ラッセルがキャリア初優勝!ハミルトンも続いてメルセデス1-2|F1ブラジル(サンパウロ)GP 2022 決勝結果

Author Photo

現地時間11月13日、ブラジル・サンパウロのインテルラゴス・サーキット(正式名称:アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ)で行われた2022年のF1世界選手権第21戦・ブラジルGP(サンパウロGP)。土曜日のスプリントの結果を経て決勝をトップでスタートしたジョージ・ラッセル(メルセデス)がレースの主導権を握り続けて優勝。ラッセルはF1通算81レース目で初の優勝を果たすと同時に、メルセデス勢にとっても今季初優勝となった。2位にはラッセルの僚友、ルイス・ハミルトンが入り、メルセデス勢は1-2フィニッシュを達成してみせた。

オープニングラップから波乱

アルファタウリの角田裕毅が決勝レース前、サスペンションやウイングの変更を行ったため、ピットスタートになるハプニングがあったが、そんななかでスタートを切ったレースは1周目から波乱含みの展開となった。

ターン7でケビン・マグヌッセン(ハース)の後ろからダニエル・リカルド(マクラーレン)が接触。マグヌッセンのマシンはコントロールを失い、再びリカルドともつれてクラッシュした。両者はそのままリタイアとなり、いきなりセーフティカーが投入されることとなった。なお、原因となったリカルドにはペナルティポイント2点が与えられるとともに、次戦アブダビGPで3グリッド降格の処分が課されている。

セイフティカー(SC)が退避したことで、レースは7周目に再開となったが、再スタートの際にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がハミルトンを抜きにかかろうとして接触。接触の影響でハミルトンは8番手に、フェルスタッペンはフロントウイングを損傷してピットインを余儀なくされ、17番手まで後退してしまった。

この間、先頭を走り続けたラッセルは、25周目にピットインにより順位を2番手に下げたものの、30周目に再びトップへ浮上。それ以降はセルジオ・ペレス(レッドブル)やハミルトンを徐々に引き離していく快走を見せていく。また、45周目にはハミルトンがペレスを捉えて2番手に浮上し、メルセデスが1-2を形成した。

52周目、ランド・ノリス(マクラーレン)のマシンがコース上でストップ。全車がスロー走行となる「バーチャルセーフティカー」となったあと、再びSCが投入される。

60周目からレースが再開したあと、ラッセルとハミルトンは1秒ほどの差を保ったまま走り、トップでフィニッシュ。ラッセルはF1初優勝を果たし、メルセデスとしても昨年の第21戦サウジアラビアGP以来の優勝。そして2020年のエミリア・ロマーニャGP以来、久々の1-2フィニッシュとなった。

レッドブル勢はギクシャク

メルセデス勢が手堅いレース運びを見せた一方で、レッドブル勢はぎこちないレースに終わってしまった。序盤にフェルスタッペンが接触で順位を下げたあと、ペレスが上位に留まって粘りのレースを続けたものの、徐々にポジションを下げるかたちに。レース終盤にはカルロス・サインツ、シャルル・ルクレールのフェラーリ勢2台とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)に追い抜かれる。さらに、フェルスタッペンにまで抜かれてしまい、7位でレースを終えた。

現在、ペレスは、ルクレールとの間でドライバーズランキング2位の座を巡って激しく争っている。もしこのレースを6位で終えれば、わずか2ポイントだけではあるがリードを保ったまま最終戦を迎えることができた。レッドブルチームもフェルスタッペンに対して順位を譲るよう指令を出すが、それにフェルスタッペンが応じず。無線での緊張感あるやり取りが伝わる事態となった。

7位に終わったペレスは、ポイント上ではルクレールと同じ290点だが、優勝回数の差でランキング3位に後退。チームとしても後味の悪い幕切れになったようで、レース後に、2人がチームを通じて発表したコメントにも、今回の一件について言及されている。

「今回は明らかにペースが悪かったので、来週のアブダビではいつもの調子に戻したい。マックス(フェルスタッペン)と僕の間で今日起きたことには明らかに失望している。このことはチーム内部で話し合っていて、これからはチームとして協力し合っていく。アブダビでサポートが必要な場合はまた別の方法を取るだろうし、今後は常にチームのことを第一に考えていく」(ペレス)

「チェコ(ペレス)と僕の問題についてはチーム内で話し合い、チームとして前に進むことにした。もしアブダビで彼が助けを必要としていて、助けるチャンスがあったうえでその場に居合わせたら、もちろんサポートするつもりだ。僕たちはドライバーズランキングで1位と2位を争っていて、それを達成するために一生懸命に働くつもりだ」(フェルスタッペン)

レッドブルとして初となるランキング1-2フィニッシュを果たし、来季に向けてさらなる弾みをつけるためにも、チーム内にわだかまりを残すわけにはいかない。この1週間の間に行なうべき課題は多く存在するだろう。

第21戦サンパウロ(ブラジル)GP決勝リザルト(順位/ドライバー名/走破周/タイム/獲得点)

  1. ジョージ・ラッセル(メルセデス)71周 / 1:38:34.044 / 26点★
  2. ルイス・ハミルトン(メルセデス)71周 / +1.529s / 18点
  3. カルロス・サインツ(フェラーリ)71周 / +4.051s / 15点
  4. シャルル・ルクレール(フェラーリ)71周 / +8.441s / 12点
  5. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)71周 / +9.561s / 10点
  6. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)71周 / +10.056s / 8点
  7. セルジオ・ペレス(レッドブル)71周 / +14.080s / 6点
  8. エステバン・オコン(アルピーヌ)71周 / +18.690s / 4点
  9. バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)71周 / +22.552s / 2点
  10. ランス・ストロール(アストンマーチン)71周 / +23.552s / 1点
  11. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)71周 / +26.183s / 0点
  12. 周冠宇(アルファロメオ)71周 / +29.325s / 0点
  13. ミック・シューマッハ(ハース)71周 / +29.899s / 0点
  14. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)71周 / +31.867s / 0点
  15. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)71周 / +36.016s / 0点
  16. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)71周 / +37.038s / 0点
  17. 角田裕毅(アルファタウリ)70周 / +1 lap / 0点
  • リタイア(NC)
    • ランド・ノリス(マクラーレン)50周 / DNF / 0点
    • ケビン・マグヌッセン(ハース)0周 / DNF / 0点
    • ダニエル・リカルド(マクラーレン)0周 / DNF / 0点

★:ファステストラップ=1:13.785(61周)

熾烈な順位争いのまま、最終戦へ

サンパウロGP(ブラジルGP)決勝終了後のドライバーズランキング(スタンディング)は以下のとおり。2位にルクレールが返り咲き、3位ペレスと同ポイント(290点)で最終戦に臨む。初優勝のラッセルはランキング4位をキープ(265点)。ハミルトン(240点)との点差を考えればほぼ4位を手中に収めた格好だ。そのハミルトンはサインツ(234点)とのランキング5位争いがまだ続く。中団以下のドライバーたちも混戦が続いていて、ランキング17位の角田(12点)もジャンプアップの可能性を残している。最終戦も興味深い状況と言えるだろう。

ドライバーズランキング(サンパウロGP後)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)429点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)290点
  3. セルジオ・ペレス(レッドブル)290点
  4. ジョージ・ラッセル(メルセデス)265点
  5. ルイス・ハミルトン(メルセデス)240点
  6. カルロス・サインツ(フェラーリ)234点
  7. ランド・ノリス(マクラーレン)113点
  8. エステバン・オコン(アルピーヌ)86点
  9. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)81点
  10. バルデリ・ボッタス(アルファロメオ)49点
  11. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)36点
  12. ダニエル・リカルド(マクラーレン)35点
  13. ケビン・マグヌッセン(ハース)25点
  14. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)23点
  15. ランス・ストロール(アストンマーチン)14点
  16. ミック・シューマッハ(ハース)12点
  17. 角田裕毅(アルファタウリ)12点
  18. 周冠宇(アルファロメオ)6点
  19. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)4点
  20. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)2点
  21. ニック・デ・フリース(ウィリアムズ)2点
  22. ニコ・ヒュルケンベルグ(アストンマーチン)0点

コンストラクターズ(チーム)ランキングは、首位レッドブルが719点。2位のフェラーリ(524点)と3位メルセデス(505点)の差が19点に縮まった。2台が入賞した4位アルピーヌ(167点)は5位マクラーレン(148点)との差を広げている。

コンストラクターズランキング(サンパウロGP後)

  1. レッドブルレーシング・RBPT 719点
  2. フェラーリ 524点
  3. メルセデス 505点
  4. アルピーヌ・ルノー 167点
  5. マクラーレン・メルセデス 148点
  6. アルファロメオ・フェラーリ 55点
  7. アストンマーチン・アラムコ・メルセデス 50点
  8. ハース・フェラーリ 37点
  9. アルファタウリ・RBPT 35点
  10. ウィリアムズ・メルセデス 8点

次戦・アブダビGPでシーズン終了

次戦は今シーズンの最終戦となるアブダビグランプリ。アラブ首長国連邦・アブダビに位置するヤス・マリーナ・サーキットを舞台に日没から夜間を走行する「トワイライト・レース」が行われる。日本時間11月18日(金)19:00からのFP1で開幕し、予選は同19日(土)23:00、決勝は同20日(日)22:00スタートとなる。

本文:荒大
翻訳・編集:スポーティングニュース日本版編集部

F1 2022年最終戦アブダビGPを観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

著者
Author Photo
茨城大学卒。福島県内のテレビ局で報道記者を務めたあと、web編集者を務めた2019年からモータースポーツの取材を行う。2020年に独立後、Bリーグの取材を開始し、現在は記事執筆のほか動画コンテンツの編集などで活動中。
LATEST VIDEOS