タイガー・ウッズの世界ゴルフ殿堂表彰式典での名言と名シーンの数々。両親の教えからトム・ブレイディの祝辞まで

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(Getty Images)

タイガー・ウッズは男子ゴルフ米メジャー大会を15回優勝し、米国大統領自由勲章の受章者でもある。そして今、世界ゴルフ殿堂入りの名誉も加わった。

3月9日、46歳のウッズは世界ゴルフ殿堂表彰式典に臨んだ。壇上に立ってウッズを紹介したのは娘のサム・ウッズさんである。14歳のサムさん自身も感動的なスピーチを行った。

ウッズのスピーチは約17分間続いた。そのなかでウッズは自身が体験した人種差別に触れ、父アールsさんから教わった労働倫理観、そして家族が自宅を2番抵当に入れ、後にウッズが成功することによって返すことができたことなどを語った。

ウッズの殿堂入りスピーチからの名言のいくつかを抜粋して紹介する:

タイガー・ウッズ殿堂入りスピーチハイライト

ウッズの表彰式典での名言:

― 「僕は泣かないって、(スティーブ)ストリッカーと賭けをしていたのに、負けちゃったよ」 ― ウッズがスピーチのオープニングで放った冗談(目に涙を浮かべながら)

― 「父(アール)が僕に25セント硬貨を賭けてパットするのは止めろと言ったから、わかった、もうしないよって答えたのさ。その1週間後、僕は1ドル札をたくさんポケットに入れて帰宅した。25セント硬貨を賭けてパットするのは止めろって言っただろうとまた父が言うから、してないよって答えたのさ」 ――パッティング・コンテストで金を稼ぐことを父親から反対されたことについて

― 「いくつかのゴルフコースでは、僕はクラブハウスに入ることを許されなかった。他のジュニア選手たちは許されているのにね。僕の肌の色のせいだよ。年齢が上がるにつれて、そのことが僕をもっと奮い立たせるようになった。クラブハウスに入れないなら、それでもいいさ。駐車場でゴルフシューズに履き換えるだけだってね。僕はいつも2つのことだけを質問した。第1ホールのティーはどこかということと、そのコースの最高記録だよ」 ――人種差別と向き合ったことについて

― 「僕を奮い立たせたもののひとつは父のゴルフにかけた情熱だった。僕はゴルフをするなと言われたことは一度もない。僕はゴルフが大好きだった。僕はゴルフというスポーツを通して自分を表現したいという強い思いを持っていた」 ― ウッズが父から受け継いだものについて

― 「父はチャーリー・シフォードが活躍した時代に育った。僕らの息子の名前はそのチャーリーから取ったものだ。なぜかと言うと、そこには父が僕に教えたことのひとつが含まれるからだよ。それはチャンスを半分でも貰ったら、それを2倍にしなくてはいけない、ということだ」 ――アメリカで初の黒人プロゴルフ選手になったチャーリー・シフォードと父からの影響について

― 「僕が14歳半でしかなかったとき、僕の家族は大きな決断をした。僕が全米ジュニアゴルフツアーに出場できるよう、自宅を2番抵当に入れたのさ。母(クンティダ)は家に残り、父は出稼ぎに行った。母が払った犠牲と父の教えがなければ、僕は何者にもなれなかった。自分の信念のために戦うこと、自分の夢を諦めないこと、それがその教えだった。そうすれば、夢は叶うってね。それには努力をすることが何よりも必要だ。努力をしなければ、まず何も結果を得ることはできない。そしてもっと重要なことは、それに相応しい人間にはなれないってことでもある。それは自分で手に入れたものではないからね」 ――家族の犠牲と父からの教えについて

― 「2007年、私(サム)の父(タイガー)は全米オープンのプレーオフで18フィート(約5.5メートル)のパットに臨んでいました。そのパットは1フィート(約30センチ)外れました。父はその後すぐ空港に駆け付け、ピッツバーグからオーランドまでの飛行機に乗り、そしてウィニー・パーマー病院まで車を走らせました。6月18日、父が病室に足を踏み入れて5分もしないうち、私は生まれました。父はそのときまだ赤いゴルフシャツを着ていました。父はその日の試合には負けましたが、その代わりに何よりも素晴らしいものを授かったのです」 ――サム・ウッズが自身の誕生について語り、会場は笑いと拍手に包まれた

トム・ブレイディがタイガー・ウッズについて語ったこと

ひとりのGOAT(史上最高選手)から、もうひとりのGOATへ。

式典には引退を発表したばかりのNFLの名クォーターバック、トム・ブレイディも登場し、スピーチを行った。

ブレイディがウッズに向けたメッセージ全文:

タイガー・ウッズは多くの人々をゴルフというスポーツに引き寄せたと思います。なぜならタイガーのプレイが喜びとエネルギーと興奮に満ちているからです。タイガーがゴルフクラブを振るとき、それは他のどんな選手のスイングとは違って見えます。タイガーが大場面でショットを成功させるとき、他のどんな選手が決めたショットよりも、タイガーのショットだけはひとつ上のレベルに見えます。人々が史上最高のものを見ていると信じてしまうからこそ、タイガーのような偉大な選手はそのスポーツに人々を引き寄せるのです。

GOAT(Greatest Of All Time=史上最高選手)とはそんな選手のことを指すのです。タイガーはここで決めなくてはいけないというときにショットを決めます。もっとも重要な場面で、もっとも大きなプレッシャーに打ち克って、ショットを成功させる。だからこそGOATと呼ばれるに相応しいのです。そして、タイガー以外にはそんな選手は存在しません。

(翻訳:角谷剛)

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Joe Rivera is a senior content producer at The Sporting News and teaches Multimedia Sports Reporting at his alma mater, Rutgers University.
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