『日本版ヨキッチ』ホーキンソンの目標はあのNBAレジェンドたち「さらに積み上げていく」|バスケ日本代表

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Josh Hawkinson, a player of men's basketball national team of Japan
Masaru ARA
メディア陣の質問に答えるジョシュ・ホーキンソン

6月25日(日)から東京で強化合宿を行なっているバスケットボール男子日本代表候補の選手たちは、FIBAバスケットボールワールドカップ2023に向けた選考レースの真っ只中にある。

26日に公開された練習後には、選手たちが個別にメディアの質問に応じる場面もあり、対面取材ということもあって各方面から絶え間なく質問が飛んでいた。

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ホーキンソン「積み上げていくプロセスは変わらない」

日本代表の候補選手には、帰化選手としてニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)やエヴァンスルーク(ファイティングイーグルス名古屋)といった面々も名を連ねるなか、ジョシュ・ホーキンソンは今代表合宿に参加している唯一の帰化選手だ。2月に日本国籍を取得し、直後に行なわれたW杯アジア予選で見事な適応ぶりを見せたわけだが、そこからさらなる上積みを目指しているという。

「(自身が招集された予選の)ウィンドウ6に向けて積み上げてきたものをゼロにするのではなく、そこからさらに積み上げていくというプロセスになるのかなと思っています。そのときはイランとバーレーンを相手に、しっかりいいかたちで勝利することができたので、チームも勢いがあると感じています。ワールドカップに向かって強豪国と対戦するなかでも、積み上げていくというシンプルなプロセスは変わらないので、そこに向かって本当に毎日、一生懸命に練習して、チーム力を高めていきたいです」

この日の取材で、トム・ホーバス・ヘッドコーチや富樫勇樹(千葉ジェッツ)が、ドイツ戦への意識を説くシーンもあった。本大会に向けたイメージ作りは、ホーキンソンのなかでもシンプルになりつつあるようだ。

「ドイツはNBAでも有名な選手を輩出していて、代表チームにもNBA選手が多いわけですけど、日本はそれに比べて、NBAでプレーする選手はまだまだ少ないっていう現状です。ですが、合宿を通してしっかりやるべきことを準備すれば、自分たちにもチャンスは必ず来るのかなと思います。強豪国を相手に、難しい戦いになるとは思いますけど、この合宿で、しっかりコーチたちもスカウティングしてやるべきことっていうのを明確化してくれているので、自分たちがそれに向かって準備するだけだと思っています」

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『日本版ヨキッチ』の目標の選手はラブやノビツキー

そんななか、各国に1枠だけ認められる帰化選手枠においても、ホーキンソンが果たしうる役割は大きい。ファジーカス、ルークとの争いも起きうるところだが、あくまでホーキンソンが焦点を絞っているのは、チームとしての強化のところだという。

「帰化選手になったことで、この日本代表の枠を争うことができることは本当に光栄だと思います。もちろんその帰化選手の枠を自分が勝ち取りたい気持ちもありますが、それ以上に強い思いとして、やっぱり日本代表をもっともっと良いチームにしたい気持ちがあります。なので、今はその競争もひとつのテーマではあるんですけど、日本が強くなるために、自分が何ができるのかというところ。そこにフォーカスして、もっと一生懸命やっていきたいです」

Josh Hawkinson, a player of men's basketball national team of Japan
Masaru ARA

ちなみにこの日、ホーバスHCは「NBAファイナルを見ましたか?」と、取材陣に「逆質問」。続けて、NBAファイナルを制したデンバー・ナゲッツのスタイルを指し、「ホーキンソンは『ジャパニーズ・ヨキッチ』」と、NBAが誇るオールラウンドビッグマン、ニコラ・ヨキッチにホーキンソンをなぞらえた。ホーキンソンにそのやり取りを直接尋ねる機会はなかったのだが、彼も彼で、今年バスケットボール殿堂入りを果たしたレジェンドを意識していたことを話してくれた。

「目標にしたプレイヤーは、名前を挙げるとしたらケビン・ラブ(マイアミ・ヒート)とダーク・ノビツキー(元ダラス・マーベリックス/元ドイツ代表)の2人ですね。彼らは身長も大きく、外からのシュートも打てて、ディフェンスも上手。だから、自分もそういった選手になりたいと思います。もちろん、欠かせないのはレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)。NBAでも、ずっと長年活躍していて、今までいないような存在なので。彼は自分の中でも特別な選手の1人かなと思っています」

過去の経験も活かして本大会へ

日本がワールドカップのグループフェーズで対戦するのは、ドイツ、フィンランド、オーストラリアの3チームだ。実はホーキンソン、フィンランドとオーストラリアの代表選手たちとの対戦経験があるという。

「1人挙げるとすれば、フィンランドのラウリ・マルカネン(ユタ・ジャズ)です。マルカネンがアリゾナ大学にいた時代に、対戦経験があります(ホーキンソンはワシントン州立大学出身)。当時、本当にいい試合ができたのですが、マルカネンはNBAでもタイトルを獲ったすごい選手になって、フィンランドでも今スターになりました。大学時代の再戦じゃないですけど、いい試合をするのを楽しみにしています」

「また、オーストラリア代表とは(2016年の)リオ・オリンピックを前に、Pac-12というカンファレンス(著者注:NCAAディビジョン1のカンファレンスのひとつ。ワシントン州立大やアリゾナ大などが加盟する)のオールスターチームに選ばれて、メルボルンでオーストラリア代表と試合しています。当時2回対戦して、今回が3回目。すごく楽しみにしています」

リバウンドでの高さや強度、シュートレンジを問わない決定力、そして周囲を活かせる視野の広さは大きな魅力であり、このあとに予定されている強化試合では、彼とほかの選手たちのマッチングなども、注目すべきポイントになっていくだろう。現に、強化合宿のなかでは、これまでの合宿やアジア予選で一緒にコートに立つことがなかった、富永啓生(ネブラスカ大学)との連係を探る様子もみられた。富永以外にも馬場雄大など、これまでアメリカでシーズンを送り、日本代表への参加ができなかったメンバーもいる。こうした面々との習熟・強化を進め、本大会で躍動する姿を見せられるか。ホーキンソンの存在感が高まっていることは間違いないだろう。

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バスケットボール男子日本代表国際強化試合2023 静岡大会直前合宿参加メンバー

No. 氏名 英字氏名 位置 身長 体重 生年月日 所属
1 比江島慎 HIEJIMA, Makoto SG 191 88 1990.8.11 宇都宮ブレックス
2 永吉佑也 NAGAYOSHI, Yuya PF 198 115 1991.7.14 ライジングゼファー福岡
3 須田侑太郎 SUDA, Yutaro SG 190 87 1992.1.3 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
4 富樫勇樹 TOGASHI, Yuki PG 167 65 1993.7.30 千葉ジェッツ
5 原修太 HARA, Shuta SF 187 96 1993.12.17 千葉ジェッツ
6 ジョシュ・ホーキンソン HAWKINSON, Josh C/PF 208 106 1995.6.23 信州ブレイブウォリアーズ
7 馬場雄大 BABA, Yudai SG 195 90 1995.11.7 -
8 吉井裕鷹 YOSHII, Hirotaka SF 196 94 1998.6.4 アルバルク東京
9 川真田紘也 KAWAMATA, Koya C 204 110 1998.6.16 滋賀レイクス
10 テーブス海 TOEWS, Kai PG 188 85 1998.9.17 滋賀レイクス
11 渡邉飛勇 WATANABE, Hugh C 207 106 1998.12.23 琉球ゴールデンキングス
12 西田優大 NISHIDA, Yudai SG 190 90 1999.3.13 シーホース三河
13 井上宗一郎 INOUE, Soichiro PF 201 105 1999.5.7 サンロッカーズ渋谷
14 富永啓生 TOMINAGA, Keisei SG 188 80 2001.2.1 ネブラスカ大学
15 河村勇輝 KAWAMURA, Yuki PG 172 68 2001.5.2 横浜ビー・コルセアーズ
16 金近廉 KANECHIKA, Ren SF 196 84 2003.3.11 千葉ジェッツ
17 ジェイコブス晶 JACOBS, Akira SG 203 91 2004.4.13 NBAグローバルアカデミー

※No.=年齢順の番号(背番号にあらず)。

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バスケットボール男子日本代表国際強化試合2023 静岡大会 日本対チャイニーズ・タイペイ 日程・放送予定

第1戦:7月8日(土)15:00試合開始

  • テレビ地上波:日本テレビ系列
  • テレビBS/CS:なし
  • ネット:TVer、バスケットLIVE

第2戦:7月9日(日)14:00試合開始

  • テレビ地上波:テレビ朝日系列
  • テレビBS/CS:なし
  • ネット:TVer、バスケットLIVE

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茨城大学卒。福島県内のテレビ局で報道記者を務めたあと、web編集者を務めた2019年からモータースポーツの取材を行う。2020年に独立後、Bリーグの取材を開始し、現在は記事執筆のほか動画コンテンツの編集などで活動中。
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