ホリデー&リラードのトレードの勝ち組は? セルティックスはスーパーチームに

Damian Lillard and Jrue Holiday
(Getty Images)

どのチームがボストン・セルティックスを倒せるだろうか?

ドリュー・ホリデーがセルティックスにトレードされて以降、リーグの各チームがそう自問しているはずだ。優勝を競うチームたちにとっては、目まぐるしい一週間だった。9月27日(日本時間28日)のデイミアン・リラードのミルウォーキー・バックスへのトレードに始まり、10月1日(同2日)のホリデーのトレードで終わった一週間だ。

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この2つのトレードで、リーグの展望は大きく移り変わった。一部のチームはタイトル争いでより良い立場につけ、他チームの望みを打ち砕いている。

この一週間での動きを受けての勝ち組と負け組をまとめた。

ドリュー・ホリデーとデイミアン・リラードのトレードの勝ち組

Jayson Tatum Boston Celtics
(NBA Entertainment)

ボストン・セルティックス

ホリデーのトレードが実現する前、セルティックスは多くの問題に直面していた。イースタン・カンファレンスの主な競争相手となるバックスが、リラードを獲得してチームを強化。一方でセルティックスは不満を抱くマルコム・ブログドンを抱え、クリスタプス・ポルジンギスを獲得したトレードでマーカス・スマートという最高のペリメーターディフェンダーのひとりを失っていた。

ホリデーの獲得は、これらの問題を一気に解決する。スマートのアップグレードになることは明らかで、セルティックスが好む攻撃により簡単に合い、守備でスイッチを多用するスキームに少しのサイズをもたらす。どちらも明らかなエリート級のディフェンダーだが、スクリーンをファイトオーバーするホリデーの能力は、ポルジンギスのドロップディフェンスと完璧に合うはずだ。それによってポルジンギスはリム付近に下がり、機動性のなさを隠すことができる。

トレードでロバート・ウィリアムズ三世を失ったのは痛い。選手層の厚さという問題もある。だが、セルティックスにはまだ必要なら別のローテーションプレイヤーを加えるためのドラフト指名権があるのだ。彼らはMVP候補を含む4人のオールスター選手を擁している。そして5人目のスターターとなるデリック・ホワイトも、リーグ有数のロールプレイヤーだ。

セルティックスは強力な優勝候補と見なすべきだろう。リーグ最強のトップ6を擁しているだけではない。ケビン・デュラントが率いたゴールデンステイト・ウォリアーズ以来の最高のトップ6となるかもしれないのだ。

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ポートランド・トレイルブレイザーズ

ブレイザーズはリラードをトレードすることで、極めて見事な見返りを手に入れた。

まずはドラフト指名権だ。ブレイザーズはプロテクトなしの1巡目指名権を2つと、トップ4プロテクトの1巡目指名権、そしてバックスとの2008年と2030年のドラフト指名交換権を手に入れた。そのころには、バックスは下り坂となっているかもしれない。

1巡目指名権3つと指名交換権2つというのは、直近の他のトレードを圧倒するものだ。デュラントの大型取引を除けば、ことし2月のカイリー・アービングのトレードも、1巡目指名権1つと2巡目指名権2つとの引き換えだった。

さらに、ブレイザーズはディアンドレ・エイトン、ロバート・ウィリアムズ三世という、2人の若き優れたセンターを獲得した。必要であれば、今後さらなる指名権と交換できるような選手たちだ。昨季のシックスマン賞を受賞したブログドンも、健康状態が許せば、ドラフト指名権と引き換えに、タイトルを競うチームにトレードされるかもしれない。

マルコム・ブログドンとジェレミー・グラント

ブログドンとグラントは現在、ブレイザーズのロスターの一員だ。だが、どちらもブレイザーズ再建には無意味であり、移籍してより良い状況を手にすることができるかもしれない。

グラントにとっては絶妙なタイミングだった。この夏、5年1億6000万ドル(約240億円/1ドル=150円換算)という大型契約を結んだところだ。当時はリラードを満足させるために払いすぎと考えられた。だがこれで、グラントはその3ポイントショットと守備の多才ぶりを生かせる優勝候補に移籍するかもしれない。

The Boston Globe』のギャリー・ウォシュバーン記者によると、ブログドンはトレードの噂に含まれ、セルティックスに「怒っていた」という。彼もまた、優勝候補となる別のチームにトレードされるはずだ。そのショット力と堅実なプレイは、どのチームでも生かされるだろう。

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ドリュー・ホリデーとデイミアン・リラードのトレードの負け組

Khris Middleton Giannis Antetokounmpo Milwaukee Bucks 042723
NBA Entertainment

ミルウォーキー・バックス

リラードをトレードで獲得し、バックスは強くなった。その意味では、彼らを負け組とするのは不公平かもしれない。だが、一週間が終わった時に、バックスとセルティックスの差は広がったのだ。

リラードがバックスの攻撃を向上させるのは明白だ。しかし、ホリデーを手放し、フリーエージェントでジェボン・カーターも失ったバックスは、守備でどう持ちこたえるのかに懸念があるだろう。ホリデーとカーターはどちらも相手の攻撃の起点となる選手を守るのがエリート級で、ブルック・ロペスが強みを発揮する助けにもなっていた。リラードはサイズのなさで守備の際にいつもターゲットとされてきたし、かつては平均以上のディフェンダーだったクリス・ミドルトンも、ここ数シーズンで平均以下に後退している。

ヤニス・アデトクンボとロペスは年間最優秀守備選手の候補となるほどの選手たちだ。しかし、バックスはペリメーターの守備の弱みから、ロペスをリム付近にとどめて効果的に生かすことができないかもしれない。

バックスは昨年よりも良いチームになるだろう。だが、ホリデーというチーム最高の選手のひとりが最大のライバルに移籍し、さらにドラフト1巡目指名権と2つの指名交換権を失った。彼らにとっては厳しい結果だ。

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マイアミ・ヒート

プレイオフで大きく貢献したマックス・ストゥルースとゲイブ・ビンセントを失い、ヒートがこのオフシーズンで弱体化したことは明らかだ。FAで獲得したジョシュ・リチャードソンは、ある程度その穴を埋められるかもしれない。だが、バックスやセルティックスについていくには、大きなパンチ力が必要だった。しかし、むしろ改善されたのはライバルたちのほうだ。

これらの結果、ヒート優勝の見込みはゼロに近くなるだろう。ベッティング会社も同意見だ。『BetMGM』は、ヒート優勝予想のオッズを+3000と11番目にしている。

原文:Jrue Holiday & Damian Lillard trade winners and losers: Celtics form superteam, Bucks further from championship(抄訳)

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Stephen Noh is an NBA writer for The Sporting News.
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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。
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