ラファエル・ナダルが全仏オープン2023が欠場する理由とは。前大会覇者の今後の行方

Author Photo
Rafael Nadal US Open
Getty Images

2022年大会覇者のラファエル・ナダル(スペイン)が今年の全仏オープンを欠場する。同大会優勝は14度を数え、クレーキングとして君臨してきたナダルにとって、2004年の初出場以来、はじめてローラン・ギャロスのコートに足を踏み入れない年になった。

36歳のベテランに何が起きたのか、過去の優勝記録を振り返りつつ、限界に近づく身体的な状況について探っていく。

▶スポーツの試合結果を予想して豪華賞品をゲットしよう!


2023年の全仏OPは5月28日に開幕する。だが、トーナメントが始まるよりずっと以前から、前大会覇者のラファエル・ナダル(スペイン)が今大会に出場するかどうかが危ぶまれてきた。

ナダルはローラン・ギャロス(全仏OP開催地)で14回の優勝を誇る。クレー(赤土)コートでの圧倒的な強さから「クレーの王様」の異名を持つ。

しかし、そんなナダルといえども競技スポーツ界の宿命からは逃れられない。この36歳もまた度重なる故障に悩み続けているからだ。

このスペインの英雄は、なぜ今年の全仏OPを欠場することを決めたのだろうか。

ナダルは全仏OP出場を「不可能」と漏らした

2023年全仏OP開幕の3日前に行われた記者会見において、ナダルは今大会に出場することを「不可能」だと表現した。

「私が決断したのではありません。私の身体が決断したのです」とナダルは加えた。

ナダルの体調不良は今年初めにまで遡る。四大大会(グランドスラム)の第1戦である全豪オープンでは2回戦で姿を消し、股関節の故障に苦しんでいることをのちに明らかにした。

それ以降の回復も順調ではない。全仏OPに先立つクレーコートでの前哨戦トーナメントにも出場していなかった。これまでのナダルのキャリアにはなかったことだ。

ナダルが今年の全仏OPを欠場するだろうとの噂は、前哨戦であるボルドーでのイベント(ボルドー・チャレンジャー)からのワイルドカード招待を辞退したことでさらに大きくなった。1月の全豪オープン以来、競技レベルの試合を一度も行っていないのだ。

ナダルにとって2004年以来、初の全仏OP不出場が確定

2023年大会のトーナメント組み合わせ(ドロー)は5月25日に決定した。しかし、ナダルの名がそれに含まれることはなかった。

ナダルが全仏OPを欠場するのは、2004年以来初めてのことになる。このベテランは、2022年大会決勝戦でキャスパー・ルード(ノルウェー)をストレートで下し、直近6年間で5度目の優勝をはたした。

関連記事:【WOWOWで無料】全仏オープン2023|大会日程・放送予定

ラファエル・ナダルは全仏オープンを何度制覇したか

2005年に初優勝して以来、ナダルが全仏OPで挙げてきた記録は他に類を見ない。

4連覇を達成し、2009年にロジャー・フェデラーにようやく連続優勝を阻止された。その翌年からはまた5連覇を達成した。

やや調子を落とした2年間(2015年と2016年)は優勝トロフィーから遠ざかったが、その後の6年間で5度の優勝を重ね、通算優勝回数は14回に達した。テニス史でナダルに次ぐ最多優勝回数はオープン化前の名手マックス・デキュジス(フランス)の8回である。

開催年 ナダルの全仏OP結果
2022 優勝
2021 準決勝敗退
2020 優勝
2019 優勝
2018 優勝
2017 優勝
2016 3回戦敗退
2015 準々決勝敗退
2014 優勝
2013 優勝
2012 優勝
2011 優勝
2010 優勝
2009 4回戦敗退
2008 優勝
2007 優勝
2006 優勝
2005 優勝

▶Amazonでナダルモデルのテニスギアや書籍などをチェック!

2024年がナダルの現役ラストイヤー

ナダルは今季ここまで非常に厳しいシーズンを送っている。ヘッドラインに名前が現れるときは、そのほとんどに「出場辞退」の言葉が並ぶ。

今月前半にローマで行われた『BNLイタリア国際』に欠場することを発表した際、ナダルは「私にとって、この大会はとても重要なものです。プロ選手としてもそうですし、個人的にもそうです。イタリアのファンは熱心に応援してくれるからです。その大会に参加できないことがどれほどの痛手かは理解してもらえるでしょう」とコメントした。

「ここ数日は体調が改善しているのですが、それでも高いレベルでのトレーニングをもう何か月もできていません。回復には時間がかかります。私にできることはその事実を受け入れ、そして努力を続けることだけです。皆の幸運を祈っています」

結局、欠場期間が長引き、ナダルの今シーズンここまでの戦績は1勝3敗のままである。

全仏OPの欠場を示唆した会見のなかで、ナダルは現役引退の時期についても触れていた。

「たぶん来年が私の最後の年になる。今プレイを続けてしまうと(来季のテニスが)できなくなってしまう」

療養期間について明言はなかったものの、「私の目標と希望は、ここで立ち止まり、来年を楽しめるようにすることなんだ」と話しており、現状の体調などを考えると、このまま来季開幕まで欠場する可能性が高い。

2024年のラストイヤーに向けてナダルが快復することを祈ろう。

原文:French Open 2023: Will Rafael Nadal play at Roland Garros? Next match and schedule for defending champion
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本語版編集部

※本記事は英語記事を翻訳し、日本向けの情報を加えた編集記事となる。

▶全仏オープン2023はWOWOWが独占ライブ放送&配信! 初回登録初月無料でお得に観よう

著者
Author Photo
The sports world explained. The Sporting News goes beyond the score to deliver the news, data, insights and entertainment that sports fans around the globe need to know.
LATEST VIDEOS