【インタビュー】新生ウィザーズを語るアンセルドHC

2023-09-22
読了時間 約3分
(NBA Entertainment)

ウェス・アンセルドJr.ヘッドコーチにとって、ワシントン・ウィザーズでの3年目は、再び球団が方針を変えて臨むシーズンとなる。

ウィザーズはブラッドリー・ビールが去った。通算平均22.1得点を記録してきた11年の経験を持つスター選手は、6月にフェニックス・サンズへとトレードされている。同じ日に、クリスタプス・ポルジンギスもボストン・セルティックスへと去った。ウィザーズでの出場はわずか82試合だった。

彼らの退団とともに、ウィザーズがプレイオフ進出を目指す素振りもなくなった。

アンセルドHCが就任してからの2シーズンとも、ウィザーズは35勝47敗という成績だった。ここ15シーズンでプレイオフ逸失は10回。ここ35シーズンでは25回だ。その始まりは、アンセルドHCの父親が指揮を執っていた6年(1988~1994年)だった。もちろん、殿堂入りした父親が現役時代に在籍したころのウィザーズは、13年間でポストシーズン進出12回、ファイナル進出4回、そして1978年のNBA優勝と、見事な成績を残しているのだが。

ウィザーズは、再びリセットボタンを押した。刷新されたウィザーズのロスターが、中長期的な未来の柱としてどれだけ評価されていようが、そこに「キャップの柔軟性」や「ドラフト資産」はない。ファンが応援するのは、カイル・クーズマやデニ・アブディヤ、コーリー・キスパートといった残留組と、ジョーダン・プールやタイアス・ジョーンズ、新人ビラル・クリバリーといった新顔たちだ。

2022年のドラフトで指名したジョニー・デイビスのNBAでの2年目が、1年目のような出来にならないことが望まれるだろう。ウィザーズはかつてドラフト上位で指名した八村塁が、1月にロサンゼルス・レイカーズへ移籍し、春のプレイオフで見事な仕事を披露するのを目にしている。

マイケル・ウィンガー新社長とウィル・ドーキンズ新GMは、ウィザーズを完全に解体させるまでには至らなかった。結局のところ、NBAのルールにおいて、チームは最低で1億2240万ドル(約181億1520万円/1ドル=148円換算)の報酬を支払わなければならない。プールとクーズマが5300万ドル(約78億4400万円)を分け、ジョーンズ、ダニエル・ギャフォード、ランドリー・シャメットが約3600万ドル(約53億2800万円)を分けることになる。

もちろん、ウィザーズがどれほどの利益を得られるかは、上記の選手たちによるだろう。だが、アンセルドHCの手腕次第でもある。プレイオフに進出できるかどうかで評価されることはないだろうが、ウィンガーとドーキンズは彼を雇った上司ではない。若手をどれだけ成長させ、チームとしてまとまるのにどれだけ時間を必要とし、攻守両面でどれくらいハードにプレイできるようになるかで評価されるはずだ。

先日シカゴで行われたNBCA(コーチ協会)の会議の際に、アンセルドHCが新シーズンについて『NBA.com』に話してくれた。


――このフレッシュなスタートで最も興奮するのは?

実質的に我々は新しいチームになった。多くの変更があったんだ。ロスターは大きく変わった。生え抜きの選手(ビール)やなじみの顔(ポルジンギス)がいなくなった。これまでのビールの影響力を軽んじることはできない。だが、とても優れたタレントたちが残ってくれた。一定のサラリーキャップの柔軟性も手にした。

だから、今後はかなり自由になるはずだ。7選手が27歳以下と若い才能が多く、また違った感覚、違った見栄えになるだろうね。だがそれこそ、このロスターをつくっていく上で面白いところだ。

――新戦力たちが加わるチームをまとめあげる鍵となるのは?

Scroll to Continue with Content

時間が必要だろう。すぐに進めることはできないと思う。勤勉に成長を目指さなければならない。選手によって成長の早さは違うだろう。だが、アブディヤやキスパート、ギャフォードなど、以前からいる選手たちは、大きなステップを踏み出してくれると思う。

プールは素晴らしい才能の持ち主だ。24歳で、私は成長の余地がたくさんあると思っている。(クーズマは)27歳のベテランだ。だからリーダーシップをとることになるだろう。ポジティブなことはたくさんあるんだ。変更した時は常に数か月の時間がかかる。それほど長くならないことを願うが、融合するには時間が必要だ。

――特にプールには何を期待するか。ゴールデンステイト・ウォリアーズという素晴らしい球団からの加入だ。足かせが外れたが、チームコンセプトの中にどうやってとどまらせる?

バランスが必要だ。彼は自分の役割を理解しなければいけない。我々は彼に大きく頼るだろうから、ウチではもっと役割が大きくなるはずだ。リーダーシップという点でね。コート上で自分のことをいかにやっていくかだけじゃなく、チームメイトたちも絡めていかなければならない。彼は素晴らしい選手たちと高いレベルでプレイしてきた。勝利とはどういうものかを知っていると思う。それは軽んじられないよ。

――クーズマにはキャリアの大半でトレードの噂があった。彼を評価する他チームがあるということだ。ウィザーズは4年1億200万ドル(約150億9600万円)の契約と報じられている。彼の序列も上がっているところだ。チームと彼にとってどういう意味だろうか?

本当に心強い。2年前の夏にトレードで獲得した。6フィート10インチ(約208センチ)で、ドリブルからショットを放つことができる。我々は彼に自由を与えた。それによって解き放つことができたんだ。そして私は彼がまだこれからだと思っている。彼とプールがリーダーシップをとる筆頭だ。昨年も彼は少しそういう役割を担ってくれたが、これからは一貫してその必要がある。

――今季最も飛躍を期待する選手は?

注目はキスパートだね。もうひとりはアブディヤだ。この2年、私とやってきた。素晴らしい夏を過ごしたよ。健康を保てるように願っている。彼らは大きく飛躍するはずだ。

――この仕事で自分に関して何を学んだ?

毎年、学ぶべきことはたくさんある。それは当たり前だ。だが、我々はチームが新しくなった。スタッフもかなり新しくなっている。だから、一緒に成長していくんだ。新たなフロントオフィスは、球団をどうしていきたいか、少しリセットしてくれたような感じだね。基準が変わった。だが、それは大きな興奮や活気につながると思う。

――新たなインシーズン・トーナメントにはどのように臨む?

少し未知の領域だ。(ノックアウトラウンドの)2試合は対戦相手がどうなるか分からない。でも、できるだけ早くなじませてくれると思う。どうなるか、エキサイティングだね。プレイオフ進出をかけたプレイイン・トーナメントを見てくれ。昨季は素晴らしかった。最初に導入された時は少し懐疑的だったが、やってみたら素晴らしかった。話題性を生む。一部のチームへのチャンスにもなる。

原文:Q&A: Wes Unseld Jr. on what you can expect from new-look Wizards(抄訳)