンが175点で独走。2位のペレス(129点)はノーポイントで、ルクレールが3点差(126点)まで追い上げた。4位はラッセル(111点)、5位はサインツ(102点)、6位はハミルトン(77点)となった。コンストラクターズランキングは、レッドブルが304点で首位を守る一方、3位メルセデスが188点となり、2位のフェラーリ(228点)に40点差で迫っている。
次戦の第10戦イギリスGPは、日本時間7月1日9時のFP1から開幕する。同地から2週連戦が2度続くヨーロッパラウンドとなり、シーズン中盤戦は夏場のハードな戦いに突入する。