「2年目のジンクス」に無縁だったルカ・ドンチッチ

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Luka Doncic Dallas Mavericks

NBAで2シーズン目の選手たちが、有名ないわゆる「2年目のジンクス」に苦しむという話は、何世代にもわたって広く語り継がれてきた。しかし、ダラス・マーベリックスのルカ・ドンチッチにはあてはまらなかったようだ。

それだけではない。今季のドンチッチはMVP争いのまっただ中にもいた。平均得点(28.7)はNBAで6位。リバウンド(9.3)は19位、アシスト(8.7)は4位だ。3月11日(日本時間12日)に新型コロナウイルスのパンデミックでNBAシーズンが停止するまで、リーグ最多となる14回のトリプルダブルを達成している。

攻撃面で多くの武器を持つドンチッチだけに、相手の守備にかかる重圧も大きい。ロサンゼルス・クリッパーズのドック・リバース・ヘッドコーチは「この1年半でとんでもないキャリアだ」と話した。

「本当に良い時は、すでに5年ほどの経験があるように見えると冗談を飛ばしていたくらいだ」

「彼やおそらくほかの6選手はMVP級のシーズンだよ。そして、彼の若さや、チームのためにしていることを考えたら、ものすごいことだ」。

21歳のドンチッチは、ジェイソン・キッドが樹立した単一シーズンで9回のトリプルダブルという球団記録を更新しただけではない。キッドのトリプルダブル通算21回という記録も上回ったのだ。すでにドンチッチは22回のトリプルダブルを達成している。

キッドは「彼はすごいよ」と述べた。

「どうやってハイレベルなバスケットボールをするかを知っている」。

昨季の新人王に選ばれたドンチッチは、今季もスタートダッシュに成功した。10月と11月の18試合で、平均30.8得点、9.9リバウンド、9.6アシストをマークしたのだ。

また、11月の14試合では、32.4得点、10.3リバウンド、10.4アシストと平均トリプルダブルを記録。12月のウェスタン・カンファレンス月間最優秀選手にも選出された。

リック・カーライルHCは「シーズンの最初から本当に素晴らしかった」と振り返っている。

「見ていて楽しい選手だ。彼は偉大な競技者だよ」。

レブロン・ジェームズとロサンゼルス・レイカーズにオーバータイムの末に110-119で敗れた11月1日(同2日)の試合では、31得点、13リバウンド、15アシストを記録した。1か月後の12月1日(同2日)、ロサンゼルでのレイカーズ戦で、ドンチッチは27得点、9リバウンド、10アシストをマーク。マーベリックスはレイカーズの連勝を10で止めた。

偶然にも、ジェームズはドンチッチが子どものころのアイドルだった選手だ。注目の対戦で彼がどのようなことを考えたのかは想像できるだろう。

ただ、ドンチッチ本人は「プレイする試合すべてを楽しんでいる」と話した。

「(ジェームズと)対戦するのは特別なことだけど、僕はすべての試合を楽しむ。マドリードでも(注目されることは)同じだったから、慣れているんだ。試合は48分あり、僕はその48分を戦う準備をしている」。

マーベリックスの選手でオールスターのスターターに選ばれたのは、1996年のキッド以来だ。リバースHCは「驚きだよ。2年目だからね。でも、彼のプレイを見たら本当の驚きではないと思う」と話した。

「彼のプレイをちょっと見てみたら、(オールスターの)スターターにふさわしいことは疑いない。彼は素晴らしかった」。

サンアントニオ・スパーズに117-110で勝利した11月18日(同19日)の試合では、史上2番目の若さで40得点超を含むトリプルダブルを達成した。まだ20歳だったドンチッチは、自己最多の42得点、11リバウンド、12アシストをマークしている。

12月12日(同13日)のメキシコシティでのデトロイト・ピストンズ戦でも、41得点、12リバウンド、11アシストを記録し、122-111の勝利に導いた。

シーズン停止時点でマーベリックスは40勝27敗とウェスタン・カンファレンスの7位。2016年以来のプレイオフ進出が確実という成績だった。ドンチッチが得点、リバウンド、アシストでチーム最多を記録したのは23試合にのぼる。これも、単一シーズンの数字としては球団記録だ。

また、20試合連続で20得点&5リバウンド&5アシスト超も記録。1975-76シーズン以降のABA/NBAで最長の記録となる。

今季の新人王有力候補、メンフィス・グリズリーズのジャ・モラントは「彼は偉大な選手で、特別な才能がある」と述べた。

「彼は総合的に良い選手なんだ」。

リバースHCは「カワイ・レナードやポール・ジョージ、ジェームズ・ハーデンと同じだよ」と話す。

「これらの選手はほかと違うんだ。止めるのが簡単なら、彼らは『ドンチッチ』でも『レナード』でもないんだよ。事実としてそうなのだと知っている。おそらく、偉大な選手はみなそういうものだ」。

それはなぜか。リバースHCは「彼らは大半の選手よりも賢いんだ」と続けた。

「彼らはいつも、相手がやってくることをずっと先んじているみたいなんだ」。

まだ2年目というのに、相手チームがどんなことをしてきても、ドンチッチはあらゆることに先んじてその上をいっているようだった。そう、「2年目のジンクス」も超越して――。

原文:THERE’S NO SUCH THING AS A ‘SOPHOMORE JINX’ IN LUKA DONCIC’S WORLD by DWAIN PRICE/Mavs.com(抄訳)​


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