ウェンバンヤマの守備はすでにNBA最高クラス 影響力を示すスタッツやハイライト

Victor Wembanyama
(Getty Images)

8フィート(約244センチ)のウィングスパンを持ち、ガードのような動きを見せる選手が、すぐにリーグでも有数のディフェンダーになるなど、NBAでも熟練のスカウトだけが予想できた展開だ。

ビクター・ウェンバンヤマのNBAデビューから、まだ2週間も経っていない。それにもかかわらず、すでに多くの守備に関するハイライト映像が話題となっている。映像とスタッツは、19歳の彼が10年以上の経験を持つベテランよりも影響力のあるディフェンダーだと示しているのだ。

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ビッグマンは通常、守備を学ぶのに多くの時間を必要とする。ウェンバンヤマにもまだ取り組むべきテクニックがある。しかし、彼には信じられないような力があり、すでにリーグ最高のディフェンダーのひとりとなった。

ビクター・ウェンバンヤマが与える恐怖心

期待されていたように、ウェンバンヤマのリムプロテクションはエリート級だ。平均2.2ブロックはリーグ6位。視界に入るすべてを叩き落とすだけでなく、多くの場面でショットを未然に防いでいる。

リムに向けてドライブする相手選手を大きくおののかせているのが、ウェンバンヤマの規格外のウィングスパンだ。相手選手に勝負を避けさせる場面が目立つ。

おそらく、ウェンバンヤマを相手にあまりレイアップを狙わないようにするのは賢明な手だ。トライした選手は失敗するのが普通だった。『NBA Stats』によれば、バスケットから6フィート(約183センチ)以内でウェンバンヤマが守った際、相手選手のショット成功率はわずか38.5%。通常、同レンジでのショットで想定される成功率より24.2%も低いのだ。

ビクター・ウェンバンヤマはどこからでもブロックする脅威

ウェンバンヤマの守備はリム付近だけにとどまるものではない。彼はすでに4本のジャンプショットをブロックしており、その相手はケビン・デュラント、カイリー・アービング、グレイソン・アレン、ジョーダン・グッドウィンだ。カワイ・レナードからのインバウンドパスも阻んだ。ジャンプショットをブロックせずとも、そのリーチの長さでリムを見ることすら不可能なようにしてしまう。

Even shooting over Wemby from afar is a nightmare 😭 pic.twitter.com/cvtgkp8Qf3

— NBA Memes (@NBAMemes) October 14, 2023

デュラントはウェンバンヤマを相手にこのショットを見せたが、普通の選手ならこれだけのウィングスパンを相手にまずまずの視界を得ることは不可能だ。

This Wemby photo is ridiculous 🤯 pic.twitter.com/47Nzm6Akax

— The Sporting News (@sportingnews) November 1, 2023

また、トランジションでもウェンバンヤマは高い壁となる。この場面ではジャバリ・スミスJr.を2回にわたって止めた。

ウェンバンヤマのブロックの脅威から逃れられる安全な場所はコート上に存在しない。そのため、対戦相手は常に彼のことを気にしているのだ。

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ビクター・ウェンバンヤマの守備の影響力はすでにエリート級

ウェンバンヤマはコートに立つと、その力で相手に多くのショットを失敗させている。それは驚くことではない。NBA Statsによると、ウェンバンヤマが最も近いディフェンダーだった時の対戦相手のフィールドゴール成功率は、23.3%と極めて低い数字だ。想定値より24.5%も低い。どちらも今季25本超のショットを守った選手の中ではリーグトップの数字である。

昨季のサンアントニオ・スパーズは守備が悪かった。ディフェンシブレーティングはリーグ史上最悪だったのだ。今季も全般的に素晴らしくはない。だがそれは、ウェンバンヤマがいない時間帯によるところが大きい。彼がいればスパーズの守備はリーグ最高のようであり、彼がいないと最悪のようなのだ。

Cleaning the Glass』によると、ウェンバンヤマがフロアにいる時、対戦相手のポゼッションあたりの得点は1.05という数字だ。シーズンを通じて保つことができれば、スパーズはやすやすとリーグ最高の守備となるだろう。ただ、ウェンバンヤマがベンチに座っている時は1.34という数字に落ちる。これでは圧倒的にリーグワーストとなるだろう。

ビクター・ウェンバンヤマに1on1で挑んではいけない

すでにウェンバンヤマはこれまでに何度か1on1でやられている。誰にでもあることだ。だが一方で、彼は優れた選手がまるで愚か者であるかのように見せた時もあった。プレシーズン戦でのアンドリュー・ウィギンズに聞けば分かる。

リーグのほかの選手たち全員にとって恐ろしいのは、ウェンバンヤマが守備のローテーションやポジショニングをまだ完全には理解していないということだ。リーグの各選手たちのスカウティングリポートや傾向も知らない。

さらなる向上に向け、ウェンバンヤマが簡単に達成できることはたくさんある。現時点ですでにこれだけ優れていることを考えれば、将来的に年間最優秀選手賞を複数回受賞するような選手になると言っても大げさではないだろう。

この記事はスポーティングニュース国際版の記事を抄訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。スタッツは国際版記事公開時のものです。
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh is an NBA writer for The Sporting News.
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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。
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