現地時間5月22日午後、FIA(国際自動車連盟)F1世界選手権の第6戦スペインGP(スペイン、カタロニア・サーキット)の決勝が行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がマシントラブルに苦しみながらも、ライバルのシャルル・ルクレール(フェラーリ)のリタイアという"好運"や同僚セルジオ・ペレスのサポートで3連勝をあげ、ドライバーズランキング首位に立った。レッドブルもコンストラクターズランキング首位に躍り出た。
多くのチームが慣例通り、大規模アップデートを持ち込んだスペインGPは、終わってみれば、2番手スタートのフェルスタッペンが3連勝、今季通算4勝目をあげる展開となった。
大規模アップデート導入は勢力図が変わる可能性を秘める。メルセデスは、全体の空力系を刷新し、長らく取り組んできたポーパシング現象(マシンの縦揺れ)の解決を実現。新たなエンジンも導入したという報道もあり、FP2ではルクレールにジョージ・ラッセル、ルイス・ハミルトンが2番手、3番手になるなど、絶対王者復活の期待値は高まった。フェラーリは打倒レッドブルのため、新たなフロアとリアウイングを持ち込むなど空力方面で改良を加えた。マクラーレンとアルファロメオの大規模アップデートも上々にみえた。
一方で、アップデートによるデータ不足や予期せぬ事態でパフォーマンスを落とすチームもでてくる。アストンマーチンはレッドブルの「RB18」のコピーが疑われるマシン「AMR22」を持ち込み物議を醸したが、予選段階までその効果は発揮されず、セバスチャン・ベッテル、ランス・ストロールがともにQ1で脱落している。ハースは時期尚早として、10チーム中唯一、アップデートを持ち込まなかった。
フロントウイングとフロアの改良に留めたレッドブルは堅調かと思われたが、フェルスタッペンのマシンはFP3で回頭性不良が起きた。予選ではDRSが機能しないトラブルに陥り、ポールポジションをルクレールに奪われた。
🏁 END OF QUALIFYING 🏁
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TOP 10
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決勝前、カタロニア・サーキット周辺の気温は36度、路面温度は50度近くに達した。レイアウト上、ただでも難しいタイヤマネジメントはさらに慎重さが求められ、ほとんどがソフトタイヤでグリッドに入った。レースがスタートすると、FP1から予選まですべてトップを走り、万全の態勢で決勝に臨んだルクレールが快調に先頭を突っ切った。2番手のフェルスタッペンが追うなか、ラッセルが3番手につくも、程なくしてターン4で吹いた強風により、フェルスタッペンがリヤを取られる不運に見舞われる。
Two almost identical slides at Turn 4 😮#SpanishGP #F1 pic.twitter.com/JUribQ1dRo
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ルクレールがタイヤを替えることなく独走するなか、フェルスタッペンは先を行くペレスからチーム判断によって順位を譲られ、2番手を行くラッセルに食いついたものの、予選でも生じていたDRSのフラップ開閉が安定しないトラブルが発生。ルクレールに迫る以前の問題にぶつかっていた。
ところが27周目に入り、ルクレールのマシンがパワーユニットのトラブルでまさかのリタイアに。フェルスタッペンには追い風となったが、それでもDRSがまともに機能しないマシンでは首位に繰り上がったラッセルをオーバーテイクできず、結局ペレスが挑むことになった。
Heartbreak for Charles 💔#SpanishGP #F1 pic.twitter.com/QMDJehf043
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ペレスが難なくラッセルを刺してトップに立つと、フェルスタッペンも2番手まで盛り返した。この状況になると、レッドブルは再びフェルスタッペンに首位を譲るようにペレスに指示。ペレスは無線で不満を述べつつも"チーム事情"を受け入れた。
49周目からトップとなったフェルスタッペンが3連勝を飾ると、ペレスが2位でファステストラップも獲得。3位はラッセルとなった。ハミルトンは、序盤にケビン・マグヌッセン(ハース)との接触があったものの4位に食い込み、元世界王者の意地をみせた。5位のカルロス・サインツは、こちらも序盤におけるターン4の強風によるコースアウトで車体にダメージを負い、地元での表彰台入りを逃した。フェラーリとしてもルクレールのリタイアもあり、手痛いレースとなった。
An onboard look at Hamilton and Magnussen's tangle at the start 👀#SpanishGP #F1 pic.twitter.com/urBqT68y8h
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ドライバーズランキング争いは、ついにフェルスタッペンが首位(110点)となり、2位のルクレールに6点差をつけた。3位のペレスが85点、4位のラッセルが74点、5位のサインツが65点、ハミルトンが46点で6位で順位は変わらなかった。日本人レーサーの角田裕毅は、13番手発進から10位入賞でポイントを獲得した。
First time @Max33Verstappen has led this season 👀#SpanishGP #F1 pic.twitter.com/vWG1GZduJt
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コンストラクターズランキングでもレッドブルが首位(195点)を奪い、フェラーリは2位(169点)に後退した。3位のメルセデスは、ラッセルとハミルトンの健闘により、120点まで伸ばした。今季6戦を終えて、ようやく"2強"から"3強"時代に入りつつある。
New leaders @redbullracing have a 26-point lead 👀#SpanishGP #F1 pic.twitter.com/ONchukyF3E
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第7戦となる次戦モナコGPは、翌週、現地時間5月27日に、地中海に面するモナコ公国のモンテカルロ市街地コースで開幕する。決勝は29日、日本時間では22:00開始となる。