フェルスタッペンが最多タイ13勝、レッドブルも年間制覇でマテシッツ氏を追悼|F1アメリカGP2022決勝結果

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現地時間10月23日(日本時間24日早朝)に米国テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで、F1世界選手権第19戦アメリカ・グランプリ(GP)の決勝が行われ、マックス・フェルスタッペンが優勝した。レッドブルのコンストラクターズランキング年間制覇を確定し、共同創設者のディートリッヒ・マテシッツ氏への最高のせんべつの場となったレースについて、ネイサン・エバンス(Nathan Evans)記者が伝える。

フェルスタッペンが史上最多タイのシーズン13勝到達

マックス・フェルスタッペンは、アメリカGPで劇的なレースを展開し、今季13勝目を達成した。残り20周でのピットストップで手間取ったため、5位まで順位を落とすことになるも、そこから猛烈な追い上げをみせた。残りわずか6周で、レッドブルのドライバーはメルセデスのルイス・ハミルトンを抜き去りレースのリードを取り戻すと、記録的な勝利とともに、9年ぶりのコンストラクターズ・タイトル獲得という、自身のチームにとっても完璧な週末を締めくくった。 

この勝利は、25歳の若きオランダ人が、2004年のミハエル・シューマッハ、2013 年のセバスチャン・ベッテルと並び、シーズン最多勝利記録に並んだことを意味する。 

レーススタート直後、ポールシッターのカルロス・サインツ(フェラーリ)がファーストコーナーでジョージ・ラッセル(メルセデス)に追突され、コース上でスピン。ピットに戻った時点でリタイアを余儀なくされた。この決定的なクラッシュにより、フェルスタッペンがレースのリードを奪い、昨年同様、オースティンでチェッカーフラッグを受けた。

2位のハミルトンと3位のルクレールが表彰台に上がり、セルジオ・ペレス、ランド・ノリス、フェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ベッテル、ケビン・マグヌッセン、角田裕毅がポイントを獲得した。 

順位はレース直後の暫定結果から、アロンソへの罰則裁定があり変動している。

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第19戦アメリカGP決勝結果(罰則反映後)

順位

ドライバー

チーム

周回数

タイム

獲得ポイント

1

マックス・フェルスタッペン

レッドブル

56

1:42:11.687

25

2

ルイス・ハミルトン

メルセデス

56

+5.023s

18

3

シャルル・ルクレール

フェラーリ

56

+7.501s

15

4

セルジオ・ペレス

レッドブル

56

+8.293s

12

5

ジョージ・ラッセル★FL

メルセデス

56

+44.815s

11

6

ランド・ノリス

マクラーレン

56

+53.785s

8

7

セバスチャン・ベッテル

アストンマーチン

56

+65.354s

6

8

ケビン・マグヌッセン

ハース

56

+65.834s

4

9

角田裕毅

アルファタウリ

56

+70.919s

2

10

エステバン・オコン

アルピーヌ

56

+72.875s

1

11

周冠宇

アルファロメオ

56

+76.164s

0

12

アレックス・アルボン

ウィリアムズ

56

+80.057s

0

13

ピエール・ガスリー

アルファタウリ

56

+81.763s

0

14

ミック・シューマッハ

ハース

56

+84.490s

0

15

フェルナンド・アロンソ

アルピーヌ

56

+85.078s

0

16

ダニエル・リカルド

マクラーレン

56

+90.487s

0

17

ニコラス・ラティフィ

ウィリアムズ

56

+103.588s

0

NC

ランス・ストロール

アストンマーチン

21

DNF

0

NC

バルテリ・ボッタス

アルファロメオ

16

DNF

0

NC

カルロス・サインツ

フェラーリ

1

DNF

0

ファステストラップ

ジョージ・ラッセル 1:38.788(56周目)

レッドブルが9年ぶりのコンストラクターズタイトル獲得

今季ほとんどの間、順位に変動がなかったコンストラクターズ(製造者チーム)スタンディング(ランキング)は、フェルスタッペンがアメリカGPで優勝したことで、レッドブルが9シーズンぶりの年間タイトル獲得が決まった。

レッドブルにとっては、土曜日に共同創設者のディートリッヒ・マテシッツ氏が78歳で亡くなるという困難な週末となったなか、フェルスタッペンとペレスは、かつて同チームがセバスチャン・ベッテルとマーク・ウェバーのコンビによる2013年度を最後に逃し続けていたコンストラクターズタイトルを確定させた。予算超過問題もあったが、亡きマテシッツ氏に贈る最高のせんべつとなった。

レッドブルファミリーであるアルファタウリの角田裕毅も、決勝直前のギアボックス交換による5グリッド降格で19番手スタートになりながらも、10位入賞で久々のポイントを獲得。レース前の意気込み通り、マテシッツ氏への敬意を示す走りをみせた。

ポールシッター、サインツの絶望

キャリア3度目のポールポジションを獲得したサインツにとっては、記憶に残るであろうオースティンの週末になるかと思いきや、決勝開始まもなく、それがいかに間違った見立てだったかが明らかになる。

スタートダッシュに失敗したサインツは、ファーストコーナーに入るやフェルスタッペンをインラインカットで抜き返そうと試みるも、後方からきたラッセルが左側面に接触。このクラッシュによりサインツ車はスピンした挙げ句、ラジエーターに致命的なダメージを負い、わずか1周でレースから消えることになった。

かたや、相棒のルクレールは14番手スタートから3位に食い込み、ドライバーズランキングでもレッドブルのペレスを2点しのぐ267点で2番手を辛うじて維持。年間ランキング2位争いは熾烈な争いとなっている。

ハミルトンが今季初勝利に迫る走り

メルセデスにとって今季は厳しいシーズンとなっているが、ルイス・ハミルトンは、このテキサスの地で、自身とチームのシーズン初勝利を予感させる瞬間を確かにみせた。 

レース中盤、フェルスタッペンがピットストップに手間取ったことで、かつての絶対王者ハミルトンは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズが自分の庭であるかのような圧巻の走りでトップを飾った。だが、フェルスタッペンがルクレールとのデッドヒートを制して2位に競り上がったとき、ハミルトンとのギャップを縮めるのは時間の問題だった。

首位交代のドラマは残りわずか6周のタイミングで起きた。フェルスタッペンは長いバックストレートの後、ハミルトンの脇から滑り込んでトップを奪取。後方に回ったハミルトンも度々オーバーテイクを狙うが、レッドブルのファーストドライバーはあまりにもタフであることが証明されることになった。

レース後、アロンソが危険行為放置で順位降格

荒れ気味となった今年のアメリカGPだが、ハースの異議申し立てによりレース後になって順位変動が起きた。

ランス・ストロール(アストンマーチン)との接触で、アロンソ(アルピーヌ)のマシンが宙を舞う事態になりながらも、そのままレースに復帰。7位入賞を果たし、修羅場をくぐってきたベテランらしさを発揮した。しかし、周回中に破損したミラーが脱落したため、ハースが危険行為ではないかと異議をとなえた。クラッシュ直後にピットインして補修するか取り除くべきだったとして、都合30秒のタイムペナルティが加算され、7位から15位に転落。6ポイントを失うことになった。

これによりレース直後の暫定結果から8位から15位のドライバーに順位変動があり、角田裕毅は10位から9位に繰り上がり、2ポイント獲得になった。

一方、レッドブルのペレスに対しても右フロントパーツの脱落が危険行為だったとしてハースから異議申し立てがあったが、こちらは調査の結果、危険な状態ではなかったと判断され、お咎めなしで4位確定となった。

なお、クラッシュを引き起こしたストロールには、スチュワードの裁定により、次戦メキシコGPでの3グリッド降格ペナルティが決まった。

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Nathan Evans is a data editor for The Sporting News.
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