大谷翔平は、周囲に何と言われようとも、ずっと二刀流を貫いてスーパースターの座を築き上げてきた。
肘の故障は、そんなスーパースターに普通の選手同様の"一刀流"、野手としてのみのプレーを強いている。にもかかわらず、大谷はこのオフ、10年7億ドル(約1085万円、1ドル=155円換算)という記録破りの大型契約でロサンゼルス・ドジャースへの移籍を実現した。
ドジャースへの移籍以降、大谷はまだ一度もマウンドに上がっていない。さらに悪いことに、元通訳・水原一平氏の違法賭博問題にまつわるスキャンダルが持ち上がったことで、その事実すら影を潜めていた。
だが、この一件については、水原氏が大谷相手に銀行詐欺を働いていたことが判明し、大谷は処分を免れ、事態は収集に向かっている。次は、ドジャースの一員として今後プレーしていく大谷がいつマウンドに戻ってくるのかだが、この疑問に対する答えはまだ出ていない。
ここでは、大谷のマウンド復帰までどのくらいの時間がかかるのか、大谷が抱える故障が何なのかを改めてまとめた。
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大谷翔平はいつになったら投げられるのか?
大谷はマウンド復帰に向けて着々と歩を進めている。5月27日に米スポーツ専門ケーブル局『ESPN』が報じたところでは、大谷はマウンドからホームまでの距離に相当する60フィート(約18メートル)の投球を始めており、その球速は80マイル(約129キロ)を計測したという。
大谷によれば、現在はこの距離の投球を1日60〜70球続けており、回復が進むにつれ距離も伸ばしているとのこと。この事実は復帰に向けた好材料と言える。だが、今季中の復帰を期待するのは時期尚早だ。あくまでも大谷の復帰は当初の予定通り、2025年シーズンだと考えるべきだろう。
昨年9月に、大谷のエージェント、ネズ・バレロ氏 がUCL(肘内側側副靭帯)損傷を発表したプレスリリースの中でも、ロサンゼルスのニール・エラトロッシュ医師は大谷が2024年シーズン中の登板はないだろうと語っている。
「翔平と協議を重ねた結果、最終的なプランとしてはまず故障箇所を治療すること、その上で今後も長期にわたり投げ続けるために生体組織を加えて健康なじん帯を強化するというものです。完全な回復が望めると考えており、2024年の開幕時点ではなんの制限もなくバッティングが、2025年には両方(バッティングとピッチング)ができるようになるはずです」
問題は、復帰を果たした大谷が過去と同様のピッチングもできるかどうかということだ。少なくともバッティングに関しては何ら影響はない様子で、大谷はここまで打率.332、15本塁打、40打点、14盗塁(6月7日時点)と、期待に応えるパフォーマンスを披露している。
大谷翔平のUCL(肘関節尺側側副靱帯)損傷
2023年8月23日、シンシナティ・レッズ戦に先発した大谷は26球を投げたところで2回途中に降板した。その夜、ロサンゼルス・エンゼルスのゼネラマネージャー、ペリー・ミナシアン氏は大谷が肘の靭帯を痛めたこと、23年シーズンは登板しないことを認めた。
その後、大谷の故障はUCL(肘関節尺側側副靱帯)損傷だと判明、2023年9月19日に手術を受けた。
手術は、過去にクリス・セール(MLBボストン・レッドソックス)やコービー・ブライアント(元NBAロサンゼルス・レイカーズ)、アーロン・ロジャース(NFLニューヨーク・ジェッツ)、ジョー・バロウ(NFLシンシナティ・ベンガルズ)といった数々のトップアスリートたちの手術を担当してきたエラトロッシュ医師によって執刀された。
大谷翔平の過去の故障歴
今回の手術は、大谷のMLB7年のキャリアで2度目の大きな手術となった。
1度目は2018年、大谷はトミージョン手術を受け、その回復のために2019年シーズンは一度もマウンドに上ることはなかった。
そして2020年、新型コロナウイルスの影響で短縮されたシーズンに復帰を果たしたが、2度の先発後に再び違和感を感じて戦線離脱。この時は右肘の屈筋腱の損傷と診断された。
翌2021年、復帰した大谷は圧巻のピッチングを見せ、続く2022年にはサイヤング賞の投票でトップ5に入る活躍を見せた。
その勢いは2023年も続いていたがUCL(肘関節尺側側副靱帯)を損傷し、投手としてのシーズンを終えた。
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事(1)、記事(2)を翻訳し、日本向けに編集を加えたものとなります。翻訳:石山修二(スポーティングニュース日本版)