2022年ワールドカップ開催国カタール:労働者について知っておくべきこと(後編)

2017-11-23
読了時間 約2分

宿舎

アル・ベイト・スタジアムの建設現場には、2700人の労働者と100人のスタッフを収容できる宿舎があり、現在は2300人の労働者が入居している。適切な宿舎を提供することは、極めて重要なことであり、彼らが不自由しないよう、SCは努力している。

労働者には、最大4名が入居できる相部屋が提供される。1人の労働者につき、1つのベッドと少なくとも60平方メートルの専用スペースが与えられる。全ての部屋には、エアコンが備わっている。

女性労働者は、男性宿舎とは反対側の敷地の端に建つ、同様の宿舎に入居する。

また、テレビルーム、ジム、無料のランドリー設備に加え、各部屋には無料Wi-Fiサービスが提供されている。

食事とレクリエーション

食事に関して特筆すべき点は、各部屋での調理は許可されておらず、代わりに調理済みの食事が提供されていることだ。施設内の全ての人に対し、朝食と昼食と夕食が食堂で無料提供されている。

労働者はそれぞれ異なる経歴や文化を持っているため、様々な種類の料理が用意され、そこから選択可能だ。アラビア料理、アジア料理、アフリカ料理、さらにはベジタリアン用の食事も用意されている。つまり、自分の好みに応じて食事することができるのだ。

「労働者は、自分のための時間や家族と電話をする時間が必要です。だから、調理済みの食事を提供することに決めたのです」バン・ダイク氏は述べた。

SCはまた、労働者のために様々なレクリエーション活動を保証している。施設内のレクリエーションルームでは、テーブルサッカー、ボードゲーム、ダーツなど、たくさんの室内ゲームが楽しめる。屋外で楽しみたい労働者のためには、バレーボールとバスケットボールのコートが用意されている。

読書家の労働者は、シェークスピアやディケンズ、チョーサーなどの作品から選ぶことができる。映画マニアのためには、映画雑誌や施設内に3つのシアターが用意されている。

「労働者のために、バスも運行しています。金曜日の仕事終わりに、彼らは無料でアル・ホールやドーハまで行くことができます」バン・ダイク氏は繰り返し述べた。

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苦情解決

労働者の保護対策が完璧であれば、労働者から苦情や問題が噴出することはない。SCはそのような対策が現場で実施されていることを確認している。

バン・ダイク氏はこう説明する。「全ての従業員の権利を保証するカードを配布しました。ホットラインの電話番号も提供しています。しっかりと遂行されるために、ホットラインは様々な言語で対応しています。」

「各労働者には固有の番号を明記したステッカーが配られます。もし苦情がある場合は、ホットラインに電話をかけ、匿名で固有のIDを述べるのです。電話の担当者は、その人の国の言語を話します。」

「電話は実際には、SCとは切り離された、独立した第三者機関につながります。その後、苦情は我々の元に戻され、プロジェクトマネージャーがその問題の解決を担当します」バン・ダイク氏は明かした。

「バングラデシュ人労働者が食事に苦情を申し立てた事件が、ここアル・ベイトで起こりました。労働者がホットラインに電話をかけ、問題を提起したのです。その後、私たちはSCに働きかけ、メニューを改善してもらいました」アル・ベイト労働者フォーラムの代表者は述べた。

SCは、各宿舎に労働者福祉フォーラムを設置した。各フォーラムには、各国から1人ずつ代表者が選出される。その中の1人がフォーラム長に選ばれ、毎月、経営陣と会合を持ち、問題を議論し提起している。

(完)

原文:FIFA World Cup 2022 in Qatar: All you need to know about the labourers

翻訳:Atsuko Sawada