"Stat Just Happened "は、ある重要なスタッツが実際にコートでどのように展開されたかを検証するシリーズ。その目的は、隠された真実を明らかにし、特定の数字がほかの数字よりも重要な意味を持つことを示すためだ。
今回は、ポートランド・トレイルブレーザーズのウィングのマティース・サイブルに焦点を当てる。
※この記事内のスタッツは現地3月9日時点のもの
40.9
サイブルは、ブレイザーズに加入してからの10試合で40.9%の確率で3ポイントショットを成功させている。
フィラデルフィア・76ers在籍時の彼は過去2シーズンともにオールディフェンシブ・セカンドチームに選ばれており、そのディフェンスの優秀さについて疑う余地はなかった。しかし、オフェンス面では限界があったため、ドック・リバース・ヘッドコーチのローテーションに彼が入れるかどうかは不確かだった。
そして今、ブレイザーズで新たなスタートを切ったサイブルは、一夜にして頼れるノックダウンシューターへと変貌を遂げたように見える。確かにサンプル数は少ない。だが、その兆しは明るく、特に彼の自信につながっている。
ブレイザーズに加入する前のサイブルは、今季76ersでわずか1.3回しか3Pを試投していない。それが今では4.4回に達している。最も目覚ましいのは、試投数だけでなく、効率も上がっていることである。
NBA.comによると、ここ10試合におけるサイブルの3P成功率40.9%という数字は、インディアナ・ペイサーズのバディ・ヒールドに次ぐもので、ダラス・マーベリックスの名手、カイリー・アービングがその後に続く。なかなか優秀な選手たちと並んでいるのだ。
シーズン | 出場試合数 | 3P成功率(%) | 3P試投数 |
2022-23 (ブレイザーズ) | 10 | 40.9 | 4.4 |
2022-23 (76ers) | 49 | 33.3 | 1.3 |
2021-22 | 66 | 31.3 | 2.2 |
2020-21 | 65 | 30.1 | 2.2 |
2019-20 | 65 | 35.7 | 2.4 |
StatMuseによると、76ersでプレイしたレギュラーシーズン245試合で、サイブルが1試合で3本以上の3Pを決めたのはたった1度だけだ。ブレイザーズでの10試合を見てみると、デビュー戦となったロサンゼルス・レイカーズ戦で6本中4本成功、数試合後のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で6本中5本成功と、すでに2度も達成している。
サイブルがブレイザーズでこれまでに打った18本の3Pはすべてアシストされたもので、そのうち7本はデイミアン・リラードによるものだ。この7本に加えて、リラードがディフェンスを引きつけたことによってサイブルがオープンになったショットもある。
サイブルはコーナーからの3Pの効率が特に良く、その確率は47.8%(23本中11本成功)だ。
実況は彼のことを「オーストラリアのブルース・ボウエンだ。素晴らしいディフェンスをし、コーナー3Pを決める」と表現している。
トレード前に76ersで岐路に立たされていたことを考えると、サイブルのオフェンスはこれ以上ないタイミングで復活した。加えて、26歳の彼のこの活躍は、オフシーズンに制限付きフリーエージェントになったときに高額な報酬を得ることにつながる可能性もある。
現在、レギュラーシーズンで残すはあと16試合。競争の激しいウェスタン・カンファレンスでブレイザーズのプレイオフ進出に向け、彼は自信に満ち溢れている。
サイブルは、「このチームで得られる、オープンショットを打ったり、プレイメイキングをしたり、オフェンスの一部になったりする自由が、精神的に僕を解き放ってくれて、それが、過去数年間で僕が積み重ねてきた努力に基づく自信を引き出しているんだと思う」と話す。
「僕がジムでやってきたことを、コーチは見てきた。チームメイトも見てきた。でも、試合で実際にやってみせるまで誰もちゃんと信じてはくれない。だから、早い段階でできるってところを見せる機会があったことは、ある意味、良かったなと思っているよ。プレッシャーから解放されたね」
これは継続していけるものなのか? それは時間が経ってみないとわからないが、現時点では、サイブルの残している数字は幸先の良いスタートといえるだろう。
原文:Trail Blazers star Damian Lillard is taking Matisse Thybulle's game to the next level
翻訳:YOKO B Twitter:@yoko_okc