日本代表はどうやってドイツを倒したのか? 番狂わせを起こせた理由|カタールW杯

2022-11-23
読了時間 約3分
Getty Images

FIFAワールドカップ・カタール2022でヨーロッパの強豪2か国と同組になった日本は、ノックアウトステージ(決勝トーナメント)に進むためには、1度ないし2度の番狂わせを起こす必要があるということを知っていた。

それを彼らは初戦でいきなりやってのけた。11月23日、日本は強豪ドイツに2-1と衝撃的な勝利を収めたのだ。

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ドイツは前半、イルカイ・ギュンドアンのPKで先制した。だが、何度となくリードを広げるチャンスを生かせず。それが日本を試合に戻すこととなり、後半は日本のほうが楽しんでボールを持てるようになった。

日本がともに途中出場した堂安律と浅野拓磨のゴールで試合をひっくり返した一方で、ドイツは再びワールドカップで胸が張り裂けるような思いをすることになった。

右サイドというドイツの弱点を突いた日本

前半の日本はひどかった。開始から40分間でパスはわずかに42本。ほとんどボールに触れることができなかった。一方で、ドイツはそれまでに300本超ものパスを記録した。

そこで日本の森保一監督はハーフタイムに必要な調整を行い、そこからハンジ・フリック監督を打ち負かしたのだ。

森保監督は、ドイツがバランスを崩していることに気づいた。フリック監督のチームに右サイドバックがいなかったからだ。

フリック監督は代わりに195cmのセンターバック、ニクラス・ジューレを右サイドに起用した。その結果、非常に左寄りのフォーメーションとなったのだ。ジューレはまったく前に出ることができず、しばしば中央へと流れた。そして右ウィングのセルジュ・ニャブリがピッチで浮くことになった。

ハーフタイムに森保監督は久保建英を下げ、アーセナルの右サイドバックである冨安健洋を投入し、罠にはめようと待ち構えた。

60分を前に、三笘薫も左サイドに投入。すると突然試合が変わる。フリック監督が本来の右サイドバックであるヨーナス・ホフマンを投入するころには、時すでに遅しだった。日本が試合の主導権を握っていたのだ。

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試合を変えたGK権田のセーブ

試合が変わったのは70分。ドイツが2点目を奪うかと思われた時だ。それまで、日本の守護神である権田修一は、決断力という点で苦しんでいた。ドイツの先制点となったPKを献上し、しばしば危うい飛び出しを見せていた。

だが、最も大事なところで、彼は堂々としていた。権田の4度にわたる見事なセーブで、日本はすぐに勢いをつかんだ。この間の4本のシュートは、合計で得点期待値が0.75 xG、枠内シュート得点期待値は1.09 xGOTだった。

この瞬間、試合は一気にひっくり返った。数分後、伊東純也がドイツのGKマヌエル・ノイアーにビッグセーブを強いると、2分後に日本は同点に追いつく。そして83分、ヨーロッパの強豪にとってすべてが崩れ落ちることとなった。

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ワールドクラスだった日本のフィニッシュと決定力を欠いたドイツ

前述のように、この試合で違いとなったのはフィニッシュだ。ドイツには2点差をつけられるだけの数え切れないほどのチャンスがあったが、決めることができなかった。

ドイツの19歳の驚異の若手ジャマル・ムシアラは、ボールを持てば素晴らしかった。だが、自らつくり出した45分のチャンスでは、シュートがクロスバーのわずかに上へ。セルジュ・ニャブリは前半アディショナルタイムの絶好機で枠に飛ばさなかった。前述の権田が4回セーブした場面は、ドイツにとって最高のチャンスだった。

一方で、日本はチャンスを生かした。前半はシュートわずか1本で、それも前半アディショナルタイムのことだった。得点期待値は0.11 xGだ。だが後半、日本は11本のシュートを放ち、得点期待値は1.31 xG。シュート11本のうち9本は60分以降のものだった。

ゴール前での日本は見事だった。堂安律の同点弾は、ノイアーが最初のセーブでピッチに倒れていただけに、外すのが難しいという一発だった。だがそれでも、彼は大変な困難の中で冷静にそれを決めなければいけなかったのだ。

そして浅野拓磨の決勝点は見事な輝きだった。ロングボールを素晴らしいファーストタッチで収め、ニコ・シュロッターベックを振り切り、ニアを抜いてノイアーが守るゴールを射抜いた。狭い角度だっただけに、おそらくノイアーはもっとうまくやるべきだっただろう。美しかった。ドイツは、そういった瞬間をつくることができなかった。

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