アンソニー・エドワーズはNBAプレイオフ2024で大きくブレイクした。
ミネソタ・ティンバーウルブズがウェスタン・カンファレンス・ファイナルに勝ち進んだのは、ポストシーズンの大半で1試合平均30得点をあげてきた22歳のおかげだ。エドワーズは将来のNBAの顔と騒がれており、マイケル・ジョーダンと比較されることが少なくない。
おそらく、ジョーダンとの比較は少し大げさだろう。だが、キャリア推移とプレイスタイルの双方でもっとエドワーズと共通点があり、殿堂入りを果たしているレジェンドがいる。
ここでは、ドウェイン・ウェイドとの比較のほうがより適切な理由をまとめる。
なぜドウェイン・ウェイドがアンソニー・エドワーズとの比較に最適なのか
マイアミ・ヒートのエリック・スポールストラ・ヘッドコーチは、8シーズンにわたってウェイドを指導した。そして2023年夏のアメリカ代表チームでエドワーズとも仕事している。指揮官はすぐに両者の類似点に目をつけた。
スポールストラHCは「エドワーズを見てウェイドを思い出さないのは難しい」と話している。
「私は比較するタイプではない。だが、動き方や競い方、見る者の沸かせ方は、確かに3番(ウェイド)を想起させる。昔に戻ったみたいに感じるんだよ」
ウェイドのチームメイトだったシャキール・オニールも、スポールストラHCの評価に賛成した。エドワーズを「若かりし頃のウェイドとコービー(ブライアント)」と呼んでいる。
彼らがそれほど似ているとされるのには、いくつかの理由がある。
エドワーズにはウェイドと同じ得点力
やや不安定な3ポイントショットを補うエリート級の身体能力を生かして活躍したウェイドは、やすやすと歴代五指に入るシューティングガードだ。ショットメーカーとして見事で、ドライバーとしても止められず、自分のスポットを手にするコツをつかんでいた。
エドワーズも同じように身体能力やドライブで突破する力に恵まれた選手だ。彼が勢いづけば、誰にも止められない。
Just more Anthony Edwards imitating @DwyaneWade. Advanced footwork to split the defense and create a dunk. Guess Wade knew what he was saying when he said Ant could be another version of him pic.twitter.com/fahiqk5f2b — Key Sang (@Phantele_) March 16, 2021
どちらも空中でのボディコントロールが素晴らしく、アクロバティックなフィニッシュを決められる。ハンドリングとスピードで相手守備を切り裂くことができ、素晴らしいフットワークでポストからフェイダウェイショットを決める。
More Ant looking like Dwyane Wade. Splitting traps and just effortlessly carving through defenses. When Wade says he sees himself in Ant, this is what he's talking about
Absolutely one of my favorite things this season. Attacking off the dribble like this is a bit of a lost art pic.twitter.com/I9Yjm5RRfu — Key Sang (@Phantele_) May 7, 2021
現時点での両者の最大の違いは3Pだ。ウェイドは良いシーズンもあったが、通算で3P成功率は29.3%。一方、エドワーズは35.3%を記録している。ドリブルからのショットを決める点で、エドワーズはすでにウェイドよりもやりやすそうだ。
エドワーズにはウェイドと同じ守備の力
ウェイドが特別な存在となり、3回の優勝を果たしたのは、身体能力を生かして守備で相手を苦しめられる、攻守両面で優れた選手だったからだ。ショットブロックに関してガードとして歴代最高と記憶されているのは間違いない。
エドワーズはウェイドと同じほどブロックしているわけではない。だが、彼のブロックはとにかくスペクタクルだ。2023-2024シーズンには、バックボードに頭をぶつけるほど高く跳び、アーロン・ニスミスのショットをブロックしたシーンもあった。
ANTHONY EDWARDS, what a block to end it pic.twitter.com/flqYgACNUh
— CJ Fogler account may or may not be notable (@cjzero) March 8, 2024
キャリアの最初は守備が不安定だったエドワーズだが、4年目になって1on1における脅威となった。デンバー・ナゲッツとのウェスタン・カンファレンス・セミファイナルでは、ジャマール・マレーを苦しめ、フィールドゴール成功率40.3%にとどめている。そして試合終盤には、ポジションにかかわらず、相手の絶好調選手を守るようになった。
キャリアの同じタイミングでの勝利
ウェイドが初優勝を飾ったのは、NBAで3年目のシーズンだ。ヒートをけん引し、間違いなくシリーズ最高の選手だった。ファイナルでは2試合で40得点超を記録。0勝3敗となるのを阻んだ第3戦では42得点をあげている。
エドワーズのプレイオフにおけるパフォーマンスは、当時のウェイドの優勝シーズンのように見えつつある。まだ優勝リングを手にしたわけではないが、同じようにブレイクしており、ナゲッツ戦との2試合、サンアントニオ・スパーズとの1試合で40得点超をマークした。ボックススコアのスタッツはほぼ同じだ。
アンソニー・エドワーズ | スタッツ | ドウェイン・ウェイド |
---|---|---|
28.9 | 平均得点 | 28.4 |
6.2 | 平均リバウンド | 5.9 |
5.9 | 平均アシスト | 5.7 |
50.4% | フィールドゴール成功率 | 49.7% |
39.8% | 3ポイントショット成功率 | 37.8% |
84.3% | フリースロー成功率 | 80.8% |
ベーシックなスタッツだけではない。エドワーズとウェイドは同レベルで勝利に影響を及ぼしている。
『DARKO』におけるキャリア最初の4シーズンの推移は同じかのようだ。
オールスター選出13回、オールディフェンシブチーム選出3回、優勝3回、ファイナルMVP受賞のウェイドにエドワーズが追いつくには、まだしばらくかかるだろう。だが、彼はその道にある。いつか、ウェイドと並んでシューティングガード歴代トップ5に入るか議論されるようになるだけの力を持っているのだ。
原文:Anthony Edwards isn't the next Michael Jordan, but the Timberwolves star's perfect comparison is an NBA legend(抄訳)
翻訳:坂東実藍