渡邊雄太 一問一答「初めてのプレイオフに向けて超興奮している」

2022-04-09
読了時間 約3分
NBA Entertainment

4月8日(日本時間9日)、トロント・ラプターズの渡邊雄太が本拠地スコシアバンク・アリーナ(オンタリオ州トロント/カナダ)で行われたヒューストン・ロケッツ戦に出場した。10点を追う状態で迎えた第4クォーターに12分間フル出場し、3得点、3リバウンド、2スティールをあげて逆転勝利に貢献するなど、自身初のプレイオフに向けて手応えを掴んだようだ。

5試合ぶりの出場となったこの試合後、記者会見に登場した渡邊が、この試合のこと、惜しくも失敗したダンクのこと、4年目にして初めての出場となるプレイオフのこと、離脱の原因となった故障のことなど、多岐にわたるメディアからの質問に答えた。

以下、会見での一問一答(前半は英語、後半は日本語での質疑応答。英語でのやりとりは翻訳。質問は要約)。


何があろうと準備しておかなければ

――久々の出場だったが、最終クォーターはフルにプレイした。

嘘を言うつもりはなく、(体力的に)楽ではありませんでした。ただ、何があろうと準備しておかなければなりません。故障明けでも、ローテーションから外れていても、それがプロがやるべきことなんです。そして、コーチに呼ばれたときに、練習の成果を示す。今夜はプレイの機会を得て、完璧ではなかったですが、良い仕事ができたと思います。チームが勝って嬉しいです。

――(第4クォーター残り4分29秒に)ダンクを決められなかったあとにかなり悔しがっているように見えた。

(憤っていたのは)ダンクを外したからです。ツイッターでは「(ジェイレン・グリーンの)素晴らしいブロックだ」とか書かれていましたが、実際はブロックはされてません。ただ、外したんです。1週間プレイしなかったりするとこういうことも起こります。あれは決めなければいけませんでした。

――クリス・ブーシェイ、プレシャス・アチューワは不調の期間でもチームがサポートしてくれたと話していたが、自身のケースはどうだったか。

僕に関しても同じです。選手だけでなく、コーチ陣も含め、みんなが常に僕と話し、コミュニケーションを取り、激励してくれています。この数か月は少し厳しいものになっています。特にシーズン序盤はローテーションに入っていたのに、今は外れてしまっているのでつらいですが、彼らは僕の自信を保ってくれています。おかげで今日も良いプレイができました。チームメイトのサポートには本当に感謝しています。

間違いなく優勝が争える

――プレイオフに向けてエキサイトしているか。

超エキサイトしています。これが4年目にして初めてのプレイオフ。楽しくなるでしょうし、僕も、チームも準備はできています。本当にエキサイトしています。

――今のラプターズはどのくらい良いチームだと思うか。

本当にいいチームです。間違いなく優勝が争えます。レギュラーシーズンもあと1戦なので、ニューヨーク(ニックス戦)でもう1勝をあげなければいけません。僕たちは準備ができています。(プレイオフまで)6日間の休みがありますが、良い練習をしたいです。対戦相手がどこになるかはわかりませんが、どこであろうと準備はできています。エキサイトしていますよ。

――チームにポジティブなエナジーを供給することは重要か。

僕は良いチームメイトであろうと心掛けています。ラプターズにはいないですが、中には出番のないとき、手を叩かず、立ち上がらず、仲間たちの応援をしない選手もいます。僕はそういう選手ではありません。何があろうと、立ち上がり、チームメイトを応援し、ポジティブなエナジーを与えるようにしています。特にプレイをしていないときは、それが僕の仕事。これからも続けるつもりです。

※以下、日本語での質疑応答。

――タイプ的に共通点もあるサディアス・ヤングから学べることは?

彼のプレイを見ていていつも思うのは、どんな状況でも常に落ち着いているということです。フロアバランスとかを常に把握しています。長年NBAでやっていて、素晴らしいプレイヤーですし、今回トレードで入ってきても、自分の役割を理解していますね。うちには絶対的なスコアラーが何人かいて、その選手たちの良さを引き出せるようなプレイをいつもやっていると思います。僕もこのチームではそういう選手としてやっていかないといけません。自分の役割に徹する部分だったりとか、自分がやれるときはしっかり得点を取りにいったりだとか、いいディフェンスをしたりだとか、彼から学べることはたくさんあるなといつも感じています。

逆転勝利に貢献できたのはすごく大きな意味がある

――地元メディアやファンの応援や期待感はどう助けになっているか。

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どんな人からでも応援してもらえるとすごく嬉しいですし、特に自分がうまくいっていないときに応援してくれる人は、本当に心の底から応援してくれる人なんだろうなっていつも思っています。そういう人たちの声は大事にしたいと思いますし、自分がしんどいときに、応援の声を聞くともっと頑張らなきゃいけないという気持ちになります。トロントの人たちの歓声だったりとか、SNSを通じてでも応援の声をたくさんいただくので、いつも感謝しないといけないなと思っています。

――プレイオフの前に今日のように勝負がかかった場面で出場し、勝利に貢献したことの意義は?

今、ローテーションはある程度、コーチの中で固まっているんでしょう。ケガ人がいなければ、なかなか自分の出番は回ってくることはないなとは思っています。ただ、本当に何があるかはわからないですし、自分はいつでも出れる準備は絶対にしておかなきゃいけません。準備は簡単じゃないですし、今回はケガもしていて、復帰戦だったので、難しい部分もたくさんありました。ただ、こういう機会を掴める選手がこの先も絶対に残っていけるような選手だと思っています。

普段から準備ができておらず、こういうときに急に呼ばれてもいいプレイができずに、そのままNBAから去っていく選手もたくさんいるのでしょう。今日はもちろんもっといいプレイができたんじゃないかなと思うんですけど、それでもあの場面で出て、逆転勝利に貢献できたっていうのはすごく大きな意味があったと思います。

だからといって、今日の1試合だけで自分がローテーションに戻れることはないでしょうけど、次のニックス戦もあります。どういう形かわからないですけど、自分が出たら、今日みたいにまずエナジー全開でプレイします。プレイオフでもいろんなことが起きると思うので、常に準備は怠らずにやっていかなきゃいけないと思っています。


【動画】渡邊雄太 ロケッツ戦ハイライト|2022.4.8


今までの準備の積み重ねがあったから

――先日、カイル・ラウリー(※2012~2021年にラプターズに在籍し、2019年の優勝に貢献。現マイアミ・ヒート)がトロントでのラプターズ戦で大歓迎を受けていた。ラウリーのラプターズにおける存在の大きさは感じたか。

歓声が本当にすごかったですし、超満員のお客さんの中で(トリビュート)ビデオも素晴らしかったです。ああいう選手と去年、1年間だけでしたけど、一緒にプレイできたのは本当にすごく大きかったと思っています。学ぶこともたくさんありましたし、彼と一緒にプレイできて自分もたくさん成長できたと思っています。改めて今年、別のチームになってみて、あの日は僕はケガで出れなかったですけど、トロントの一員として彼を歓迎するゲームの一員になれたっていうのはすごく嬉しかったですね。

――出場できない間も積み重ねていたからこそ、今日の復帰戦でいきなりあれだけ動けたのか。

それは間違いないと思っています。ケガをしていた間、一昨日少しと、昨日くらいしか動けませんでした。今日の朝、一応MRIも撮りにいったんですけど、痛みがほとんどなかったんでそこでOKサインが出ました。このケガの期間だけでいうと、全然満足に練習はできていなかったんで、少し心配ではありました。ただ、こういうふうに試合に出て、自分の仕事がこなせるっていうのは今までの準備の積み重ねがあったからだなとに思っています。いつもしんどいときでもやり続けて良かったなと、こういう試合がひとつでもあると本当に思いますね。

――プレイオフの前に得た12分のプレイタイムは自信になったのでは?

思い切ってプレイできたんじゃないかなと思っています。打つべきシュートは打てていました。(離脱中は)あまり動けてなかったので、ディフェンスでは体力が心配ではあったんですけど、前からどんどんプレッシャーかけていこうと思っていました。プレイしている間は夢中になって、あまり今までのケガのことやしんどさは忘れていたんですけど、今日みたいな試合はすごく自信につながります。自分の中でもっとできたなと思えるところが、自分が成長している部分かもしれません。正直、あのダンクは決めなきゃいけなかったですし、3ポイントもワイドオープンでもらったので決めるべきシュートでした。もっといい活躍ができたと思うんですけど、間違いなく自信にはなりました。

プレイオフの舞台に自分が立つと思うとワクワクする

――ラプターズはプレイオフでもダークホースになりそうだが、シーズンを通じて調子を上げられた要因は?

僕はもともとこのチームは強いと思っていたし、間違いなく優勝を狙えるチームだとずっと思っていました。シーズンを通してケガ人が多かったりだとか、メンバーが揃うことが少なかったので、なかなかリズムが掴めていませんでした。それがシーズン中盤に主力がだいぶ戻ってきて、ほぼフルメンバーでできている試合が多かったんで、強さが出てきたんだと思います。最初からこれだけやれる力はあったと思っていたんで、ようやく噛み合ってきたというか、時間とともにいい傾向が出てきたという感じです。

――これからプレイオフだが、ファンとして見ていた頃に印象に残っている場面、選手はあるか。

コービー(ブライアント)がいたレイカーズが何度も優勝しているんですけど、一番印象に残っているのは何年だったかな…(笑)。そうやって今まで見てきていたプレイオフの舞台に、これから自分が立つんだと思うとワクワクします。ただ、自分自身はプレイオフに出ることが目標ではなく、このチームで優勝するのが目標です。それは常に頭の中に置いて、もちろん一戦一戦を勝っていかなきゃいけないですけど、自分がやれることをしっかりやっていけたらなと思っています。

――今回のケガはどういう状況で起こったものだったのか。

オプショナルのシューティングの日だったんですけど、試合にあまり出れていなかったんので、ちょっとハードにやっておかなきゃなと思ったら、肉離れを起こしてしまいました。

取材、一問一答構成:杉浦大介 @daisukesugiura

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