FIFAワールドカップ・カタール2022。日本代表はグループリーグ初戦でドイツを破りながら続くコスタリカ戦で敗れた。2試合を終えて1勝1敗。3戦目の相手は世界屈指の強豪国スペインだ。決勝トーナメント進出に向け、まさに崖っぷちの状況となった。
コスタリカ戦での敗戦を、現在の状況を、日本代表の選手たちはどう捉えているのか? 今大会でも持ち味を存分に発揮しているスペインに対し、どのように戦うのか? 現地から林遼平記者がレポートする。
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■コスタリカに敗戦も「ネガティブになる要素ない」
忘れてはならなかった。このグループが死の組であったことを。思い出す必要があった。ワールドカップが簡単な大会ではないことを。
「何よりも初戦が重要」と誰もが口を揃えたドイツ戦の勝利から中3日、日本代表はよもやの結果に落胆していた。グループステージ突破に大きく近づくチャンスがあったコスタリカ戦で、攻めあぐねた末に0-1の敗戦を喫してしまったのだ。欧州の強豪であるドイツに勝ち点3を奪ったため、多くの人が勝利を疑っていなかったはず。しかしながら、ここがW杯であることを改めて痛感する結果となってしまった。
それでも、全てが終わったわけではない。コスタリカに負けてはしまったが、スペイン戦に勝てば自力で突破を決めることができる。下を向いている場合ではなく、目の前の勝利のために誰もが前を向く必要がある。
「ネガティブになる要素はないです。だってコスタリカに負けたからといって敗退したわけではないから。スペインという最高の相手と最後の1試合を戦って予選突破できたら最高。もちろんコスタリカに勝っていればそれがベストだったかもしれないですけど、この状況を招いたのは自分たちなので。むしろ、ここでスペインに勝って突破したらさらに盛り上がると思うので、ポジティブに捉えています」(板倉滉)
最終ラインの柱となる男がそう語れば、チーム随一のムードメーカーもそれに続く。
「ワールドカップは本当に偉大な大会だなと改めて思うし、この1試合で帰る気なんて一切ない。ストレッチをしながら仰向けになって空を見たとき、スペイン戦が終わったときにめちゃめちゃどでかい声で僕が『ブラボー』と言っている光景が浮かんできたんですよ。だから、これは現実になるなと。今までそうやって降りてくるものは、ほぼ確実に現実になってきている。とにかく気を引き締めて、もう1回みんなで一丸となって勝負に挑みたいと思います」(長友佑都)
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■”世界一"のスペイン相手に、どう戦うか?
勝利が必須なスペイン戦。日本としてはドイツ戦以上に厳しい戦いが待っている。チームとして勝ち点3を奪うために攻撃的に出ていきたいところだが、相手はボールを保持することに世界一長けた相手。中途半端なプレスで挑めば、巧みなパスワークでかわされて失点に直結してしまう可能性が高い。だからといって、自陣深くに最終ラインを設定して戦えば、攻撃に出ていくパワーが軽減されてしまう。
いかに相手のボール運びを抑えながら、奪ったところから素早い攻撃につなげていけるか。森保一監督がチーム発足当時から言い続けてきた「いい守備から、いい攻撃へ」が勝敗を分ける上でポイントになる。強気に前から行く時間帯もあれば、押し込まれて自陣に磔にされる時間もあるだろう。いかなる状況になったとしても、焦れずに対応していくことで数少ないチャンスを狙っていきたい。
ドイツ戦と似たような展開になることを想定した上で、対スペインに向けた考え方を吉田麻也はこう説明した。
「失点をしないのは当たり前だけど、ものすごく大事になってくる。それはドイツとコスタリカにプレッシャーをかける意味でも大事になってきます。(これまでのスペインの)試合を見ていても、前半の強度をそのまま後半には保てないかなとは思うし、同時にスペイン相手にプレスに行くチームは、前半のプレスを維持できないなとも感じています。前線の選手のフレッシュさを生かしながら、時間帯を考えつつうまく交代して(次の選手でフレッシュさを)保つことも大事になってくると思います」
強敵のスペインに対し、少しの迷いが生じたり、気の緩みが出てしまえば、一気に相手にゴールネットを揺らされてしまう。そうさせないためにも、選手交代を含めて90分間のマネジメントをチームとしてやっていく必要がある。もちろん、それは攻撃面も同様で勝つには得点を奪いにいくしかない。自分たちが望む展開に相手を引き込んだ上で、先手を奪っていけるかが重要になってくるはずだ。
「僕たちの力でみんなを喜ばせたい。日本を背負ってここにきてるし、次の1試合で帰るわけにはいかないなと思っています」(板倉)
最高のタイミングで迎える最高の相手。スペインを破ることで日本はベスト16の扉を開きにいく。
取材・文=林遼平
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大会展望&注目国の戦力分析
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