メンフィス・グリズリーズはこの夏、ボストン・セルティックスとのトレードでマーカス・スマートを獲得した。
グリズリーズの2023-2024シーズンの戦力について、『NBA.com』のショーン・パウエル記者が分析する。
主な新戦力
- マーカス・スマート(ガード/トレード)
- デリック・ローズ(ガード/フリーエージェント)
主な退団選手
- ディロン・ブルックス(ガード)
- タイアス・ジョーンズ(ガード)
昨シーズン
グリズリーズにとっては、ほろ苦い経験のシーズンだった。球団史上最高の結果を残せるだけの位置にあったにもかかわらず、最終的にはクラッシュして炎上したのだ。その中心にいたのが、球団最高の選手だった。
ジャ・モラントは堅実なシーズンを送っていたが、その未熟さで破滅した。ソーシャルメディアで2回にわたって武器を見せびらかし、モラント自身とチームを厳しい立場に追いやったのだ。モラントは3月にリーグに対する有害な行為で8試合の出場停止処分を科されたが、その後2回目の行為が発覚。シーズン中のグリズリーズの努力を台無しにした。
グリズリーズは51勝をあげ、ウェスタン・カンファレンスのトップだったデンバー・ナゲッツも上回りかけた。最初の出場停止処分が明けた時、モラントは再びエリート級のパフォーマンスを見せ、年間最優秀守備選手賞を受賞したジャレン・ジャクソンJr.を筆頭に、周囲の貢献もあった。
しかし、再び未熟さがグリズリーズの運命を定めた。次はブルックスだ。プレイオフに入って口数が増え、だがそれを裏付けるだけのことを何もできなかった。そういったすべてがロッカールーム内でもコート上でも大打撃につながったのだ。そしてグリズリーズはポストシーズンで勢いがなくなり、内省の夏を迎えることになった。
夏の総括
NBAコミッショナーによるモラントへの鉄槌は、6月中旬に下された。度重なる問題行為に対し、2023-2024シーズン開幕から25試合の出場停止処分が科されたのだ。大きな計画で新シーズンに臨むはずだったチームにとって、大きなダメージとなった。そしてグリズリーズは痛みを和らげる方法を探さなければならなくなったのだ。
そして、彼らはそれを実践した。セルティックスからスマートを獲得したことは、士気を高めるし、有益だ。彼はタフでクレバーな、モラントが戻ってくるまでポイントガードのポジションをつかんでいられる選手だろう。あらゆることを考慮すれば、本当にグリズリーズにとってこれ以上はなかった。
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— NBA TV (@NBATV) September 13, 2023
グリズリーズはこのトレードによって、近年はモラントが不在のたびに堅実な仕事をしていたジョーンズを手放すことになった。だが、スマートのほうがはるかに優れたディフェンダーであり、その意味では彼の獲得は当然だった。ロッカールームの中で、スマートはうまくやっていくはずだ。グリズリーズのためには、彼のリーダーシップに従っていくのが賢明だろう。
なお、グリズリーズはブルックスとの関係を続けることを望まなかった。選手がフリーエージェントでヒューストン・ロケッツに行くのを引き止めなかった。ここ数シーズンをかけて育ててきた若い主力のひとりだったが、見合うだけの価値はなく、頭痛の種になると決断したのだ。加えて、スマートというディフェンダーを獲得したことで、ブルックスが担っていた厳しい役割を彼がこなすようになる。
最後に、ローズがメンフィスに戻ってきたことはノスタルジーを感じさせるだろう。ローズにグリズリーズでの過去はないが、メンフィス大学で活躍し、街を魅了した選手だ。年を取り、数々の負傷もあって、爆発力はなくなった。だが、元MVPのローズは、まだ時折まずまずのパフォーマンスを見せることができる。バックアップという役割は、まさに彼とグリズリーズに必要なものだ。
また、グリズリーズはデズモンド・ベインと5年2億700万ドル(約306億3600万円/1ドル=148円換算)の延長契約を結んだ。球団史上最高額だ。ベインは素晴らしいタイミングを見て高額報酬を得た。堅実なシューターで、ショットレンジもあり、モラントやジャクソンJr.と一緒に重要な主軸を担う選手だ。
復帰した際にモラントが肉体的にも精神的にもフィットできるなら、グリズリーズはコート上とロッカールーム内で彼に必要な助けをすべて与える、素晴らしいオフシーズンを過ごしたことになる。ベイン、スマート、モラントによるガード3人のローテーションは、良い意味での問題になるはずだ。
原文:30 teams in 30 days: Grizzlies get deeper in backcourt(抄訳)