今オフシーズンで移籍するスター選手は、デイミアン・リラードだけではないかもしれない。
『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者によると、ブラッドリー・ビールのエージェントとワシントン・ウィザーズが、「球団に提示する可能性あるシナリオを話し合うために密にコンタクトを取り続けている」という。マイケル・ウィンガー新社長の下でウィザーズがロスターをリセットすると決めれば、トレードがあり得るようだ。
ここ2シーズンでオールスターには選出されなかったビールだが、NBA有数のシューティングガードとみなされている。これまでにオールスター選出3回、オールNBAチーム選出1回で、通算平均22.1得点、4.3アシスト、4.1リバウンドを記録してきた。
ビールを巡る状況が興味深いのは、トレード拒否条項が含まれた延長契約を結んだばかりだからでもある。このため、ウォジナロウスキー記者が報じたように、各チームはウィザーズのフロントオフィスだけでなく、ビールのエージェントとともトレードについて交渉しなければならない。
そのうえで、ビールにとって魅力的になるかもしれないチームはどこだろうか。
ブラッドリー・ビールのトレード先候補
マイアミ・ヒート
『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者が報じたところによると、ウィザーズがビールをトレードすると決めた場合、選手にとって「有力な候補」になると見られるのがマイアミ・ヒートだ。不思議なことではないだろう。マイアミはNBA選手に人気の行先だ。球団は常にスター選手を追い求め、2022-2023シーズンはNBAファイナルに進出したばかり。ジミー・バトラーとバム・アデバヨのほかにプレイメーカーがいれば、彼らは成し遂げていたかもしれない。
ヒートはリラードの移籍先候補とも言われている。だが、ESPNのブライアン・ウィンドホースト記者は、ビールがトレードされる場合、その契約から、「とても安くなる可能性があり、その価格にとても驚くかもしれない」と伝えた。
その場合、ヒートにとってはリラードよりビールを獲得するほうがよりチャンスかもしれない。
フィラデルフィア・76ers
さらにプレイメーカーを探すことになるかもしれない別のチームが、フィラデルフィア・76ersだ。もしもジェームズ・ハーデンがフリーエージェントで退団するなら、ビールのような選手を加える必要性はさらに増すだろう。
『Philly Voice』のKyle Neubeck記者によると、ビールの契約や、複数の高額選手を抱えるチームにとって新労使協定が厳しいことから、現時点で76ersは「長期的なチーム構築の人材」としてビールに関心を抱いてはいないという。だがそれでも、ビールの移籍先候補として彼らに注目する価値はある。ジョエル・エンビードと親しいと言われ、両者がフィットするかもしれないからだ。
ビールはハーデンのようなパサーではない。だが、ボールを持たずして活躍できるダイナミックなスコアラーだ。エンビードはセス・カリーが76ersに在籍していた時に素晴らしいケミストリーを築いた。ビールとは、それを上回るバージョンとなるかもしれない。
ボストン・セルティックス
ほかにもビールが親しくしていると言われる選手はいる。ボストン・セルティックスのジェイソン・テイタムだ。
2021年、テイタムは『NBC Sports Boston』のAbby Chin記者に、一緒のチームでプレイすることについて、ビールと「何度も」話したと明かしている。テイタムによれば、両者とも「その考えを気に入っているのは確か」だそうだ。
NBAプレイオフ2023で失望の結果に終わり、セルティックスが動く可能性はある。ジェイレン・ブラウンを手放さずにビールを獲得できるとは考えにくいが、もしもそれが可能なら、テイタムとビール、ブラウンは爆発的な(そして高価な)トリオとなるはずだ。
ブラウンを含まないオファーにウィザーズが耳を貸さない場合、ドラフト補償を含めた1対1のシンプルなトレードとなるかもしれない。セルティックスがテイタムとブラウンのコンビでは限界と考えるのか、そしてビールが困難を乗り越えるピースになると考えるかどうかによるだろう。
ニューヨーク・ニックス
ニューヨーク・ニックスは獲得できるすべてのスター選手の行き先としてあげられる。それだけの対価を持っているからだ。リラードもそうだが、ジェイレン・ブランソンと一緒によりフィットするのはビールだろう。より伝統的なシューティングガードだからだ。
ビールは支配的なボールハンドラーと一緒にプレイしてきた。その経験が役立つだろう。ビールとジョン・ウォールはチームメイトだった期間に2人合計7回のオールスター選出を果たした。プレイオフでもまずまずの成功を収め、2017年にはイースタン・カンファレンス・ファイナルまであと1勝と言うところに迫っている。
ウィザーズが再建に役立つドラフト補償や有望株を求めるなら、ニックスはビールのトレードで優位に立場に立つかもしれない。
ロサンゼルス・クリッパーズ
ロサンゼルス・クリッパーズをあげた理由はいくつかある。
まずは、優勝に飢えていることだ。そのためにカワイ・レナードとポール・ジョージのコンビに多くを注いできた。ビールほどの選手をトレードで獲得するだけのアセット(資産)は多くない。だが、ビールの価格が想像以上に低ければ、成功させられるかもしれない。
そして、もうひとつ頭に入れておくべきことがある。
Something I’m keeping an eye on is the potential urgency for likely big spenders to make big trades before the new league year.
For example, teams like the Heat, Sixers, or Clippers could acquire Bradley Beal now for less outgoing salary without getting hard capped for 2023-24. https://t.co/6ipH322pmW — Yossi Gozlan (@YossiGozlan) June 14, 2023
ウィンガーがウィザーズに加わる前に、クリッパーズでゼネラルマネジャーを務め、球団とのつながりを有していることだ。これは、クリッパーズがビールに関心を寄せる場合、取引をまとめるのに役立つかもしれない。
フェニックス・サンズ
シャラニア記者によると、ヒートに加え、フェニックス・サンズもビールのトレードに関してウィザーズと「真剣な話し合い」を行っているという。同記者はサンズがビール獲得への「真剣な脅威」と表現している。
ビール、デビン・ブッカー、ケビン・デュラントのトリオが実現すれば、サンズはNBAで最も爆発的な攻撃力を持つチームのひとつになるだろう。ビールにタイトルを競う機会も与えられる。
ただ、トレードに関してはクリアしなければいけないハードルがある。デュラントを獲得するために大型トレードを断行したため、将来のドラフト指名権がないのだ。ウィザーズが最も優先するのはサラリーキャップを空けることかもしれないが、対価も望むのであれば、ベストの選択肢にはならないだろう。
原文:Bradley Beal trade destinations: Heat, Suns, Celtics, Knicks among best options for Wizards star(抄訳)