MLBが粘着物質の不正使用取り締まりへ…新ルールはどのように運用されるか

2021-06-17
読了時間 約1分

MLBの粘着物質不正使用取り締まりがまもなく始まる。

MLBリーグ機構は6月15日(日本時間16日)に公式文書を発表し、シーズン途中で抜本的な変更を行い、今後は異物をボールに塗布する投手らを監視することを明らかにした。

まず、最初に明確にしておきたい。MLBは過去のシーズンにおいてほぼ黙認されてきた2つのルールを厳格に運用することを決めたのである。1つは公式ルール3.01が定める「どの選手もボールを土、ロージン、灯油、甘草、紙やすり、またはその他の異物でこすって意図的に変色または損傷してはならない」というものだ。

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もう1つは公式ルール6.02(c)であり、これは上記公式ルール3.01 を拡大したものだ。MLBの新たな公式声明によると、このルールは投手が「あらゆる異物をボールに塗布する」、「何らかの方法でボールを変形させる」、「あらゆる異物を持つ」、「手、指、手首にいかなるもの(例:バンドエイド、テープ、接着剤、ブレスレットなど)を着ける」、などの行為をすべて禁じることを定めている。

上記2つのルールを今後は適正に施行するにあたり、MLBはフィールド上で新たな運用を行う。それには以下が含まれる。

  • 試合中に先発投手と救援投手の両方が異物を持っていないことを「定期的」に確認する
  • 先発投手には1試合に1回以上の検査を義務つける
  • ボールが「通常より粘っこい」と感じられるとき、あるいは投手がグローブ、帽子、ベルト、またはユニフォームのどの部分か体に手をやり、異物を取り出すかボールに塗布していると審判が目撃したときには確認する
  • 捕手も検査の対象になる

罰則については、不正行為が認められた投手は10日間の出場停止処分を受ける。その期間の報酬は支払われる。チームはベンチ入り26人枠に出場停止処分を受けた選手の補充をすることはできない。もし選手が審判の検査を拒否するか、あるいは非協力的な態度をとったときには、その選手は推定有罪とみなされ、退場の上、出場停止処分を受ける。

さらに投手以外の選手もボールに異物を塗布すれば出場停止処分の対象となる。そして異物がボールに塗布したことが判明した場合、仮に塗布したのが投手本人ではなくても、その投手も、異物を塗布した選手か関係者も、全員が出場停止処分を受ける。

投手たちは今まで通りマウンド上でロージンバッグを使うことはできる。しかし、それ以外のいかなる物質を混ぜることは許されない。それには日焼け止めも含まれる。投手たちは夜間の試合や屋内の試合では日焼け止めを使わないように求められる。

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これらはMLBの以前からのルール解釈を大幅に変更するものだ。今までは相手チームの監督が抗議でもしない限り、投手が禁止された物質を使用することは概ね黙認されてきた。実際にそうした抗議が行われた例は稀でもあった。

このシステムは機能するだろうか。そして何人の選手が実際に出場停止処分を受けることになるだろうか。今の時点では不明だ。

だが、はっきりしていることは1つある。6月21日の新ルール適用開始を境に、投高打低の傾向が強くなっている2021年MLBシーズンの試合は様変わりするだろうということだ。

(翻訳:角谷剛)