マンチェスター・ユナイテッドは再び指揮官の立場が危うくなっている。ここ数年で定期的な出来事のようだ。
直近で「犠牲者」となるかもしれないのは、エリク・テン・ハーフ監督だ。シーズンが進むにつれて、批判は大きくなっている。2016年に解任された同胞のルイス・ファン・ハール以来となる速さで負のスパイラルに陥っているようだ。
昨季のラ・リーガを制したバルセロナをユナイテッドがヨーロッパリーグでの2試合で倒したのは2月のことだ。その後、ユナイテッドはカラバオ・カップ決勝でニューカッスルを下し、2017年以来のタイトルも獲得した。当時、ユナイテッド復活はかなり有望視されていたのだ。
しかし、それから9か月と経たないうちに、ユナイテッドはエディー・ハウ監督率いるニューカッスルにリベンジされる。3日前のマンチェスター・シティに続き、2試合連続の0-3という黒星を喫したのだ。「夢の劇場」の呼び名で知られる本拠地オールド・トラフォードでの、屈辱的な連敗だった。
続くフルアム戦では終了間際のゴールで勝利したが、良い感触はあっという間に終わった。次の試合でユナイテッドはまた敗れたからだ。UEFAチャンピオンズリーグのコペンハーゲン戦で、2点を先行し、試合をコントロールしながらも、マーカス・ラッシュフォードが退場となり、最終的に3-4と敗北。決勝トーナメント進出が厳しくなっている。
『スポーティングニュース』では、ユナイテッドがテン・ハーフの解任を決断した場合、どの指揮官に「赤い悪魔」を託すのか、後任の選択肢をまとめた。
マンチェスター・ユナイテッドのテン・ハーフ後任監督は誰?
もはやこのような記事は数年ごとに書かれ、いつも同じ名前がリストアップされているような感じだ。それだけでも、ユナイテッドにおける最大の問題が監督職ではないことが示唆されている。
多くのファンが恐れるのは、テン・ハーフ解任が無意味なものとなることだ。彼が解任されれば、サー・アレックス・ファーガソンの引退から11シーズン足らずで5回目の監督交代となるからである。
ユナイテッドが他の選択肢に目を向けた場合に、主なテン・ハーフの後任候補となる可能性が常に騒がれているのは、以下の指揮官たちだ。
ルベン・アモリム
『The Times』紙によると、ユナイテッドが関心を寄せているのではないかと言われているのが、現在スポルティングで指揮を執るアモリムだ。
アモリムは2020年からスポルティングを率いており、直近では9月リーグ月間最優秀監督に選出されている。スポルティングはライバルの2位ベンフィカに勝ち点3差の首位で11月を迎えた。
現行契約は2026年までで、約1000万ユーロ(約16億2000万円/1ユーロ=162円換算)の契約解除条項が含まれると報じられている。
Our manager 🤩
— Sporting CP English (@SportingCP_en) November 29, 2022
Rúben Amorim extends his contract until 2⃣0⃣2⃣6⃣ ✍ #SportingCP pic.twitter.com/AvXm84Nw5q
グレアム・ポッター
後任候補と報じられるようになったのが、チェルシーやブライトンで采配を振るったポッターだ。新たな投資家候補のジム・ラトクリフやその右腕デイビッド・ブレイルズフォードは、ポッターを望んでいると言われている。
ポッターはチェルシーで就任から7か月と経たずに解任された。以降、様々なクラブとの関連が報じられてきたが、まだ市場に残っている。
チェルシーの監督に就任した時は、前向きな人選だと広く称賛された。だが、答えを強く求めるクラブではお手上げだったようだ。彼に代表される長期計画に必要とされる忍耐もなかった。このことは、ユナイテッドで問題となるかもしれない。チェルシーでポッターが対応に苦しんだのと同様に、ユナイテッドは舞台裏に多くの課題を抱えているようだからだ。
ジネディ-ヌ・ジダン
近年、ユナイテッドのファンにおなじみの名前だったのがジダンだろう。ユナイテッドで悪い結果が続くたびに、オールド・トラフォードに向かう可能性が騒がれているようだ。
ジダンは2021年5月にレアル・マドリーの監督を退任。以降はどのクラブでも指揮を執っていない。2022年のワールドカップ後を見据えてフランス代表監督の座が空くのを待っているとのうわさもあった。だが、ディディエ・デシャンが新契約を結んで多くの人を驚かせたことで、ジダンはフリーのままとなっている。
マドリーではすでに勝ち方と成功を知っていたチームを引き継ぎ、さらに容赦ないチームにしていった。ファンにとっては、今のユナイテッドのようなチームを奮い立たせられるだけの指導力を持つかどうかが疑問だろう。
ユリアン・ナーゲルスマン
締めくくるのは、2023年にバイエルン・ミュンヘンを去って以降、欧州各国の多くのトップクラブからの関心が騒がれたナーゲルスマンだ。
最も直近では、夏にチェルシーやトッテナムの監督就任が噂された。だが、ドイツメディアによると、「堅実な地盤のプロジェクト」を望み、それらの機会を断ったという。最終的にナーゲルスマンはドイツ代表監督に就任。10月の国際親善試合では、アメリカを3-1と下し、初戦を白星で飾った。
ラトクリフがユナイテッドのスポーツ計画において主導権を握り、少なくとも来年夏のEURO2024までドイツ代表を率いる計画と見られるナーゲルスマンを、就任からこれほど早くに退任するようになんとか説得できない限り、ユナイテッド監督就任はなさそうだ。
原文:Who could replace Erik ten Hag at Man United? Pressure mounts on Red Devils manager amid speculation he'll be sacked(抄訳)
翻訳:坂東実藍