6月22日(日本時間23日)に行われたNBAドラフト2023で、新たな歴史が誕生した。
兄であるアメン・トンプソンはヒューストン・ロケッツに、弟であるアサー・トンプソンはデトロイト・ピストンズにそれぞれ全体4位と全体5位で連続指名された。ESPN Stats & Informationによると、1976年のABAとNBAの合併以来、同じ年のドラフトでトップ5に指名された史上初の兄弟となった。
昨季は兄弟揃ってOTEでプレー
2021年に創設されたばかりのプロバスケットボールリーグのオーバータイム・エリート(OTE)でプレイしていたことでも注目されていたトンプソン兄弟は、いずれも身体能力の高さを武器にするガードで、これからに期待のかかる選手だ。共に再建中のチームということもあり、チームには若いタレント性の溢れる選手たちが揃っている。その中でチームの顔になれるかにも注目が集まる。
アメンは「僕のバスケットボールの最高の持ち味は走ることだと感じているし、僕たちは若いチームだから、そうするつもりだよ」と意気込みを語った。昨季アメンはプレイメイカーとして、16.4得点、5.9アシスト、5.9リバウンドを記録している。フィールドゴール成功率も56.6%と高確率ではあるが、3ポイントショット成功率は25%とまだまだ成長の余地はありそうだ。アメン自身も言うようにトランジションで輝く選手であり、4月に新たに就任したイメイ・ウドカ・ヘッドコーチによってどのように起用されるかも気になるところだ。
「優勝争いがしたい」
一方、アサーも「とても興奮している。コーチに会い、チームメイトに会い、彼らと一緒に成長するのが楽しみだ。優勝争いをしたいんだ」と期待に胸を膨らませている。昨季アサーは16.3得点、6.1アシスト、7.1リバウンドを記録。OTEのファイナルでは2年連続でMVPにも輝いた。アメンよりもディフェンス面での評価が高く、攻守での活躍に期待できそうだ。
NBAには数多くの双子がいる。兄・ブルック&弟・ロビンのロペス兄弟や兄・マーキーフ&弟・マーカスのモリス兄弟など有名な双子の選手はいるが、あくまで彼らは素晴らしいロールプレイヤーであり、スーパースターではない。アメン&アサーはこれからNBAでのキャリアを築いていく。彼らはNBA史上最高の双子の選手になれるポテンシャルを秘めている。少なくともドラフトがそれを証明してくれただろう。
ここからNBAを代表する選手になれるかは彼ら次第である。今回のドラフトで全体23位指名を受けたクリス・マレーも昨年ルーキーのNBA3P成功本数を塗り替えたキーガン・マレーの双子の兄であるように、才能ある若い双子の選手たちが続々とNBA入りしている。双子の選手がNBAを席巻する日もそう遠くないのかもしれない。
トンプソン兄弟の父・トロイ氏も「今のビジョンは、チームのリーダーになることだ。少なくともオールルーキーのファーストチームになること、そしてルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙うこと。大きな野望を持っているんだ」と新たなビジョンを語った。
トロイ氏も言うようにトンプソン兄弟はまずは新人王、オールルーキー入りを目指すことになるだろう。そして、数年後には双子としてオールスター出場や双子でのオールNBA入りなどもあるのか。今後もトンプソン兄弟から目が離せない。