FIFAに2022年ワールドカップの開催国に選出されて以来、カタールは脚光を浴びている。アラブ諸国の水銀レベルの高さは、当初、評論家から批判を受ける要因の一つであった。
FIFAは大会の冬季開催を決定した。2022年ワールドカップのインフラ整備を担っている「Supreme Committee for Delivery & Legacy (SC)」(「伝送と遺産の最高委員会」)は、スタジアムの気温を制御できる、世界レベルのインフラ構築の作業を開始した。
その作業は急ピッチで進んでおり、SCは既に最先端の設備をいくつか公開し、世界中から注目を集めている。しかし、カタール政府による強制労働の話題と共に、労働者の労働条件は度々問題視されていた。
そのような理由で、労働問題に取り組む国際労働機関(ILO)、国連(UN)に対し労働者が苦情を申し立てるほどになった。約200万人の外国人労働者がカタールで労働搾取されたとして、国際労働組合総連合(ITUC)はこの苦情を支持した。
しかし、カタール政府は、労働者を保護する法案を提出し、ILOに技術協力を約束した。その措置に満足したILOは、この件を終結させた。ITUCもまた、その是正を受け、カタールに対する姿勢を変更したのだ。
カタール政府は、労働力を提供している国との間に36の労働者保護協定を結んでいると伝えられており、ILOは調査委員会を設置せず、苦情の申し立てを却下する決定を下した。これは非常にまれなことだ。
労働者の権利を改善する努力を見せたことで、カタール政府は先週ILOからお墨付きを得た。
2022年カタール・ワールドカップの建設現場で働く労働者の現状はいかなるものか?『Goal』は、その中の一つに潜入した。アル・ホール近郊のアル・ベイト・スタジアムだ。
労働時間は?
一労働者の労働時間は、1週間のうち6日間、1日8時間までに制限されている。しかし、時間外賃金を望む場合は、最大で2時間の残業も可能だ。
さらに、夜間の長時間労働を阻止するための策が講じられており、シフトは公正にローテーションされている。夏季の日中に、長時間労働させないための措置も取られている。
アル・ベイト・スタジアム施設のプロジェクトマネージャーは、「夜間に勤務した者には休暇を与え、その後は日中の勤務に回します」と述べた。
健康管理
SCは、ワールドカップ建設プロジェクトに従事する労働者の健康診断をするため、アラブ諸国で有名な医療研究機関、ワイル・コーネル医科大学カタール(WCM-Q)とパートナーシップを結んだ。WCM-Qは、労働者の健康、食生活、栄養学に関する意識について、診断する。
さらに、労働者を採用する前に、健康状態を複数の段階で診断する。担当者によると、労働者は自国で初診を受け、カタール居住後に別の診察を受ける。作業を開始する前には、建設現場でまた別の診察を受けなければならない。
「我々は1000人の移民労働者を雇い、彼らに完璧な健康診断を受けさせています。既往歴を把握したら、次の段階は栄養指導です。食事や生活習慣を調べて、糖尿病などの心配がないかチェックします」SC労働者福祉部の監査・コンプライアンスマネージャー、バン・ダイク氏は述べた。
「我々は、高血圧症やそのリスクのある従業員を特定しました。今はその問題に取り組んでいます」彼は付け加えた。
(後編へつづく)