ヤニス・アデトクンボやアンソニー・デイビスらとの比較にも応えているビクター・ウェンバンヤマ

Giannis Antetokounmpo, Victor Wembanyama and Anthony Davis
(NBAE via Getty Images)

NBAで最初の試合に臨む前から、ビクター・ウェンバンヤマは大きく騒がれていた。

夏に『Bally Sports』でブランドン・“スクープB”・ロビンソンがニコラ・バトゥームとウェンバンヤマについて話したインタビューほど良い例はないだろう。ウェンバンヤマをよく見たというバトゥームは、ヤニス・アデトクンボやアンソニー・デイビス、ルディ・ゴベア、クリスタプス・ポルジンギスと比較できるところがあると話したのだ。

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数か月前なら、それは非常にバカげていると見なされていた。だが、ウェンバンヤマがルーキーシーズンの4分の1を終え、バトゥームによる比較はとても理にかなったものになり始めている。本当にウェンバンヤマはいつか前述の選手たちのようになるかもしれない。

すでにウェンバンヤマが垣間見せたスーパースターの素質のいくつかを振り返ろう。

ビクター・ウェンバンヤマとヤニス・アデトクンボの類似点

アデトクンボがこれほど特別なのは、ドライブで止めることができないからだ。身体能力とスピード、パワーを兼ね備え、攻撃の武器となる。

ウェンバンヤマはまだそこまでのレベルではない。だが、その特別なフィジカルを駆使し、すでに1on1で相手を軽くやっつける場面も何度か見せてきた。

例えば、ヒューストン・ロケッツ戦でジャバリ・スミスJr.とマッチアップした時だ。スミスJr.は守備の万能性から2022年のドラフトで全体3位指名された選手である。だが、ウェンバンヤマのスピンムーブはスミスJr.にチャンスを与えなかった。

アデトクンボはリーグ有数のフィニッシャーだ。『Cleaning the Glass』によると、バスケットから4フィート(約122センチ)以内のショットは成功率78%。ウェンバンヤマはそこまでオートマティックではないが、それでも73%という非常に良い数字だ。どちらも守ることができない選手ということである。

ビクター・ウェンバンヤマとルディ・ゴベアの類似点

ウェンバンヤマとゴベアの比較ポイントはもちろんウィングスパンだ。ウェンバンヤマは推定8フィート(約244センチ)。ゴベアはドラフトコンバインでの測定で7フィート8.5インチ(約235センチ)だ。

どちらの選手もその大きなリーチを駆使してエリート級のリムプロテクターとなった。『Basketball-Reference』によると、ウェンバンヤマは1試合平均ブロックでリーグ3位。ゴベアは5位だ。

ウェンバンヤマはNBAでの同胞との初対戦でゴベアを凌駕し、見事な3ブロックを披露した。

年間最優秀守備選手賞を3回受賞したゴベアは、世代を代表する最高級のディフェンダーとなるだろう。ウェンバンヤマが今季のこの賞を手にすることはないだろうが、遅かれ早かれ候補者となるはずだ。

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ビクター・ウェンバンヤマとアンソニー・デイビスの類似点

ゴベアのようなリムプロテクションの力を持つウェンバンヤマだが、それ以上に彼を魅力的にするのがゴベアにはない力だ。

バトゥームはロビンソンに「ルディの守備は素晴らしい。だが、(ウェンバンヤマは)ルディよりもっと守備で多才だと思う」と話している。

その万能性こそ、デイビスと比較される点だ。ゴベアと同じエリート級のリムプロテクターである。だが、プレイオフで相手チームがフロアを広げた時にゴベアが良くない様子なのに対し、デイビスはもっとペリメーターでうまく守ることができる。

ウェンバンヤマは同じ能力を持つ。アイソレーションでジミー・バトラーを守った時を見てほしい。

ペリメーターで時々抜かれるウェンバンヤマだが、その長さからショットを阻むのを間に合わせることができ、スペースにおける有能なディフェンダーとなっている。

ビクター・ウェンバンヤマとクリスタプス・ポルジンギスの類似点

ウェンバンヤマとポルジンギスは似ている点が多い。どちらもリムプロテクションが素晴らしく、3ポイントショットが多い7フッターだ。

ただ、現時点でウェンバンヤマがポルジンギスのタイプというのは、実践的というより理論上の話だ。ウェンバンヤマはよりアウトサイドからのショットに意欲的だが、11月27日(日本時間28日)時点で3P成功率はわずか27.5%にとどまっている。フランス時代も精度に苦しんだのを見ていた人にとっては、驚きではないだろう。

ポルジンギスの存在は、忍耐がいかに重要かという教訓としてウェンバンヤマに役立つかもしれない。ポルジンギスは20歳の新人時代に平均14得点をあげ、攻撃の能力をうかがわせていた。だが、ショットはフィールドゴール成功率42%、3P成功率33%と精度を欠いていたのだ。だが、今季で8年目となり、ポルジンギスの通算3P成功率は36%となっている。彼はより効率的なバスケットボールのスタイルを学んだのだ。

ウェンバンヤマは同じような道を歩むかもしれない。フォームは良いが、難易度が極めて高い状況で打つこともある。安定して決めるようになるまで、数年を要するかもしれない。

ビクター・ウェンバンヤマが自分で最も似ていると考えているのは?

ウェンバンヤマ自身は誰に最も似ていると考えているのか。Mike CouzensとPaul Biancardiのラジオで本人が答えている。

「ひとりの選手にしか似ないのは嫌だね。野心的じゃないと思う。でも、最も近いのは、選ぶなら2人だ。ヤニスとKD(ケビン・デュラント)だよ。僕のお気に入りはその2人だ」

ウェンバンヤマには数々のスーパースターたちの様々な点に似たところがある。だが、本当に同じように並べられる選手は決していないというのが真実だ。バトゥームも、最後はそう認めている。

「(ウェンバンヤマには)自分が望むだけの素晴らしい選手になるだけのポテンシャルがそろっている。でも結局、彼は独自の彼自身となっていくんだよ。それが特別なんだ」

原文:How Spurs' Victor Wembanyama is living up to Giannis Antetokounmpo, Anthony Davis comparisons and more(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh is an NBA writer for The Sporting News.
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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。
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