ボストン・セルティックスはNBAファイナル2024第3戦を前に良くない知らせを受けた。クリスタプス・ポルジンギスが足のまれなケガにより欠場を余儀なくされたのだ。セルティックスはこれでリムプロテクションを失った。それでも、第3戦で106-99と勝利を収めている。
これでセルティックスはシリーズ3勝0敗とした。わずかだが、最初の3試合を落としてから第7戦まで持ち込んだチームはある。だが、逆転してシリーズを制した例はない。
ここでは、セルティックスが優勝に王手をかけた第3戦を踏まえての注目ポイントをまとめる。
NBAファイナル2024第3戦を踏まえての7つの注目ポイント
ルカ・ドンチッチの守備は問題
ドンチッチは胸部の痛みに耐えるために注射を打って試合に臨んだ。守備で動くのに大きく苦しんだ理由かもしれない。彼は第2戦でも繰り返しターゲットとされ、セルティックスに素晴らしいショットへとつなげられていた。
セルティックスは第3戦にも同じようなゲームプランで臨んだ。序盤はうまく守る場面もあったドンチッチだが、試合が進むにつれて彼の守備は悪化の一途をたどる。後半に至るまでに、ドンチッチは銅像のようになった。
さらに悪いことに、ドンチッチはポジションを崩されてファウルも犯していった。そしてそれが最悪のシナリオへとつながる。ポストシーズンのキャリアで初めてファウルアウトになったのだ。マーベリックスが90-93と3点を追っていた残り4分強のことだった。
マーベリックスはコーチチャレンジをしたが、ドンチッチのブロッキングという判定は覆らず。試合はここから終了へと向かった。
カイリー・アービングがようやく活躍
最初の2試合で消えていたアービングだが、第3戦では35得点とマーベリックスをけん引した。しかし、マーベリックスが崩れ落ちた後半はフィールドゴール14本中5本成功にとどまっている。
マーベリックスがここまで来たのは、アービングとドンチッチがタフショットを決めてきたおかげだ。両選手とも試合を通じてミスマッチをつくろうとし、1on1で成功した場面もあった。
だが最終的に、アービングは及ばなかった。決まれば1点差に詰め寄れた残り25秒の3ポイントショットも沈められていない。
答えが見つからないジェイソン・キッド・ヘッドコーチ
マーベリックスはロールプレイヤーたちの力を十分に引き出せていない。キッドHCはできる限りのボタンを押そうと試み、前半に11選手を起用した。
ティム・ハーダウェイJr.は今ファイナルで自身最長の出場時間だったが、まったく効果的ではなかった。ショット5本をすべて決められず、19分間の出場で無得点。ジョシュ・グリーンは何度か良いハッスルプレイを見せたが、22分間の出場で3得点にとどまった。マキシ・クリーバーは依然として消えており、3Pを打たずにドンチッチから怒鳴られ、直後はショットをブロックされている。
マーベリックスにとって朗報だったのは、デレック・ライブリー二世だ。ようやくイージーなバスケットを決められるようになり、11得点、13リバウンドを記録した。プレイオフを通じてダニエル・ギャフォードより良かっただけに、第4戦でキッドHCはライブリー二世を先発させるかもしれない。
クリスタプス・ポルジンギスの不在は…
ペイント内からの得点でセルティックスは36得点と、マーベリックスの52得点を下回った。開始から2-9のランを許し、ジョー・マズーラHCは開始2分でタイムアウトを要求している。
アル・ホーフォードはポルジンギスの代わりに良いプレイを見せた。1on1で堅実な守備を披露し、序盤にセルティックスを試合に踏みとどまらせるショットを決めている。
控えセンターのゼイビアー・ティルマンSr.は出場した時間帯に浮き沈みがあった。3得点にとどまり、手痛いオフェンシブファウルもあったが、ドンチッチ相手に重要なブロックを見せ、アービングのレイアップをエアボールにさせた場面もある。
チーム最高のリムプロテクションを見せたのはデリック・ホワイトだ。速攻でハーダウェイJr.のレイアップを止め、第3Q終盤にアービングのショットをはたき落とすなど、2ブロックはハイライトにふさわしいプレイだった。
ジェイソン・テイタムが「ジェイソン・テイタム」
テイタムはファイナル自身最高の出来で31得点だった。FGは26本中11本成功。何度かひどいプルアップの3Pを放っている。終盤には彼のまずいプレイがマーベリックスを試合に戻した。
また、テイタムはドンチッチに1on1でターゲットにされ続けた。守備がひどかったわけではないが、ドンチッチにタフショットを決められている。それも、やすやすと決められているかのようだった。
一方で、テイタムは良かったところも多い。そのひとつが、ドライブからのチームメイトへのお膳立てを続けたことだ。また、残り2分強の彼のダンクは、この試合最大のプレイのひとつだった。シンプルによろしくない3Pのいくつかをなくしていれば、素晴らしい試合にしていただろう。
ジェイレン・ブラウンは「ジェイレン・ブラウン」
ブラウンはこのファイナルを通じて頼りになるスコアラー兼ディフェンダーだ。ドンチッチの主な担当として堅実な守備を続け、FG22本中12本成功の30得点を記録している。
ここで指摘されるように、テイタムとブラウンはNBAファイナルにおけるロードゲームで30得点&5リバウンド&5アシスト超をともに達成し、チームを勝利に導いた2番目のコンビだ。もう1組は、ニコラ・ヨキッチとジャマール・マレー。悪くないグループだ。
第3戦最高のロールプレイヤーはサム・ハウザー
ハウザーはショットへの準備を整えていた。3P4本中3本成功で9得点をあげている。さらに見事だったのは、フロアのあらゆるところにいた彼の守備だろう。
ハウザーは守備で平均以上の評価の選手ではない。だが、今ファイナルでのパフォーマンスでそれは変えるべきだ。ドンチッチとアービングはアイソレーションで彼をアタックしようとした。あちこちで得点をあげてきた選手たちだ。しかし、ハウザーは誰よりもうまく彼らに対応した。
セルティックスもマーベリックスもスター選手たちは優れている。だが、このシリーズで差につながっているのが、ロールプレイヤーたちだ。セルティックスはその点でマーベリックスに大差をつけている。だからこそ、シリーズは彼らの3勝0敗となっているのだ。
原文:Luka Doncic's troubling defense, Jaylen Brown's brilliance among biggest takeaways from Game 3 of 2024 NBA Finals(抄訳)
翻訳:坂東実藍