サウジアラビアでのボクシング世界戦の歴史:ウシクvsジョシュア以前に2度の大会、ほかの国際的スポーツも開催実績

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日本時間8月21日、オレクサンドル・ウシクとアンソニー・ジョシュアが中東の地で2度目の対戦を迎えるが、この戦いはサウジアラビアで開催される最初のボクシングマッチではない。同国で開催されたボクシングの試合やそのほかの主要なスポーツイベントをベン・ミラー(Ben Miller)記者が紹介する。

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サウジでのボクシングイベントはウシク vs. ジョシュアで3度目

WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に挑む、前王者アンソニー・ジョシュア(英国)のリベンジマッチ(現地時間8月20日)の開催地となる『ジェッダ(ジッダ)・スーパー ドーム』は、2021年6月に同国の著名なスタジアム『キング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアム』の西側にオープンして以来、サウジアラビアにおけるスポーツ分野の成長の象徴として紹介されている。

同会場は、210mを超える無柱の球体ドーム屋根によって、同種の建築物における世界記録を打ち立てた。文字通り、ドーム型建築物としては史上最大であり、世界的プロレス団体であるWWEとの10年間のパートナーシップの一環として、2022年2月20日にはサウジ国内で7度目となったWWEのビッグイベント(エリミネーション・チェンバーPPV大会)を開催したことでも話題になった。

そしてボクシング界も、サウジアラビアで開催される最新の戦い「ウシク vs. ジョシュア2:紅海の怒り」で、35000人収容の大舞台に足を踏み入れることになるが、同国でボクシング世界戦が行われるのはこれで3度目になる。最初の戦いは誰と誰の試合だったのか、ジョシュアにとって同国で最初の戦いで何が起こったのか、そしてこれらのイベントは、サウジアラビアにおける国際的スポーツイベントの一部であることを解説する。

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公式ポッドキャスト番組「スポーティングニュース7(英語のみ)」:アンソニー・ジョシュアがウシクとの再戦に向けて意気込み語る(3:21から)

2018年9月:ジョージ・グローブス vs. カラム・スミス

『ワールドボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)』のスーパーミドル級トーナメント優勝とWBAスーパーミドル級スーパー王座、リング誌認定同級王座がかかった決勝戦において、同王者ジョージ・グローブスとカラム・スミス(ともに英国)がキング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアムで激突。スミスが7回TKOで勝利し、優勝トロフィーとベルトを手にした(のちにベルトはカネロことサウル・アルバレスに奪取された)。

当時、WBSSプロモーターのカレ・ザウアーランドは、サウジアラビアでのイベント開催について「これは(ボクシング業界で)何か大きなことが始まるキッカケかもしれない」と語り、「プロモーターというのは、ボクシングの興行を地球上のどこであろうと開催しようとするものだ」とも豪語した。

ザウアーランドはこのイベントを、モハメド・アリがジョージ・フォアマンと戦った1974年の「ザ・ランブル・イン・ザ・ジャングル(アリの逆転勝利はキンシャサの奇跡と称された)」と、その1年後にアリとジョー・フレイザーの第3戦となったフィリピンでの「スリラー・イン・マニラ」という、ボクシング史上最高の名勝負と並べ立てて喧伝した。

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ちなみにグローブスは、かつて2014 年5月にウェンブリースタジアムでカール・フローチ(英国)との再戦に敗れたが、この試合は当時英国史上最も多くの動員を達成したビッグマッチだった。

2019年12月:アンディ・ルイス・ジュニア vs. アンソニー・ジョシュア

2019年6月、当時WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王座への新たな挑戦者として急遽あてがわれたアンディ・ルイス・ジュニアは、2016年に唯一の世界タイトル挑戦(対WBO同級王者ジョセフ・パーカー)に敗れていたため、ニューヨークで最初にジョシュアと対戦したとき、その無名のアメリカ人ファイターによる「世紀の大番狂わせ」を予想する人間はほとんどいなかった。

ジョシュアが序盤から自身よりも運動能力の劣るファイターに手を焼き、第7ラウンドでTKO負けを喫するという衝撃の結末により、半年後の12月にサウジアラビア・リヤドのディルイーヤ・アリーナで行われることになる大規模な再戦イベントを生み出した。

巨額の資本を投じるサウジアラビアで試合を行うことは両ファイターにとって非常に有益なもので、ジョシュアにいたっては約6000万ドル(約80億円)を稼いだとされている。脅威の存在となったルイスに対して、ジョシュアはタイトルを取り戻すために巧妙なボクシングを展開。全会一致の判定勝利で「クラッシュ・オン・ザ・デューンズ」と称されたこの再戦に打ち勝ち、統一王者に復帰した。

Ruiz and Joshua - Cropped

敗れたルイスはのちに、自身の自堕落なライフスタイルによって体重増加を招いたまま再戦に臨んだことについて後悔していると語った。だが、多くのボクシングファンは、史上最大かつ最も決定的な番狂わせによる天地がひっくり返るような成功に溺れて失敗するという、誰もが理解し得る過ちを犯したルイスにむしろ好感と親しみを覚えたのだった。

2022年8月20日:オレクサンドル・ウシク vs. アンソニー・ジョシュア

ジョシュアにとっての2度目のサウジでの試合は、ウシクにとっては、2021年9月にロンドンのトッテナム・ホットスパー・スタジアムでジョシュアから奪ったWBAスーパー・IBF・WBOの主要世界3団体ヘビー級統一王座、およびIBOの世界ヘビー級タイトルの最初の防衛戦になる。35歳のウシクはプロ20戦目、32歳のジョシュアは同27戦目の試合だ。「紅海の怒り(Rage on the Red Sea)」と名付けられた8月20日(日本時間21日朝)の試合でウシクが勝利すれば無敗記録を更新することになる。

また、同イベントのメインカードでは、こちらもサウジで2度目の試合となるカラム・スミスが、2016 年リオデジャネイロ五輪の銅メダリストであるマチュー・ボードリック(フランス)とWBC世界ライトヘビー級必須挑戦者の座をかけて対戦する予定だ。

ソマリア出身のボクサーであるラムラ・アリも、サウジアラビアで開催される初の女子プロボクシングの試合に出場し、ドミニカ共和国のクリスタル・ガルシア・ノバとプロ7戦目の試合を行う。32 歳のモデルであり、作家であり、人権活動家であるアリは亡命以来、英国に拠点を置き、ジョシュアの個人事務所に所属する。2021年の東京オリンピックにソマリア人初の女性ボクサーとして女子フェザー級に出場。同階級は日本の入江聖奈が金メダルを獲得した。

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サウジアラビアで開催されたそのほかの国際的スポーツイベントは?

近年、サウジアラビアでは、注目すべき国際的スポーツイベントの開催が増加している。たとえば、英国人ドライバーのルイス・ハミルトンは、2021年12月に同国初のF1グランプリで優勝し、現世界王者のマックス・フェルスタッペンは2022年3月の第2回大会優勝を果たした。

キング・アブドゥッラー国際スタジアム、キング・サウード大学スタジアム、キング・ファハド国際スタジアム、モハメド・アブドゥ・アリーナ、ジェッダ・スーパードームでは、2018 年以来WWEのビッグイベントを開催してきた。

スペインのサッカー強豪レアル・マドリードは、過去2度サウジアラビアで行われた4チームによるスーパーコパ・デ・エスパーニャでいずれも優勝した。2020年1月にキング・アブドゥッラー国際スタジアムでアトレティコ・マドリードを、2年後にキング・ファハド国際スタジアムでアスレティック・ビルバオをPK戦で破った。

スーペルコッパ・イタリアーナも、ここ数年、サウジアラビアで2度開催されている。2019年1月にユベントスがキング・アブドラ・スポーツシティでACミランを破った試合では、クリスティアーノ・ロナウドが唯一のゴールを決めた。ビアンコネリ(ユベントスの愛称)はその1年後にキング・サウード大学スタジアムでラツィオに3対1で敗れている。

そして、ゴルフ界を二分する存在となったリブゴルフ・インビテーショナルシリーズの最後から2番目の大会は、10 月14日から16日にかけて、ジェッダにあるロイヤル・グリーンズ・ゴルフ&カントリークラブで開催される。また、競馬界では、2020年から毎年開催されているサウジカップ(賞金 2000 万ドルの世界で最も高額なホースレース)も知られる存在となった。

※当記事は英語記事「Boxing matches in Saudi Arabia: Previous fights and major sporting events as Anthony Joshua and Oleksandr Usyk meet in Jeddah」をスポーティングニュース日本版編集部が翻訳・編集した記事となる。

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Ben Miller is a content producer for The Sporting News.
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