フェルスタッペン雪辱優勝、ペレス2位のレッドブル快勝劇の裏でフェラーリは全滅|F1アゼルバイジャンGP決勝

2022-06-13
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現地時間6月12日、FIA(国際自動車連盟)F1世界選手権の第8戦アゼルバイジャンGP(アゼルバイジャン共和国、バクー市街地コース)の決勝が行われ、マックス・フェルスタッペン、前年度覇者のセルジオ・ペレスがワンツーフィニッシュでレッドブル勢が制した。フェラーリ勢はシャルル・ルクレール、カルロス・サインツがWリタイアという不運が重なり、アルファタウリの角田裕毅もDRSトラブルで13位に終わった。

アゼルバイジャンGPは、レッドブルにとっては安泰のレース、フェラーリにとってはまさかの全滅で最悪のレースとなった。

土曜の予選ではルクレールがポールポジション(PP)、ペレスが2番手、カルロス・サインツが3番手、フェルスタッペンは4番手という結果だった。ここ数戦、予選まではほぼ完璧なルクレールだが、ピット戦略が裏目に出たモナコGPは別としても、肝心の決勝でのエンジン系トラブル続きでマシンの信頼性低下が否めない状況にある。

『史上最速の市街地コース』といわれるバクーは、気候的にも気温は高くない地域だが、この日、海岸側に面したホームストレッチは49度近くまで上昇。多くのマシンがミディアムを履いた。レース開始から直角のコーナー1に突入したPPのルクレールは、フリープラクティス1と3で1番手を取っていたペレスにいきなり抜かれた。レッドブル勢とフェラーリ勢が4番手までの争いをみせるも、9周目にサインツ機が油圧計のトラブルで早くもリタイアに。

バーチャルセイフティカー(VSC)の導入もあり、タイヤを履き替えるドライバーが続いたが、ルクレールはこの際のピットイン時、クルーのミスで出遅れ、宿敵フェルスタッペンが順位をあげた。さらに15周目には、なかなかペースがあがらないペレスに代わり、フェルスタッペンが先頭に出た。この際、レッドブル陣営はペレスに「(フェルスタッペンと)戦うな」と指示を出しており、チーム内での消耗戦を避けている。

3番手にあったルクレールは、レッドブル勢のピットインにより首位に浮上したが、その矢先の20周目に不運が起きる。セクター3からセクター1への直線を走るルクレースのマシンから白煙が派手にあがった。ピットに戻るも、パワーユニット(PU)のトラブルによりそのままリタイアに。フェラーリはここで全滅となった。さらにフェラーリのPUを搭載するアルファロメオの周冠宇、ハースのケビン・マグヌッセンのマシンも相次いでエンジントラブルに見舞われており、共通の問題があるのか懸念される状況となった。

VSCの連発でペースが落ちるレース展開のなか、ペレスは36周目に1分46秒046のファステストラップを叩き出し、同僚にトータルタイムで水をあけられながらも存在感を示した。日本人ドライバーの角田裕毅は5番手まで順位をあげるも、リヤウイングのフラップ破損によりDRS不全に陥り、次第に後退している。

その後レースは、46周目でランス・ストロールが激しいポーパシングでリタイアしたものの、大きな事故もなく進行する。フェルスタッペンはチェッカーフラッグを浴び、ペレスが2位でワンツーフィニッシュ。3位はメルセデスのジョージ・ラッセル、4位にはルイス・ハミルトンが続いた。一時はそのハミルトンより前の好位置まであがった角田は、フラップの修復ならず、13位でレースを終えた。

フェルスタッペンは今季5勝目となり、昨季のチェッカー目前のタイヤバーストによる不運の雪辱を果たした。20秒823差で2位となったペレスも、今回の陣営の「戦うな」指示について「マックスのほうが速かった」として納得していることを明かした。メルセデス勢は3-4位を射止めたが、底づきも度々発生した強烈なポーパシングによるドライバーへの身体的なダメージが深く、ハミルトンは「とにかく終わってくれと祈る」ほどだったという。ラッセルは決勝前から、今季レギュレーションによる弊害として安全性の調査を求めている。

いずれにせよこの結果により、ドライバーズランキングは、1位のフェルスタッペンが150点、ペレスが129点で2位に浮上した。ルクレールは3位(116点)、ラッセルが4位(99点)、サインツが5位(83点)、ハミルトンが6位(62点)となっている。コンストラクターズランキングでも、首位レッドブルは279点で、2位のフェラーリ(199点)に80点差をつける独走状態に入った。3位のメルセデスは161点と迫っており、全滅で追加点なしのフェラーリにとっては、かなり手痛い結果となった。

次戦の第9戦カナダGP(ジル・ビルヌーブ・サーキット)はバイウイーク開催となり、日本時間6月18日午前3:00からのフリープラクティス1で開幕。決勝は同20日午前3:00を予定する。

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