■両試合の下馬評をチェック
まずは両試合の下馬評をチェックしよう。『遊雅堂』が発表しているオッズによると、浦和vs川崎Fのオッズはほぼ同様の数字になっている。浦和の勝利は2.60倍、川崎Fの勝利が2.70倍。ドローの場合は3.25倍だ。「引き分けの可能性は低いが、どちらが優勢かの判断は難しい」といった見立てができるだろう。
もう1試合、福岡vs神戸は明確に差がついた。福岡の勝利が3.30倍になっているのに対し、神戸は2.20倍。ドローは3.30倍だ。神戸優位という下馬評になっていることがうかがえる。
両チームの状況を整理して、試合の行方を考察してみよう。
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■浦和vs川崎Fは今季4度目の対戦
浦和と川崎Fは今シーズン、すでに3回の対戦を行っている。
対戦成績は浦和の1勝2分けとなっている。4月5日のJリーグYBCルヴァンカップ第3節はスコアレスドロー、4月23日のJ1第9節は1-1。この2試合はいずれも川崎Fのホームで行われた。そして直近の対戦となる5月24日のルヴァンカップ第5節は、2-1で浦和が制している。
この対戦成績を考慮すると、浦和優位のオッズとなってもおかしくない。ホーム開催のアドバンテージもありながら、『遊雅堂』のオッズはほぼ横一線だ。この理由は両チームの状況を見ると理解しやすくなる。
まずは浦和。現在公式戦9試合連続無敗を継続している。とはいえ、直近の2試合は連続で引き分け。その前の試合となる天皇杯2回戦では、関西大学を相手に延長戦までもつれる展開となり、辛くも1-0で勝利した。黒星こそないものの、絶好調とは言い難い状況だろう。
ポジティブな面に目を向けると、直近の2試合連続ドローはいずれもアウェイゲーム。9戦負けなしのうち、アウェイゲームでは1勝3分け、ホームゲームでは5試合で4勝1分けと、大きな差があることがわかる。ホームで滅法強いのが浦和というチームだ。
また、下部組織出身選手でもある伊藤敦樹が日本代表の6月シリーズで初招集、初キャップを飾った。今シーズン、目を見張る活躍を見せるボランチが、新たな刺激を受けてチームに帰ってくるのは大きなポジティブ要素。欧州で活躍する選手たちとともに過ごしたことで、自身の求める基準がさらに上がったことだろう。
一方の川崎Fは公式戦3連敗からの4連勝中。主軸への負傷が重なり、優勝候補らしくないに不振に陥っていたが、底は抜けたという感が出てきた。
特定のアタッカーに依存しないのが、現在の川崎Fのスタイル。この4連勝中では小林悠や登里享平、脇坂泰斗、遠野大弥と主役が毎試合入れ替わった。小林については19日、右ハムストリング肉離れで6週間程度の離脱が発表された。ただ、レアンドロ・ダミアンが戦列に復帰しており、その穴は最小限に抑えられそうだ。ダミアンにゴールが戻ってくれば、上位勢にとってさらに怖い存在となるだろう。
ただし、川崎Fはアウェイゲームを苦手としている。今シーズン喫した8つの黒星のうち、アウェイゲームは6つ。ホームに強い浦和との対戦だけに、気がかりな成績となる。
まとめると、絶好調とは言い難いがホームで強い浦和、4連勝中と波に乗るがアウェイゲームを苦にする川崎Fという構図になる。どちらも明確に優位と言えないというオッズは、的を得たものだと考えられる。
■神戸優位は妥当
福岡vs神戸は、前述の試合とは異なり明確に差がつけられている。その根拠はどこにあるだろうか。
ホームの福岡は5勝7敗5分けで11位に位置している。リーグ戦に限ると3連敗中。さらに6試合連続で勝ち星がなく、最後の勝利は5月3日の第11節FC東京戦までさかのぼる。なお、直近のルヴァンカップ第6節では柏レイソルに1-0の勝利を収めたという状況だ。
シーズン序盤では6試合連続無敗で勝点を積み重ねるなど、注目を集める存在だった。最近はフォームを落としているというのが客観的な評価だろう。
神戸は1試合の未消化がありながら、現在3位につける。前半戦は首位を快走していたものの、横浜F・マリノスが猛追。第17節セレッソ大阪戦の黒星で、名古屋グランパスにも抜かれたという状況だ。
順位こそ下げたが、まだまだ優勝争いの主役クラブだ。大迫勇也は11ゴールで得点ランキング2位につけ、武藤嘉紀も6ゴールにリーグトップの7アシストを記録。この好調2トップの破壊力はリーグでも最高峰だろう。さらに14日の天皇杯2回戦、18日のルヴァンカップ第6節と明確にターンオーバーを行い、主力級は休養十分でこの試合に臨んでくる。
順位表を見ても、チームの状況を考慮しても、神戸の優位は妥当に見える。また両者は今シーズン、開幕節で対戦。当時はジェアン・パトリッキのゴールで神戸が勝利している。
さらに、福岡は強力なストライカーを擁するチームに苦戦する傾向がある。最近では11日の名古屋戦でキャスパー・ユンカー、5月28日の横浜FM戦でアンデルソン・ロペスにゴールを許した。神戸の前線の火力を考えると、福岡にとっては難しい試合になりそうだ。
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