アメリカ代表はFIBAバスケットボールワールドカップ2023でまだ試練に直面していない。だが、スティーブ・カー・ヘッドコーチはそれでもスターティングラインナップを変更した。
ニュージーランド、ギリシャを相手に快勝したアメリカは、ヨルダンとの1次ラウンド最終戦で、ニューオーリンズ・ペリカンズのブランドン・イングラムに代え、ニューヨーク・ニックスのジョシュ・ハートを先発で起用した。ジェイレン・ブランソン、アンソニー・エドワーズ、ミケル・ブリッジズ、ジャレン・ジャクソンJr.と、その他の4人は変更していない。
ハートはイングラムのようなスター選手ではない。では、なぜカーHCはこの決断を下したのか。
なぜジョシュ・ハートがブランドン・イングラムに代わりヨルダン戦で先発出場したか
イングラムはアメリカ代表で苦しんでいることを認めていた。
ギリシャとの試合を前に、イングラムは『The Athletic』で「慣れているのとまったく違うんだ」と話していた。
「今はチームが勝っているから、自分勝手に自分のことを考えることはできない。でも、今の僕には少しフラストレーションで、自分が効果的になれる方法を理解しようとしているところだ」
イングラムはニュージーランドとの大会初戦でフィールドゴール4本中1本成功の2得点にとどまった。続くギリシャ線はFG4本中2本成功の5得点。ベンチスタートから途中出場したヨルダン戦で、ここまで自己最多の7得点をあげている。
ペリカンズでポイントフォワードの役割を担うイングラムは、昨季のNBAで上位のユーセージ率だった。だが、アメリカ代表のスターティングラインナップでは、ブランソンやエドワーズとボールを分かち合わなければならず、なかなか触れる機会がなかったのだ。イングラムをセカンドユニットにすれば、タイリース・ハリバートンのような卓越したパサーや、オースティン・リーブスのようにボールを動かせる選手と組み、攻撃面でより中心的な役割を担えるようになる。
イングラムは『Yahoo Sports』で「ジェイレンやアント(エドワーズ)ほどボールを持たない選手たちやタイリースと一緒にやるほうが、僕にはより合っていると考えたんだろう」と話した。
「とにかくその方がよりうまくフィットすると言われた。僕も賛成したよ」
一方のハートは、対照的にボールを持たなくても効果的な存在になれる選手だ。身長6フィート4インチ(約193センチ)ながらダイナミックなディフェンダーであり、執ようにリバウンドを拾おうとする。アメリカ代表のアシスタントコーチを務めるエリック・スポールストラはカーHCに、ハートは五分五分どころか30対70のボールでも拾いにいくと伝えた。どこまでもハッスルする選手なのだ。
ギリシャ戦の20分間で、ハートは11リバウンドを記録した。うち5つがオフェンシブリバウンドだ。出場18分だったヨルダン戦では、FG試投は2本だけだったものの、チーム最多の12リバウンドをマークしている。ディフェンシブリバウンドはアメリカの数少ない弱点のひとつだけに、ハートのリバウンド力はジャクソンJr.のそれとともに非常に貴重となる。
また、ハートにとって有利なのは、ブランソンやブリッジズと一緒にプレイした経験があることだ。彼らはビラノバ大学時代にチームメイトで、今でも親友だ。
ブリッジズはYahoo Sportsで「失うことはないんだ」と話している。
「JB(ブランソン)とはずっとやってきて、習性みたいなものだ。ジョシュもね。ビラノバ大での練習や試合のすべてから、僕らにとってはとても自然なんだよ」
ヨルダン戦ではこの3人が多くのプレイで絡み、オープンな3Pにつなげていた。
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Yahoo Sportsのジェイク・フィッシャー記者によると、カーHCは今大会で今後もイングラムでなくハートを先発出場させるかどうかを明言していない。だが、ハートがスムースにスターティングラインナップにフィットしているだけに、指揮官がこのまま続けることを選んでも驚きではないだろう。