大谷翔平の移籍先候補は? 注目すべき今後の遠征日程と各チームの事情

2023-05-08
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Getty Images

今季終了後に現行契約が満了し、今夏中のトレードの可能性も取り沙汰される大谷翔平の移籍に関する憶測が後を絶たない。日本からやってきたロサンゼルス・エンゼルスのユニコーンは果たして来季(あるいは今季中に)どのチームのユニフォームを着てプレイしているのだろうか?

本誌『スポーティングニュース』のライアン・フェイガン記者が、エンゼルスの今後注目の遠征試合スケジュールと、大谷の移籍先候補となりうるチームの状況について分析する。


全米各地で繰り広げられる『大谷翔平ツアー』

ミズーリ州セントルイス発:大谷翔平ツアーが5月第1週、セントルイスを席捲した。市を象徴するゲートウェイ・アーチが現在の野球界で最もエキサイティングな選手を迎えたのだ。

大谷は火曜日(現地5月2日)のシリーズ開幕戦は休養し、水曜日(現地3日)の試合にロサンゼルス・エンゼルスの先発投手と3番打者として登場した。馬鹿げたコメントであることは承知しているが、その試合は大谷にとってシーズン最高のパフォーマンスだったとは言えない。大谷はわずか5イニングを投げただけだし、被本塁打2本で降板したときにエンゼルスは3-4と試合をリードされていたのだ。打者としての大谷には本塁打はなかった。

過去2年間の信じがたい活躍によって、大谷への期待値はとてつもなく高くなっている。リーグ屈指の先発投手であり、同時にパワー打者でもある大谷にとって、この試合は最高の出来ではなかった。それでも、この日に大谷がやってのけたことを以下に挙げてみよう。

  • 13個の三振を奪った。5イニング以下の投球回数で13個以上の奪三振はMLB史上4人目の記録だった。三振以外のアウトは2つしかなかったのだ。ポール・ゴールドシュミットがゴロ打球で二塁に進もうとしてアウトになり、トミー・エドマンは三塁ゴロに倒れた。
  • 3安打(2本のシングル安打と1本の二塁打)を打った。その3つの打球速度はすべて時速105マイル(約169 km)以上だった。3回に相手投手のマイルズ・マイコラスから放ったシングル安打の打球速度は時速108.8マイル(約175.1 km)で、チャド・ウォーラックをホームベースに迎え入れた。

つまり、大谷が野球界のユニコーンであることがまたしても証明されたに過ぎない。

エンゼルスのフィル・ネビン監督は試合前にこう語っていた。

「大谷はこのスポーツにおいて特別な選手だ。ファンが大谷を毎日のように観られるのは素晴らしいことだ。だからこそ、今年から始まった試合日程ルールは野球界全体にとって良いことだと思う」

大谷が第1打席でバッターボックスに入ったとき、セントルイス・カージナルスの本拠地ブッシュ・スタジアムに集まった観客は大声援を挙げた。大谷がセントルイスにやってきたのは今回が2度目だ。1度目は2019年だが、そのときは大谷のセントルイス初登場よりアルバート・プホルスが古巣に凱旋したことのほうが大きな注目を集めていた。

2023年のMLBは試合日程をバランスに配慮した設定に変更した。シーズン中にすべてのチームと最低1回は対戦することになる。つまりエンゼルスはこれまでにないほど多くの球場へ遠征するというわけだ。そして各地の野球ファンに大谷を現地で観るチャンスが生まれるのだ。悪くない変更ではないだろうか。

カージナルスのファンが、来年はエンゼルス・レッドではなくカージナルス・レッドのユニフォームを着てブッシュ・スタジアムでプレイする大谷の姿を想像しただろうことは、我々にとっても想像に難くない。大谷がWBCで親友になったラーズ・ヌートバーはカージナルスでプレイしているし、かつてのチームメイトだったアルバート・プホルスが昨シーズンどれだけ素晴らしい時間をカージナルスで過ごしたかを見ているからだ。

その夢が実現するまでにはとてつもなく長い道のりがある(そして巨大な金額が絡む)。しかし大谷が今シーズン終了後にフリーエージェントになるということは、同時にエンゼルスに留まる可能性が少なくなるということでもある。どのチームのファンも、大谷が来年チームに加入する夢を、少なくとも現時点では抱くことができる。

一方、バランスの取れた試合日程によって、大谷にとっては今まで訪れたことがない球場でプレイし、そのファン層や雰囲気を経験するチャンスが生まれる。今後10年プレイする場所を選ぶ前に、自分の目で確かめることができるのは無駄ではないはずだ。もちろん、大谷は将来のことより今シーズンに集中しているだろうが――。

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大谷はすでに何か所か来シーズンの移籍先候補になるであろう球場を訪れている。4月中旬にエンゼルスがニューヨークのヤンキー・スタジアムへ遠征したときは大きな注目を集めた。大谷はヤンキースとのシリーズ開幕戦の第1打席でホームランを打ったものの、登板機会はなかった。シアトル(マリナーズ)とボストン(レッドソックス)もすでに訪問済みだ。

大谷翔平ツアー御一行がこれから訪れる予定の注目チームは以下の通りである(日付は現地時間)。

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6月1~4日と8月11~13日:ヒューストン・アストロズ

大谷はエンゼルスを去ってアメリカン・リーグ西地区のライバルチームへ移籍することを望むだろうか? 勝利を求めるなら、その選択肢はある。アストロズは強いチームであり、これからしばらくはそうだろう。もっとも、ヒューストンは大谷にとっては目新しい場所ではない。すでにこの球場で141打席に立っている。ちなみに打率は.195と苦手な球場でもある。

6月12~15日と8月14~16日:テキサス・レンジャーズ

1年前はレンジャーズが大谷の移籍先候補に入ることは考えられなかった。しかし、このチームは補強に巨費を投じることをためらわない。長期的視野に立ったチーム戦略は大谷が求めるもののひとつだろう。とくに8月のシリーズでエンゼルスが2023年のポストシーズン進出への望みを絶たれるようなことになれば、レンジャーズ移籍のチャンスは広がるかもしれない。

6月16~18日:カンザスシティ・ロイヤルズ

このチームに大谷獲得のチャンスはないだろう。

7月3~5日:サンディエゴ・パドレス

ほとんどのGMや球団オーナーたちは認めないかもしれないが、大谷を獲得するには総額4億ドル(約536億円/1ドル=134円換算。以下同)以上、あるいは5億ドル(約670億円)にも及ぶ契約を掲示することになるだろう。パドレスは最近すでに巨額を使ってしまっている。ザンダー・ボガーツとマニー・マチャドと長期契約を結んだからだ。それでもパドレスは大谷獲得を試みるはずだ。そうしないと同じ南カリフォルニアでナショナル・リーグ西地区に所属するライバルチームに大谷を取られてしまうかもしれないからだ。

7月7~8日:ロサンゼルス・ドジャース

大谷とエンゼルスはサンディエゴからロサンゼルスへ直行する。ドジャースは大谷獲得に動くと思われる球団のなかでトップ候補のひとつだ。このチームにはモチベーションがあり、資金もある。最も重要なことは、大谷が移籍先に求めているワールドシリーズ進出と制覇の歴史を持っていることだ。そして大谷はどうやらロサンゼルスという土地を気に入っているらしいことも、有利な条件のひとつだ。

7月28~30日:トロント・ブルージェイズ

元エンゼルス監督のジョー・マドン氏は最近、ジェイソン・スターク氏とダグ・グランヴィル氏のポッドキャストに出演した。マドン氏が言うには、大谷は初めてMLBに来たときは日本に近い米国西海岸でプレイしたがっていたが、今では米国での生活に慣れ、どこでも(カナダのトロントでも)、条件が合えば行くだろうということだ。

7月31日~8月2日:アトランタ・ブレーブス

ブレーブスが大谷獲得へ動くという話はあまり聞こえてこない。しかし、勝利が大谷の目標である限り、ブレーブスほど今後5年以上にわたってワールドシリーズが視野に入るチームはほかにはないかもしれない。大谷はこのシリーズでそのことに気がつくと筆者は予想する。

8月25~27日:ニューヨーク・メッツ

このシリーズは大きな注目を集める。メッツ―のオーナーであるスティーブ・コーエン氏がこのシリーズ中に球場へ現れるなら、それは極めて明白な(そして揺るぎない)メッセージを送ることを意味する。

8月28~30日:フィラデルフィア・フィリーズ

大谷を獲得するチャンスがあるなら、フィリーズは(そしてどのチームも)、そのための資金をなんとしてでも手に入れようとするはずだ。シチズンズ・バンク・パークでの注目の試合は大谷に好印象を与えるには十分である。

9月11~13日:シアトル・マリナーズ

大谷がマリナーズのユニフォームを着ることを想像するのは簡単だ。このチームには多くの日本人選手がやってきた伝統がある。その最大の例はイチロー鈴木氏だ。このシリーズは大谷に好印象を与える最後のチャンスになる。

原文: Shohei Ohtani's 2024 free-agent tour rolls through St. Louis, with more stops ahead
翻訳:角谷剛