フェニックス・サンズの新たな時代が正式に始まった。3月1日(日本時間2日)、ノースカロライナ州シャーロットのスペクトラム・センターで行われたシャーロット・ホーネッツ戦で、ブルックリン・ネッツから加入したケビン・デュラントがデビューを飾り、チームを105-91の勝利に導いたのだ。
この日はデュラントにとってサンズでのデビュー戦というだけでなく、1月8日(同9日)以来の試合だった。デュラントはひざの内側側副靱帯の負傷で19試合を欠場している。
デュラントは時間をかけることなく、自身を獲得したサンズがすぐに優勝候補の一角となった理由を示した。わずか26分間の出場で3ポイントショット4本中2本成功を含むフィールドゴール15本中10本成功の23得点、6リバウンド、2アシスト、2ブロックを記録したのだ。
デュラントのサンズでのデビュー戦で「勝者と敗者」になったのは誰か。『スポーティングニュース』が分析した。
勝者:ケビン・デュラント
約2か月にわたる離脱だったにもかかわらず、デュラントはまったく鈍った様子をのぞかせなかった。デビュー戦で26分間出場し、次々にジャンプショットを沈めたのだ。
開始から数分で、デュラントはサンズが攻守両面で恐るべき存在となることを示した。守備でブロックを見せ、続く攻撃で3Pを決めている。
試合後、サンズのモンティ・ウィリアムズ・ヘッドコーチは「ボールを託し、自分の場所を手にして、本当に良いショットを決めてくれるのだから、とてもクールだよ」と称賛した。
The block and the 3⃣
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KD getting it done early in his Suns debut
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そのスキルセットから攻撃でどんなラインナップにも溶け込んでいけるデュラントだが、ディアンドレ・エイトンとのフロントコートコンビで守備に及ぼす影響も非常に心強い。
試合後にウィリアムズHCが言ったように、デュラントのリムプロテクトで高さのあるディフェンダーが控えていることを自覚し、「DA(エイトン)がピック&ロールでよりアグレッシブになれる」のだ。
"I'd say he's one of the best defenders in the game also. Tough to score on. I've played 1-on-1 versus him. He likes to play in that pinch post and elbow area and he has a 7-3 wing span."
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敗者:トーリー・クレッグの出場時間
今季のクレッグはこの日のホーネッツ戦まで、出場59試合のうち49試合で先発出場してきた。だが、ホーネッツ戦ではジョシュ・オコーギーがスターターとなり、クレッグはベンチスタートになっている。
今季のスターターが6試合だったオコーギーだが、スモールフォワードでクレッグに代わって先発出場。一方、クレッグは出場15分と、今季自己平均の25.8分間を下回った。
昨季、ミネソタ・ティンバーウルブズでベンチに座っていたオコーギーが、今ではクリス・ポール、デビン・ブッカー、デュラント、エイトンとともにスターターに名を連ねたのだ。
ウィリアムズHCはこの日の試合前、今後の5人目のスターターはマッチアップ次第と話した。だが、オコーギーとクレッグのポジション争いには注目だ。
勝者:ホーネッツのファン
リーグ有数の真のスーパースターが街に来るとなれば、いつだってアリーナのエネルギーは普段と違うものになる。この日のホーネッツ戦では、観客の目がすべてデュラントに向けられた。
デュラントがシャーロットでプレイするのは、これが今季3回目だ。ゴールデンステイト・ウォリアーズ時代の2017年から昨季までは、わずか5回だった。
敗者:対戦するウィングのディフェンダー
デュラントがパワーフォワードに入ることで、ブッカーは相手のベストディフェンダーの注意から逃れることができた。デュラントが来る前にはなかった、得点するためのオープンな機会を得られるようになったのだ。
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ひとりでカバーする中でのブッカーのスクリーンプレイや、速攻からの得点、3Pなどを考えるだけでも、対戦相手は恐怖に震えることだろう。
すでにリーグ有数のスコアラーだったブッカーは、デュラントと一緒になったことで、さらなる時間やスぺースを手に入れた。
ホーネッツ戦でブッカーは37得点、7アシスト、6リバウンドを記録している。
勝者:サンズ優勝のオッズ
数週間のうちにどれほどの違いが生まれたことだろう。
1月18日(同19日)、サンズの優勝への希望は危機にあるようだった。シーズン序盤にポールやブッカーの負傷があり、21勝24敗でウェスタン・カンファレンスの12位に位置していたのだ。
2月1日(同2日)の時点で、優勝オッズという点で、サンズはNBAのエリートチームにはほど遠かった。だが今、『Bet MGM』によると、優勝オッズでサンズを上回るのはボストン・セルティックスのみとなっている。
今のNBAでは優勝の可能性が一瞬で閉ざされる。2021年のNBAファイナルで優勝に迫ったサンズだが、その可能性はどんどん小さくなっているようだった。だが、デュラントが加わったことで、その可能性が大きく高まっている。