オーストラリアとニュージーランドで開催されているFIFA女子ワールドカップ2023に出場するすべてのチームと選手にとって、究極の目標は優勝トロフィーを勝ち取ることだが、この大会では他にも名誉とされるトロフィーと個人賞がいくつかある。
攻撃と防御の両面における選手個人のパフォーマンスを称える賞もあれば、それ以外にゲームの側面に関するものもある。
FIFAは元選手や指導者たちで各賞を選考する委員会を構成した。過去の受賞者たちの輝かしいリストにFIFA女子ワールドカップ2023に出場している多くの選手たちが加わることになる。
スポーティングニュースでは各賞の対象と選考方法を調べてみた。
女子ワールドカップで表彰される賞とは
FIFA女子ワールドカップ2023では9つの賞がある。8つは大会中における選手個人の活躍を称える個人賞であり、あとひとつは参加32か国から1国の代表チームのみを選んで称えるものである。
ゴールデンボール賞(大会最優秀選手)
ゴールデンボール賞は大会出場選手中、最も優れたパフォーマンスを発揮した選手に贈られる賞である。FIFAテクニカル・スタディ・グループが候補者リストを作成し、メディア関係者の投票によって受賞者が決定される。過去の受賞者は以下の通り。
- 2019: ミーガン・ラピノー (米国)
- 2015: カーリー・ロイド (米国)
- 2011: 澤穂希 (日本)
- 2007: マルタ(ブラジル)
- 2003: ビルギット・プリンツ (ドイツ)
- 1999: 孫雯(中国)
- 1995: ヘーゲ・リーセ (ノルウェー)
- 1991: カリン・ジェニングス (米国)
シルバーボール賞
シルバーボール賞は大会最優秀選手賞のメディア投票で第2位の得票を集めた選手に贈られる賞である。ゴールデンボールと同じ候補者リストから選ばれる。
- 2019: ルーシー・ブロンズ (英国)
- 2015: アマンダ・ヘンリー (フランス)
- 2011: アビー・ワンバック (米国)
- 2007: ビルギット・プリンツ (ドイツ)
- 2003: ヴィクトリア・スヴェンソン (スウェーデン)
- 1999: シシー(ブラジル)
- 1995: グロ・エスペセス (ノルウェー)
- 1991: ミシェル・エイカーズ (米国)
ブロンズボール賞
ブロンズボール賞は大会最優秀選手賞の投票プロセスで第3位になった選手に贈られる賞である。2019年大会では米国のローズ・ラベルが受賞した。
- 2019: ローズ・ラベル (米国)
- 2015: 宮間あや (日本)
- 2011: ホープ・ソロ (米国)
- 2007: クリスティアーネ(ブラジル)
- 2003: マレン・マイネルト (ドイツ)
- 1999: ミシェル・エイカーズ (米国)
- 1995: アン・クリスティン・アーロネス (ノルウェー)
- 1991: リンダ・メダレン (ノルウェー)
ゴールデンブーツ賞(大会得点王)
ゴールデンブーツ賞はワールドカップ大会で最も多くのゴールを決めた選手に贈られる。2人以上の選手が同ゴール数で並んだ場合は大会中のアシスト数がより多い選手が受賞する。
- 2019: ミーガン・ラピノー(6ゴール/米国)
- 2015: セリア・シャシッチ(6ゴール/ドイツ)
- 2011: 澤穂希(5ゴール/日本)
- 2007: マルタ(7ゴール/ブラジル)
- 2003: ビルギット・プリンツ(7ゴール/ドイツ)
- 1999: 孫雯(中国)、シシー(ブラジル)※いずれも7ゴール
- 1995: アン・クリスティン・アーロネス(6ゴール/ノルウェー)
- 1991: ミシェル・エイカーズ(10ゴール/米国)
シルバーブーツ賞
シルバー・ブーツはワールドカップ大会で2番目に多いゴールを決めた選手に贈られる。なお、1999年はゴールデンブーツを2人の選手が分け合ったため、シルバーブーツは受賞者なしとなった。
- 2019: アレックス・モーガン(6ゴール/米国)
- 2015: カーリー・ロイド(6ゴール/米国)
- 2011: マルタ(4ゴール/ブラジル)
- 2007: アビー・ワンバック(6ゴール/米国)
- 2003: マレン・マイネルト(4ゴール/ドイツ)
- 1995: ヘーゲ・リーセ(5ゴール/ノルウェー)
- 1991: ハイジ・モール(7ゴール/ドイツ)
ブロンズブーツ賞
ブロンズブーツはワールドカップ大会で3番目に多いゴールを決めた選手に贈られる。2人以上の選手が同じゴール数で並んだ場合のタイブレーク・ルールはゴールデンブーツと同じである。
- 2019: エレン・ホワイト(6ゴール/英国)
- 2015: アーニャ・ミッターク(5ゴール/ドイツ)
- 2011: アビー・ワンバック(4ゴール /米国)
- 2007: ラグンヒルド・グルブランドセン(6ゴール/ノルウェー)
- 2003: カティア(4ゴール/ブラジル)
- 1999: アン・クリスティン・アーロネス(4ゴール/ノルウェー)
- 1995: 施桂红(3ゴール/中国)
- 1991: リンダ・メダレン (ノルウェー) 、カリン・ジェニングス (米国)※いずれも6ゴール
ゴールデングローブ(大会最優秀ゴールキーパー)
ゴールデングローブは大会中無失点の試合(クリーンシートと呼ばれる)が最も多かったゴールキーパーに贈られる賞である。この賞は1999年に創設された。
- 2019: サリ・ヴァン・ヴィーネンダール(3クリーンシート/オランダ)
- 2015: ホープ・ソロ(5クリーンシート/米国)
- 2011: ホープ・ソロ(2クリーンシート/米国)
- 2007: ナディネ・アンゲラー(6クリーンシート/ドイツ)
- 2003: シルケ・ロッテンベルク(2クリーンシート/ドイツ)
- 1999: 高洪波 (中国)、ブリアナ・スカリー (米国)いずれも※4クリーンシート
FIFA最優秀若手選手賞
FIFA最優秀若手選手賞は2011年に創設された。大会期間中、21歳以下で最も活躍したとFIFAテクニカル・スタディ・グループから認められた選手に贈られる。2023年大会の場合は2002年1月1日以降に生まれた選手が対象になる。
- 2019: ジュリア・グウィン(20歳/ドイツ)
- 2015: カデイシャ・ブキャナン(19歳/カナダ)
- 2011: ケイトリン・フォード(16歳/オーストラリア)
FIFAフェアプレー賞
FIFAフェアプレー賞は大会期間中に受け取ったイエローカードとレッドカードの数が最も少なく、フェアプレー精神を発揮したチームに贈られる。受賞チームにはトロフィー、賞状、そして全選手とコーチにメダルが授与される。また5万ドル(約700万円)相当のサッカー道具がその国の少年少女サッカー育成のために贈られる。
- 2019: フランス
- 2015: フランス
- 2011: 日本
- 2007: ノルウェー
- 2003: 中国
- 1999: 中国
- 1995: スウェーデン
- 1991: ドイツ
FIFAテクニカル・スタディ・グループを構成するのは誰?
多くの賞がFIFAテクニカル・スタディ・グループによって決められる。このグループはFIFAから招聘されたかつての名選手や指導者らによって構成され、大会中のテクニカルな側面の分析を一任される。
今年の同グループは元米国代表チーム監督でワールドカップを2度制したジル・エリスが率い、元ドイツ代表のワールドカップ優勝メンバーであるアーニャ・ミッタークとナディネ・アンゲラーもメンバーに含まれている。
FIFA公式サイトによると、このグループの目的は「技術的及び物理的なアクションの包括的な分析と、潜在的な傾向の特定」にある。
また同グループはゴールデンボール、シルバーボール、そしてブロンズボールの候補者リストを選定する。