F1 2022 ブラジル(サンパウロ)GPを前に「スプリント」を改めておさらい|F1コラム

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Max Verstappen Lewis Hamilton Brazil GP
Red Bull Content Pool

日本時間11月12〜14日にかけて、ブラジル・サンパウロのインテルラゴス・サーキット(正式名称:アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ)にて行われる、2022年のF1(Formura 1)世界選手権第21戦サンパウロGP。元々「ブラジルGP」として行われていたレースだが、昨年から「サンパウロGP」と名称を変えて開催されている。

そのサンパウロGPでは「スプリント」と呼ばれるレースが日曜日の決勝レースに先立って行われる。レース開催を前に、現在のF1で行われているスプリントとは何か、そしてこのサンパウロGPの見どころも含めて、予習・復習をしておこう。

2021年から導入の短距離レース形式

スプリントは、F1の2021年シーズンから導入されたもの。現在のF1のレギュレーションでは最大3戦行う、と定められており、今シーズンは第4戦のエミリア・ロマーニャGP、第11戦のオーストリアGP、そして今回のサンパウロGPが、スプリントフォーマット(開催形式)で行われる。スプリントは金曜・土曜・日曜のレース開催期間のなかで、土曜日に行われる約100kmのレースを指すものだ。

通常のF1が開催される流れを見ておくと、金曜日にフリー走行のセッションを2つ行い(FP1・FP2)、土曜日に3つ目のフリー走行(FP3)、そして予選を行う。この予選の順位が、日曜日に行われる決勝のスターティンググリッドに反映される。

だが、スプリントが行われる際(スプリントフォーマット)には、金曜日にFP1を走り、そのあとにスプリントのスターティンググリッドを決めるための予選が行われる。予選の形式は通常の場合と変わらず、Q1・Q2・Q3に分けて行い、タイム上位のドライバーが次のセッションへと進む「ノックダウン形式」になる。

そして、土曜日にFP2を実施したあと、スプリントが行われる。スプリントのレース時間は30分ほど。超高速バトルはあっという間に進み、息つく暇も無く、各所で勝負が繰り広げられる。見ている側にとっても、決勝とはまた違った形でエキサイティングな展開となるはずだ。

上位ドライバーにはポイントも

スプリントでのレース結果は、翌日の決勝でのスターティンググリッドに反映される。スプリントで「優勝」したドライバーは、翌日の決勝で先頭のグリッドからスタートすることができる。

この点は今季からの変更点だ。昨シーズン、スプリントは「スプリント予選」と呼ばれており、スプリント予選で優勝したドライバーがそのまま決勝の「ポールポジション」となり、先頭グリッド発進としていた。

だが、今シーズンからはスプリントで優勝したドライバーが決勝の先頭グリッドとなるが、金曜日に行われる予選でトップとなったドライバーがあくまで記録上、スプリントフォーマットGPの「ポールポジション」獲得者となっている。

また、今シーズンからはスプリントで上位8位までに入ったドライバーにドライバーズランキングのポイントが与えられることになっていて、1位から順に「8-7-6-5-4-3-2-1」の各ポイントがランキングに加算される。昨年は上位3台のみがポイントを得られたのだが、ポイントの対象、そして上位ドライバーへのポイントが大幅に拡大された形だ。

エミリア・ロマーニャGP(4月23日)、そしてオーストリアGP(7月9日)のスプリントは、ともにレッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝、フェラーリのシャルル・ルクレールが2位となっている。ドライバーズチャンピオンを争ううえでは、たかが1点、されど1点。これまで2度のスプリントで付いた2ポイントの差が、10月の日本GPでフェルスタッペンがチャンピオン決定を果たす足がかりになったと言っても過言ではない。

一方で、もしノーポイントに終わろうものなら、一気に点差を縮める、もしくは広げるチャンスが相手に訪れることにもなる。そういった意味ではドライバー、チームの双方にとって、スプリントはより気が抜けないものとなったと言えるだろう。

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フェルスタッペンが「全勝」なるか

先ほども触れているが、今季のスプリントでは2レースともフェルスタッペンが優勝している。今回のサンパウロGPのスプリントでも優勝することで、今シーズンのスプリントで「3戦3勝」を果たすことができるかがひとつのポイントとなるだろう。

また、ドライバーズランキング(スタンディング)2位のセルジオ・ペレス(レッドブル)と、3位ルクレールとのポイント差はサンパウロGP前の時点で「5」。スプリントとレースの結果次第では、2人の順位変動の可能性もあれば、両者の順位次第ではランキング2位が確定することもあり得る。フェラーリ陣営やルクレールとしては、ドライバーズ、コンストラクターズの王座が決まってしまったあととは言え、なんとか一矢報いて、来シーズン以降につなげたいところ。

一方のレッドブル陣営としても、これまでのシーズンで未だ達成したことのない、ドライバーズランキングの1位と2位の独占を果たすチャンスでもある。

また、終盤戦にかけて優勝にはわずかに及ばないながら、上向きなチーム状態を作れているのがメルセデス。ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルにとっても、さらなるきっかけを作り、爪痕を残したいレースであることは間違いない。ランキングでは現在ラッセルがハミルトンに15ポイント差を付けての4位。ラッセルとしては7度の世界王者であるハミルトンを上回ってシーズンを終えられた、ということにれば彼自身の評価につながるだろうし、ハミルトンとしてもこのまま後輩の背中を追っているままシーズンを終える訳にはいかない。

そしてランキング6位のカルロス・サインツ(フェラーリ)も、名門を背負うドライバーの意地として、メルセデス勢に割って入る、もしくは逆転する…というシナリオを練っていることだろう。

一方、コンストラクターズランキング争いも大詰めを迎えている。フェラーリはこのレースの結果次第で2位確定の可能性がある一方、中団以下のチームが大混戦となっている。4位を行くアルピーヌと5位のマクラーレンのポイント差は「7」。最終戦まで何が起こるか分からない点差につけている。

さらに6位のアルファロメオと7位のアストンマーティンはわずか4ポイント差で激戦を繰り広げているほか、8位のハース、9位のアルファタウリ、10位のウィリアムズも、大量ポイントを獲得できればこの争いに割り込めるチャンスをまだ持っている。

アルファタウリのピエール・ガスリー、そして日本人ドライバーの角田裕毅の2人にとっても、少しでもランキングを上の順位でシーズンを終えたいところ。とくにガスリーは、2019年のブラジルGPで2位表彰台を獲得するなど、個人的にも相性の良さを見せている。今シーズン、何かと噛み合わないレースが続くなか、そろそろ会心のレース運びを見たいファンも多いはず。時差の関係で日本では深夜から早朝にかけてのレースとなるが、眠気を吹き飛ばすような一戦となることを期待したい。

(↑ロンドンのアルファタウリストアのイベントに参加したガスリーと角田の様子)

サンパウロ(ブラジル)GPは、日本時間11月12日午前0:30のFP1から開幕し、予選は同12日午前4:00から、スプリントは13日午前4:30から、決勝は14日午前3:00からスタートする。

本文:荒大
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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茨城大学卒。福島県内のテレビ局で報道記者を務めたあと、web編集者を務めた2019年からモータースポーツの取材を行う。2020年に独立後、Bリーグの取材を開始し、現在は記事執筆のほか動画コンテンツの編集などで活動中。
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