カタールW杯のタイブレイク規定解説:勝ち点で並んだ場合にどうやって順位を決めるのか?

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FIFA World Cup trophy 19112022
(Getty Images)

2022年FIFAワールドカップのグループステージの組み合わせは、いくつかの組で拮抗する展開となっている。決勝トーナメント進出の行方は最終節までもつれ込むと見られている。

これまでの大会と同じように、グループステージは勝利チームが勝ち点3を獲得する。ドロー(引き分け)は勝ち点1、負ければ勝ち点なしだ。総勝ち点で各チームのグループ内での順位が決まる。

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各組からノックアウトステージ(決勝トーナメント)に駒を進めるのは上位2チーム。どのチームも当然、2位よりも首位でグループを通過したいと望んでいる。首位通過チームはラウンド・オブ・16(決勝トーナメント1回戦)で別組の2位通過チームと対戦するため、より有利になると考えられるからだ。

グループステージは3試合しかないため、各チームが首位ないし2位での通過を競うなか、複数チームが勝ち点で並ぶ可能性は少なくない。

そこでタイブレイク規定の出番となる。公式の順位決定方法は以下のとおりだ。総得点(ゴール数)や総失点が勝ち上がりに大きく響くことは言うまでもない。

FIFAワールドカップ・カタール2022のあらゆるシナリオにおいて、どうやって順位を決めるのか、『スポーティングニュース』が詳しく解説する。

カタールW杯グループステージの順位決定方法

公式の大会規則(21ページ)で示されているように、複数のチームが勝ち点で並んだ場合の順位決定方法は以下となる。

  1. 得失点差:グループステージ全試合を踏まえての得失点差で上回るチーム
  2. 総得点:グループステージ全試合での得点数が最多のチーム
  3. 直接対決の成績:同勝ち点のチーム同士の対戦で勝ち点が最多のチーム
  4. 直接対決の得失点差:同勝ち点のチーム同士で得失点差で上回るチーム
  5. 直接対決の総得点:同勝ち点のチーム同士の対戦における得点数
  6. 懲罰点(フェアプレーポイント):イエローカードとレッドカードの枚数に基づくFIFA方式の懲罰点
  7. 抽選

懲罰点とは

「フェアプレーポイント」で知られる懲罰点は、チームが安全かつスポーツの精神に則ったプレーをしているかを決めるためにFIFAがイエローカードとレッドカードに付与するシンプルなポイントシステムだ。

この順位決定方法が用いられる場合は、グループステージの全試合を通じ、これらのポイントが最も少ないチームが上位となる。

ポイント カード
1 イエローカード
3 イエローカード2枚でレッドカード
4 一発レッドカード
5 イエローカードと一発レッドカード

注:1試合で2枚のイエローカードを出されて退場となった場合は3ポイント。1枚目のイエローカードの1ポイントを含めた合計4ポイントとはしない。

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W杯で抽選により順位が決まった過去の例

ワールドカップでは頻繁にタイブレイクが用いられるが、規定リストの最後、つまり抽選まで至ることは珍しい。

極めてまれなのが、ランダムな抽選で順位を決めるケースだ。競技に関する功績に基づいていないため、まさに最後の手段である。

過去のFIFAワールドカップで抽選により順位が決まった例はある。それも、比較的最近のことだ。直近では1990年大会。アイルランドとオランダが種々の条件で並んでしまった。

どちらのチームも決勝トーナメント進出を決めていたが、どちらが2位でどちらが3位での通過なのかが決まっていなかった(1990年ワールドカップは成績上位の3位チームが決勝トーナメントに駒を進めた)。この順位はラウンド・オブ・16の対戦相手の組み合わせに影響する。

ランダム抽選の結果、2位通過となったアイルランドが決勝トーナメント1回戦でルーマニアと対戦し、0-0の末にPK戦を制して勝ち上がった。一方、3位となったオランダは西ドイツと対戦し、1-2で敗退している。

抽選は1954年大会の予選でも行われたが、FIFAワールドカップ本大会で抽選まで至ったのは過去にこの時だけだ。

W杯で順位を決定する際の抽選の仕方

ワールドカップやUEFAチャンピオンズリーグの組み合わせ抽選と同じように行われるが、規模はもっと小さい。

ポットは2つだけで、ひとつに該当チームのそれぞれの名前が書かれたボールが入る。もうひとつには、該当する順位がそれぞれ書かれたボールだ。

抽選を担当するFIFA関係者は、まず国名が書かれたボールをひとつ引く。次に順位が書かれたボールをひとつ引き、その国の順位が決定するかたちだ。

直近のW杯でのタイブレイク例

過去のワールドカップではしばしば複数チームが同勝ち点で並び、タイブレイクが用いられてきた。

2018年ワールドカップ

最も直近では、2018年のロシア開催のFIFAワールドカップでタイブレイクが用いられた。

コロンビアが首位通過したグループHで、日本とセネガルが勝ち点4で並び、決勝トーナメント進出が懸かる2位の座を競うことになったのだ。

日本とセネガルは得失点差、総得点、直接対決の成績と、すべての条件で並んだ。そのため、フェアプレーポイントが用いられていた。

グループステージの3試合でセネガルがイエローカード6枚だったのに対し、日本は4枚だった。そのため、日本が決勝トーナメント進出を決め、セネガルは無情にもグループステージ敗退となった。

2014年ワールドカップ

2014年のワールドカップでも、同じくグループHで首位通過したドイツに続く2位チームを決めるのにタイブレイクが用いられた。

アメリカとポルトガルが勝ち点4で並んだが、ポルトガルは初戦でドイツに0-4と痛い黒星を喫していた。そのため、得失点差で大きく下回り、アメリカがタイブレイクを制して勝ち進んでいる。

2010年ワールドカップ

2010年の南アフリカ・ワールドカップでも、得失点差によってホスト国が敗退を余儀なくされた。メキシコと勝ち点4で並んだ南アフリカだったが、ウルグアイに0-3で敗れていた彼らは得失点差で下回り、3位となっている。

同大会ではグループDでも得失点差でガーナが上回り、オーストラリアが敗退している。

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Kyle Bonn is a soccer content producer for The Sporting News.
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