第99回箱根駅伝(2023年1月2日・3日/東京箱根間往復大学駅伝競走)に出場する東洋大学が12月21日、オンラインにて共同会見を開き、酒井俊幸監督、主将の前田義弘(4年)ら3選手が本戦に向けて抱負を語った。
コンディションの影響から今季の駅伝シーズンの出場を見送ってきたエースの松山和希(3年)は調整が間に合わず箱根のエントリーからも外れたが、こうした逆境でも持ち前の粘り強い走りで存在感を見せるのが「鉄紺」東洋大学の真骨頂。チーム一丸となって18年連続のシード権獲得はもちろん、総合3位以内を目指す。
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エース抜きでも中間層の充実に手応え
10月の出雲駅伝は9位、11月の全日本大学駅伝は8位とギリギリでシード権を獲得。各区間20kmを超える箱根では、過去2年「花の2区」を任され共に1時間7分台で区間4位、5位と重責を果たした松山がいないのは、確かに痛い。だが、酒井監督は「中間層は充実している」と総力戦で臨むつもりだ。
「松山がいないのは大きな戦力ダウンですが、メンバーに入れなかった選手も着実に成長を遂げてきていたので、16人を選ぶのに苦労しました。例年の今ごろに比べても故障者がほぼいないので、松山の穴を全員で埋める覚悟です。区間配置については、1区間に2名ずつ候補を挙げて、残り10日間の仕上がりを見ながら決めていくことになると思います」(酒井監督)
チームを支える4年生・前田と柏
今回のエントリーは4年生6人、3年生5人、2年生3人、1年生2人と上級生中心のチーム構成。やはり鍵を握るのは4年生となりそうだ。
主将としてチームを引っ張ってきた前田義弘は、過去3年の箱根では8区6位、3区8位、9区5位と異なる区間で役割を果たしてきた。本人は、「前回の9区は良い形で走れた一方で、2年時の3区で悔しい思いもした」と希望区間を挙げながらも、「どの区間でも走れる準備をしていきたい」とフォア・ザ・チームで臨む。
柏優吾も充実している。8月の北海道マラソンでは日本人トップ(全体2位)となり来年秋に開催予定のパリ五輪マラソン日本代表選考会となるマラソン・グランド・チャンピオンシップ(MGC)への出場権を獲得。実業団での競技生活を見越しての挑戦だったが、「学生が8月にマラソンを走って、駅伝シーズンに臨むのはあまり前例のないこと。その意味では、後輩たちに選択肢を残せたかと思います」と、予想以上の好結果を導き出した初マラソン、そして全日本では最終8区で区間7位と役割を果たした今季のアプローチを振り返る。
前回大会は9区にエントリーされながら当日変更で控えに回り、前田のサポート役に回った。悔しさはあったが、「まだ力不足」ととらえ、体のケアや食事面から見直し、結果に結びつけてきた。出走すれば最初で最後の箱根で、力を出し切るつもりだ。
期待のかかる2年生コンビ、石田&梅崎
入学時から高い期待を寄せられてきた2年生世代では、石田洸介と梅崎蓮がキーマンとなる。5000mの元高校記録保持者で、松山と並ぶダブルエースとして期待されていた石田は春先のトラックシーズンをコンディションの影響で出遅れた。1年時には2大会連続区間賞を獲得した出雲、全日本には2年連続で出場したものの、「思うような走りができていない」。
だが、夏合宿では課題でもあったスタミナを克服するため、長い距離を踏んできた蓄積がある。「1年前の今頃に比べても、距離への自信はあります。世界に羽ばたいていった東洋の先輩方が走った2区か、前回出場予定だった4区を希望しますが、任された区間ならどこでも走れるようにしたい」と、箱根にかける思いは強い。
前回は1年生として唯一箱根路を経験(7区11位)した梅崎は、好調を維持。2年連続出場となった全日本では、本人は満足していないが、2番目に距離の長い(17.6km)7区で区間7位と合格点の走りを見せた。今年はハーフマラソンも複数回走っており、距離への準備もできている。
他のエントリーメンバーも12月に入ってから総じて好調の様子で、「出雲、全日本に未出場組では熊崎(貴哉、3年)と小林(亮太、2年)が調子を上げてきている」と酒井監督が言うように、チーム内の競争も激しさを増している。
「鉄紺」らしい粘り強い走りを
近年の箱根は、どのチームも往路に強い選手をそろえ、その勢いで復路も押し切る駅伝が上位勢のパターンだが、前回大会の東洋大は往路9位ながら、復路2位と粘りの走りで総合4位に入った。今回もそのようなイメージを想定しつつ、「序盤から上位勢に食らいつき、前回大会のような粘りで総合3位以内を目指したい」(酒井監督)という。
2009年の初優勝以来、箱根では14回中12回で総合3位以内(優勝4回)、前回も4位とハイアベレージな成績を残し続ける東洋大学。チームの異名である「鉄紺」の魂を発揮する走りに期待したい。
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