マイケル・ジョーダンとシカゴ・ブルズに迫ったドキュメンタリー『The Last Dance』を作り上げた男たち

2020-04-19
読了時間 約2分

撮影実現に尽力したアンディ・トンプソンとアダム・シルバー

マイケル・ジョーダンと1997-98シーズンのシカゴ・ブルズを追ったESPNとNetflixのドキュメンタリー作品『The Last Dance』(邦題『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』)が、4月19日(日本時間20日)から配信される。

この作品の製作に携わったアンディ・トンプソンと、アダム・シルバーNBAコミッショナーが、『AP通信』の取材に応じ、当時の様子などについて語った。

元NBA選手のマイケル・トンプソンの兄弟で、現役NBA選手クレイ・トンプソンの叔父にあたるアンディ・トンプソンは、史上最高の選手であるジョーダンと、史上最高のチームに数えられる当時のブルズの様子を映像に残しておく必要があると感じていた。そのアイディアを、当時NBA Entertainmentのスタッフだったシルバーに話すと、そこから撮影に向けて本格的に動き始めたという。

トンプソンが参考にした作品は、NHLのエドモントン・オイラーズがスタンレー・カップを獲得した1986-87シーズンを追った作品『The Boys On The Bus』だった。

トンプソンは「当時、NBAで同じような作品はなかった。我々は、ただ単にNBAの1チームについて記録するのではなく、史上最高の選手であり、自身のイメージとプライバシーを頑なに守るマイケル・ジョーダンを記録したかった」と、当時を振り返っている。

シルバーは、ブルズのオーナー、ジェリー・ラインズドルフにこの話を持ちかけて承認をもらうと、ヘッドコーチのフィル・ジャクソンからも、撮影されたくないタイミングでカメラを回さないという条件付きで合意を得た。そして最後に、ジョーダンからも撮影の許しが出た。

次にシルバーは、撮影にかかる巨額の費用を捻出するため、当時のコミッショナー、デイビッド・スターンの元に出向いた。現代のような高画質のカメラがなかった時代ながら、トンプソンは高いクオリティの作品に仕上げることを決めていた。そして、大人数が関わる、大規模で、長期の撮影になるため、多額の製作費が必要だった。そして、シルバーはスターンから無制限で費用を出す、という約束を取り付けた。
 

長期間にわたる撮影に必要だった選手たちとの信頼関係

トンプソンによれば、ジョーダンがマイケル・トンプソンを選手として尊敬していたこと、そして身内にNBA選手がいることで自身がロッカールームの掟を理解していたため、思っていたよりも早く選手たちとの信頼関係を築けたという。

「いつ口を閉じるか、壁に止まるハエのようになるかを心得ていた」と、トンプソンは言う。

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「そのおかげで、選手たちとは上手く付き合えた。怖くもなかったし、威圧されたわけでもなかった。私は、NBA選手の間で通じる話ができたということもあって、すぐに良い関係性を築けた。信頼関係は、一朝一夕では築けない。お互いに、それとなく感じるものもあった」。

撮影は数百時間にも及んだものの、公開時期は決まっていなかった。果たして公開する日が来るのかどうかも定かではなく、トンプソンとジョーダンは、それをジョークのネタにしていたという。

そして、およそ四半世紀の月日を経て、ついに配信が決まった。

Netflixで「マイケル・ジョーダン: ラストダンス」を視聴する

シルバーは「私たちが成し遂げたことだが、このプロジェクトは、多額の予算がなければ実現しなかった」と言う。

「入ってくるお金もゼロで、費用ばかり出て行ったとしてもおかしくなかった。この作品を作るのは、我々の責務だと思ってやった。史上最高のアスリートのひとりと、歴代最高の1チームを映像に残すため、必要なことは全てやった」。

同作品は全10エピソードで構成され、19日(日本時間20日)には第1話と第2話が配信される。


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