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新たな役割で輝き続ける八村塁

2020-07-29
読了時間 約2分

八村塁は使命を抱えてオーランドにやってきた。ブラッドリー・ビールとダービス・ベルターンスに続くチーム3番目のスコアラーとして、今月再開するシーズンに向けてルーキーながらも大きくステップアップすることが重要であることを理解していたのだ。機会と出場時間は間違いなく用意される。しかし彼がそれに対してどこまで応えられるかはわからなかった。

ウィザーズの練習試合が3つ全て終わった今、チームは明確な答えを得ることができた。八村の準備はできている。

八村はデンバー・ナゲッツ、ロサンゼルス・クリッパーズ、ロサンゼルス・レイカーズとの3試合で平均17.3得点を記録し、全試合でウィザーズのトップスコアラーとなった。全試合で26分以上に出場し、13本以上のショットを放っている。ナゲッツ相手に八村を擁するウィザーズは、ビッグマン主体でゾーンをプレイするラインナップと対戦。クリッパーズ相手に八村はカワイ・レナードとポール・ジョージといった、リーグ屈指のウィング選手と対戦。そしてレイカーズ戦では点の取り合いとなった。

どのシナリオでも、八村は良い形で試合に影響を与え、周囲の状況がどうであろうと自身のプレイができる能力を見せ続けた。

ウィザーズのスコット・ブルックス・ヘッドコーチは、最後の練習試合となったレイカーズ戦後に「彼は良いプレイをしていた」と語っている。

「機会が訪れれば、積極的にプレイをしている。若い年齢ですでにプロとして安定した活躍を見せており、それはとても稀有なことだ」。

ウィザーズが7月7日(日本時間8日)にオーランド入りした時点で、八村が停止期間中に無駄な時間を過ごしていなかったことはコーチやチームメイトにとって明らかだった。より強く、より自信に溢れていたのだ。ブルックスHCによると、八村の成長は、通常の選手たちが1年目から2年目のあいだに見せるものに匹敵していたという。

「彼は成長している。強さが増している。まだ試合をゆっくりと見渡せるようになるにはもう少し時間がかかるだろうが、確実にできるようになってきている。まるで2シーズン目をすでに始めているかのようだ」。

キャリアが進むにつれ、八村は自身のゲームの様々な部分を伸ばしていくこととなる。このルーキーシーズンの始めから考えると、すでにプレイメイカーとしての成長を見せている。ビールがラインナップに不在であることも大きいだろう。ディフェンスでリバウンドを掴んでから、自らボールを運ぶことに抵抗は見られない。ウィザーズはその成長を喜んでいるものの、勝利に繋がる真の変化や成長は、まだ先のことであることも理解している。しかし現段階でもすでに、八村からは安定した活躍と努力を期待できることは確信している。

ブルックスHCは「どんな若い選手でもリーグ入りした時は、チームとしてできるだけ早く安定して活躍できるようになることを望むものだ」と説明する。

「選手によっては2、3、4年かかることもある。彼は最初から大当たりだ。同じ安定感と、職人のような気質を持って帰ってきてくれた。彼なら毎晩どんなパフォーマンスを見せてくれるか計算できる。素直に努力してくれ、オフェンス面でもディフェンス面でも全体的に安定した活躍を見せてくれるとわかっている」。

その安定感の根幹には、自分が気持ちよく打てるシュートを生み出せる能力がある。

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ブルックスHCはナゲッツのゾーンディフェンス相手にも、自分の得意エリアを見つけ出してプレイできる彼の能力に感心したと言う。最近まで大学でそういったプレイをしていたことがプラスに働いていると指摘している。

では八村の得意エリアとはどこだろうか?

今季、オーランドでの練習試合を除くと、八村のフィールドゴール試投456本中240本がリム周りでのものだ。それをリーグ平均を少し上回る58.8%で決めている。しかし彼が特に活躍したのはミッドレンジだ。八村は3ポイントラインの中で打ったプルアップジャンパーを42.4%決めている。バスケットボールでもっとも難しいショットのひとつであると考えると、大した数字だ。NBA.comによると、八村は8つあるミッドレンジエリアのうち5つでリーグ平均以上を記録している。

八村自身もクリッパーズ戦後に「ミッドレンジはどこからでも問題なく打てる」と語っている。

「数字はわからないけど、どこからでも気持ち良く打てていて、特にミッドレンジは得意。3ポイントショットも上達してきている」。

ブルックスHCは「ぜひ彼にはもっと3ポイントショットを打ってもらいたいと思っているが、まずは心地よく打てるかどうかだ」と話す。

「今後もしっかり練習する必要があるし、練習中にももっと打つ必要があるし、試合でもワイドオープンなら打たなければならない。決めることに自信は持っていると思う。フォームは素晴らしいし、シュートの描くアーチもだいぶ良くなってきている。しかしまだ心地よく打てるレンジは17、18フィートのショットであり、それはそれで問題ない。多くの選手がそのレンジで成功を収めている。彼はいろいろな形で得点ができる。今それはインサイドとミッドレンジであり、いずれ3ポイントシューターとしても成長していくだろう」。

ここから本当の試験が始まる。これから2週間(もしかしたらもっと)、八村は自身の若いキャリアで最大の試練に立ち向かうこととなる。ウィザーズの第1オプションとして、リーグのベストチーム相手に8試合を行なうのだ。練習試合を見る限り、八村はこの試練にも意欲的な様子だ。ブルックスHCも心配している様子はなく、八村の貫禄と態度でやり切れるだろうと信頼している。

「彼はとても落ち着いている、冷静な競技者だ。良い試合の最中なのか、悪い試合の最中なのか見ただけではわからない。問答無用で自身の仕事を、正しく行ないたいという姿勢を持っている。彼のプレイスタイルは本当に大好きだよ」。

原文:Hachimura shining in expanded role by Jackson Filyo/WashingtonWizards.com


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