デンバー・ナゲッツはNBAファイナルを制し、リーグ最高のチームであることを示した。NBAのほかのチームにとって悪い知らせは、ナゲッツがどこかに行くことはないということだ。
ニコラ・ヨキッチはまだ28歳で、ジャマール・マレーは26歳だ。そしてナゲッツはサポーティングキャストの大半が残る。
今のナゲッツは長年にわたって優勝を競っていくためにつくられたチームだ。ここでは、ロスター編成の観点からナゲッツの展望を見ていく。
デンバー・ナゲッツのフリーエージェント
少なくとも今後2シーズンにわたり、ナゲッツはタイトルを競っていくはずだ。プレイオフの8名のローテーションのうち、来季フリーエージェントとなるのは、おそらくは680万ドル(約9億5200万円/1ドル=140円換算)のプレイヤーオプションを破棄すると見られるブルース・ブラウンと、ジェフ・グリーンしかいない。
スターティングファイブの全員を含め、核となる主力の大半は、複数年の契約下にある。
選手 | 契約残り期間 |
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ニコラ・ヨキッチ | 5年(5年目はプレイヤーオプション) |
ジャマール・マレー | 2年 |
アーロン・ゴードン | 3年(3年目はプレイヤーオプション) |
マイケル・ポーターJr. | 4年 |
ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ | 2年(2年目はプレイヤーオプション) |
クリスティアン・ブラウン | 3年 |
ブルース・ブラウン | 1年(プレイヤーオプション) |
ジェフ・グリーン | 0年 |
ナゲッツがブラウンを残す可能性はあるが、難しいことだろう。ノンバード例外条項しかないため、提示できるのは1年目で約780万ドル(約10億9200万円)が最大だ。FA市場では確実にこれ以上のオファーがあるだろう。そのため、ブラウンを残すには、かなりの額のディスカウントをブラウンが受け入れる必要がある。
グリーンのサラリー要求はもっと低いだろう。2年900万ドル(約12億6000万円)の契約が終わるところで、ナゲッツはぜいたく税を払うつもりなら、アーリーバード例外条項を使い、おおよそ同額の契約でグリーンをとどめることができるかもしれない。
ヨキッチとマレーはどれくらい一緒に続けられるか
ヨキッチの契約は2027-2028シーズンまでとなっている。
ロスターという観点でナゲッツが直面するかもしれない唯一の大きなハードルが、ジャマール・マレーがFAになった場合だ。ただ、2025年夏までマレーがFAになることはない。
だが、新労使協定の合意により、マックス契約の3選手を抱えることが非常に難しくなる。ナゲッツの場合はヨキッチ、マレー、マイケル・ポーターJr.になるだろう。2年後には、マレーかポーターJr.のどちらかを放出することも考えなければいけないかもしれない。
今後、マレーとナゲッツは長期契約を結ぶことができるはずだ。FAになる際、ナゲッツは最高額を提示できる。選手にとっても、持続的に勝利を手にする大きなチャンスとなる。
ナゲッツはいかにロスターを改善できるか
ナゲッツの鍵となる選手たちの大半が残るのは良いことだ。FAでチームをアップグレードさせるための資金は多くないからである。ナゲッツはキャップスペースがない、ラグジュアリータックス(ぜいたく税)を支払うチームになると見られる。
そのため、ナゲッツがFA選手を加えるには、約700万ドル(約9億8000万円)のタックスペイヤーミッドレベル例外条項、7月に期限切れとなる910万ドル(約12億7400万円)のトレードエクセプション、いくつかのさらに少額のエクセプション、ミニマムサラリーしかない。
また、ナゲッツはドラフトで複数選手と安価な契約を結ぶこともできる。2023年のNBAドラフトで1巡目指名権はないが、全体37位、同40位と、2巡目で非常に良い指名権を2つ有している。
その全体37位指名権は、直近のチーム強化を目指す一環として、6月9日(日本時間10日)にトレードでナゲッツが獲得したものだ。『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者によると、ナゲッツは2029年の1巡目指名権と引き換えに、2024年の1巡目指名権と2023年、2024年の2巡目指名権を獲得した。これらの2巡目指名権は、今後ナゲッツが安価でタレントを加えるためのパイプラインとなるはずだ。
また、ナゲッツには2029年までのドラフト1巡目指名権が4つある。ただいずれも、ドラフト当日の指名後でなければトレードできない。
来季もナゲッツは優勝候補としてシーズンに臨むことになるはずだ。チームの大半が残り、世界最高の選手がいて、優勝の経験も手に入れた。ロスターにはポーターJr.やクリスティアン・ブラウン、ペイトン・ワトソン、ジーク・ナジといった若手選手たちがおり、年とともに向上し続けるだろう。ナゲッツの未来はバラ色と思われる。