ラプターズがハーデンを獲得すべき理由と獲得すべきでない理由

2023-08-17
読了時間 約2分
(Getty Images)

今週、ジェームズ・ハーデンがトレードを要求した件で新たな展開があった。

『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者は先週末、フィラデルフィア・76ersがハーデンのトレード交渉を打ち切ったと報道。トレーニングキャンプでハーデンをチームに戻す予定と伝えた。だがその後、オールスター選出10回のハーデンが攻撃に打ってでたのだ。

ハーデンは76ersのバスケットボール運営部代表であるダリル・モーリーについて、「嘘つきであり、彼がいる球団では絶対にやらない」と話したのである。

「もう一度言わせてもらう。ダリル・モーリーは噓つき。彼がいる球団では絶対にやらない」

選手は契約で求められている業務を遂行しなければいけないという規則があるが、ハーデンは何としてでも違う球団で新シーズンを戦うつもりのようだ。トロント・ラプターズのマサイ・ウジリ社長はどう見ているだろうか。

ここでは、ラプターズがトレードでハーデンを獲得すべき理由とすべきでない理由をまとめる。

なぜラプターズはジェームズ・ハーデンをトレードで獲得すべきか

30代半ばとはいえ、ハーデンはNBAで有数の優れたガードだ。

昨季のハーデンは平均21.0得点、リーグ最多の10.7アシスト、6.1リバウンドという数字を残した。オールスターやオールNBAチームには選ばれなかったが、どちらに関しても候補にあがっていた。

ハーデンが得点やアシストで攻撃に大きく貢献する選手であることは変わらない。直近で負ったいくつかのケガ以降、以前のようにバスケット付近でフィニッシュすることはなくなった。しかし、昨季もまだ、ドライブや3ポイントショット成功でリーグトップクラスだったのだ。得点力が最も有名なハーデンだが、一方で卓越したプレイメーカーであることも知られている。

トレードでハーデンを獲得して以降、彼が出場していた時の76ersは、攻撃面で大きな改善を見せていた。特に昨季のハーデンはジョエル・エンビードがさらに影響力を増し、オールラウンドなスコアラーとなる助けになっていた。

21-22シーズンから22-23シーズンの76ersのオフェンシブレーティング
  時間 オフェンシブレーティング
ハーデン出場時 2,928 121.9
ハーデン不在時 5,009 113.3

ラプターズはハーフコートオフェンスで得点をあげるのに苦しみ、オフシーズンには先発ポイントガードを失った。攻撃面がそこそこの彼らがトレードでハーデンを獲得すれば、後押しになるのは間違いない。76ersが要求する見返りは大きいが、年齢や契約状況から、デイミアン・リラードのような他のスター選手よりは獲得しやすいかもしれない(ハーデンは2023-24シーズン後に無制限フリーエージェントになる予定)。

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ラプターズが遅かれ早かれ再び優勝を目指すつもりで、パスカル・シアカムやOG・アヌノビー、スコッティー・バーンズといった選手たちを放出せずにハーデンを獲得できるなら、トレードを模索する価値はあるだろう。ハーデン、アヌノビー、バーンズ、シアカム、ヤコブ・パートルというスターティングファイブなら、攻撃面でかなりのパンチ力となる。

守備ではそこまでフィットしないはずだ。ハーデンが守備で高く評価されたことはない。だが、アヌノビー、バーンズ、シアカム、パートルは、それをカバーするのに理想的なディフェンダーたちだ。

(Getty Images)

なぜラプターズはジェームズ・ハーデンをトレードで獲得すべきでないか

ラプターズの求める選手がハーデンではないかもしれない理由もある。

まず何より、ハーデンはラプターズのほかの選手たちと違い、「1年レンタル」となる可能性がある選手だ。契約は最終年を迎えるところで、ここ3シーズンで3つの異なるチームに在籍してきた。報道では、ロサンゼルス・クリッパーズでのプレイに関心を寄せていると言われる。

次に、見返り要求だ。モーリーGMが望むものを手に入れられるかどうかは誰にも分からない。ただ彼は、「非常に良い選手」か、そういった選手になり得る選手を獲得できないなら、ハーデンをトレードしないと明確にしている。76ersはエンビードの全盛期を最も生かそうとしているだけに、理にかなっていると言えるだろう。

モーリーGMが見返りとしてシアカム、アヌノビー、バーンズしか望まないという可能性もある。その場合、ハーデンの年齢や契約状況を考え、ラプターズが拒否することは想像に難くない。

もうひとつの理由は、ハーデンがレギュラーシーズンで活躍してきたものの、ポストシーズンでは同じように活躍してこなかった点だ。NBAプレイオフ2023も例外ではなかった。2試合でプレイオフにおける自己最高級のパフォーマンスだったが、全体的には平均得点(20.3)もアシスト(8.3)もレギュラーシーズンから数字が落ちている。フィールドゴール成功率は39.3%にとどまった。

それがハーデンのプレイスタイルにも影響するのは当然だ。76ersでスタイルを変えたことは称賛に値する。だが、ドック・リバース前ヘッドコーチは、解任された後、ハーデンを指導するのが「大変」だったと明かしている。勝つためのバスケットボールに関して意見が完全に一致しなかったからだ。

ラプターズには、自分の役割に満足していない選手たちがいる。特にボールを支配するプレイを好むハーデンの獲得は、その問題を解決する答えではないのではなかろうか。

原文:James Harden to the Raptors? Why Toronto should — and should not — trade for 76ers star(抄訳)

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