前評判は本当と示したビクター・ウェンバンヤマとチェット・ホルムグレン

2023-10-11
読了時間 約3分
(NBA Entertainment)

ビクター・ウェンバンヤマとチェット・ホルムグレンに最初に注目した時から、スカウトたちは彼らがいかに特別な選手たちなのかを世界に伝えようとしてきた。そして10月9日(日本時間10日)、彼らは初のプレシーズン戦でその理由を示している。

わずか20分未満の出場で、ウェンバンヤマはフィールドゴール13本中8本成功(うち2本は3ポイントショット)の20得点を記録した。ホルムグレンも負けていない。たった16分強の出場で21得点、9リバウンド、1ブロックをマーク。その多才ぶりで試合に影響を及ぼした。

彼らのプレイがいかにとんでもないか、ボックススコアを見るだけでは分からない。NBAの舞台で彼らが見せてくれたことから学んだことをここでまとめる。

高さ活用で他選手にできないことをするウェンバンヤマ

ウェンバンヤマは最初の得点でそれを示した。ホルムグレンは7フィート1インチ(約216センチ)だ。しかし、7フィート4インチ(約224センチ)のウェンバンヤマは、味方のフリースローが外れたところをホルムグレンの上からティップイン。まるでホルムグレンがそこにいないかのように見せた。

ただ、ウェンバンヤマは得点をあげるのにサイズだけに頼っていたわけではない。彼が特別なのは、ビッグマンのプレイというより、ガードのような機動性を持つからである。空中で7フッターをかわし、アンダーハンドで決めるケンドリック・パーキンスのハイライトなどないはずだ。

ウェンバンヤマは守備も優れているとの呼び声が高かった。ウィングスパンが8フィート(約244センチ)のウェンバンヤマの上から得点するのがほぼ不可能なのは、すでに知られていたとおりだ。しかし、この日最も衝撃的だったのは、抜かれてからの反応の速さだった。

第1クォーター、ウェンバンヤマはリーグでも有数のドライブとフィニッシュを誇るジェイレン・ウィリアムズに後ろをとられ、レイアップに向かわれた。だが、そこから反転してプレイに戻り、ブロックしてみせたのだ。ウェンバンヤマがやったことは、リーグのほかの誰にもできないだろう。

最も印象的だったのは、ホルムグレンに頭から突っ込み、バスケットの下へと吹き飛ばして、得点してからガッツポーズを見せたことだ。ホルムグレンからは自身のX(旧ツイッター)で「止められないムーブ」と賛辞が寄せられた。

Scroll to Continue with Content

ウェンバンヤマがパワー、流動性、圧倒的なサイズで特別なのは、誰もが耳にしていた。だが、NBAのタレント相手でもそれを見せつけ、前評判が本当だったと思い知らせたのだ。

フランスでの昨季が3P成功率わずか27.5%だったことで、ウェンバンヤマの攻撃に関する疑念もあった。だが、プレシーズンデビュー戦のウェンバンヤマは、たとえショットが決まらなくても得点する方法を見つけると示している。そして長さがあるだけに、守備もすぐに通用するだろう。

ウェンバンヤマと張り合うホルムグレン

先日、ウェンバンヤマはサンアントニオのメディアで、ホルムグレンは「この世代の素晴らしい選手のひとり」と評した。そしてホルムグレンはその賛辞にふさわしいことを示している。前評判はウェンバンヤマほどではなかった。だが、ホルムグレンもこのサイズの選手としては高いスキルを持つ。第2Qには、ウェンバンヤマに3Pを決められた直後に3Pをやり返す場面もあった。

また、ウェンバンヤマの豪快なダンクを受け、自らボールを運び、そのままリムに仕掛けてレイアップを決め、さらにファウルをもらうシーンもあった。

ホルムグレンは第1Qだけで14得点、7リバウンドを記録した。リーグを代表するスコアラーになることが予想されているわけではない。だが、ペリメーターで他のビッグマンが自身のドライブを抑えようとするのは極めて難しいということを示した。

両者のプレシーズン最初の対戦は、予想されていた以上に素晴らしかった。そしてこれは、試合後にホルムグレンが報道陣に話したように、新人王争いの有力候補である2人の素晴らしいライバル関係の始まりでしかないはずだ。ホルムグレンはこう述べている。

「僕は長くやっていくつもりだ。(ウェンバンヤマも)同じだろう。だから、やり合っていく以外はないさ」

原文:Victor Wembanyama, Chet Holmgren stats in preseason debut shows why the hype is real(抄訳)