クリーブランド・キャバリアーズは、イースタン・カンファレンス・セミファイナルでボストン・セルティックスに敗退させられた。これで注目されるのが、ドノバン・ミッチェルの去就だ。
キャバリアーズはミッチェルをとどめたいと望んでいる。プレイオフで様々なケガと闘いながら平均29.6得点と支配的なパフォーマンスだっただけになおさらだろう。セルティックスとのシリーズでミッチェルはベストプレイヤーだった。だからこそ、彼が移籍を望んでいるのは明白だ。
ミッチェルは27歳と全盛期だ。キャバリアーズは好チームだが、いかにして優勝を争えるようになるかという点で深刻な問題がある。ミッチェルは2025年の夏にプレイヤーオプションを破棄すると見られ、その場合はフリーエージェントとなる選手。その時には、どのチームも契約を望むだろう。では、ミッチェルはキャバリアーズ残留を選ぶのか。それとも、勝利により近いチームへ移籍するのだろうか。
『ESPN』のボビー・マークス記者によると、オーナーはミッチェルが夏に4年1億9900万ドル(約308億4500万円/1ドル=155円換算)の延長契約を結ぶことを楽観しているという。延長契約について問われたミッチェル本人は、明言を避けている。
たとえミッチェルが延長契約を結んでも、トレードを要求する可能性もある。キャバリアーズ移籍後、ミッチェルは地元のニューヨーク・ニックスでプレイしたかったと話していた。
ここでは、そのニックスを筆頭に、ミッチェルの移籍先候補をまとめる。
ドノバン・ミッチェルの契約
ミッチェルは2024-2025シーズンが年俸3540万ドル(約54億8700万円)。2025-2026シーズンは3710万ドル(約57億5050万円)のプレイヤーオプションとなっているが、選手が破棄すると見られる。
ドノバン・ミッチェルのトレード候補
ニックス
ミッチェルとニックスは以前から噂になってきた。2022年、ニックスはキャバリアーズに競り負ける前にミッチェルのトレードにトライしていた。
様々な報道によれば、当時のニックスのベストオファーは、RJ・バレット、イマニュエル・クイックリー、保護条件なしのドラフト1巡目指名権2つだった。今回、ニックスはさらに魅力的な条件を提示できるかもしれない。
ポストシーズンのキャバリアーズは得点をあげることに苦しんだ。フロントコートを考えると、ジュリアス・ランドルは完璧なフィットではない。だが、少なくとも攻撃をつくることができ、オールスターに選出された選手だ。何より、サラリーを合わせるために含まれる。
ここで魅力的なのは、ドラフト指名権と、キャバリアーズがもっとフィットするロスターに再編成できることだ。ニックスは最大で8つの1巡目指名権を提示できる。ことしのダラス・マーベリックスの全体24位指名権、そして保護条件なしの2026年、2028年の指名権をオファー可能だ。それで足りなければ、キャバリアーズが見過ごせなくなるまで指名権を加え続けられる。
ミッチェルとジェイレン・ブランソンがバックコートで組めば、ニックスはすぐにセルティックスと東地区のベストチームを競えるほどになるだろう。ミッチェルのような選手が手に入れられるようになるのを、ニックスは我慢強く待ってきたのだ。そして、ミッチェルはさらに向上している。
レイカーズ
ロサンゼルス・レイカーズはドラフト後に全体17位指名権と2029年、2031年の1巡目指名権をトレードに使える。ミッチェル獲得のためのオファーとするには、これらの指名権すべてが必要だ。
ディアンジェロ・ラッセルには来季のプレイヤーオプションがある。彼がオプトインすれば、八村塁と合わせ、レイカーズはミッチェルのサラリーにマッチさせるために最もクリーンな道を手にすることとなるだろう。逆に、ラッセルがオプトアウトした場合はもっと厄介になる。オースティン・リーブスとジェイレン・フッド・シフィーノを含めなければならないかもしれない。
レイカーズにはニックスほどのドラフト指名権がない。そのため、ニックスが全力でミッチェル獲得に動かないことを願う必要があるだろう。3つの1巡目指名権のほかにレイカーズにあるのは、最大で5つの2巡目指名権だ。
複数の情報筋によれば、ミッチェルが夏に延長契約を結ばない場合、レイカーズが彼のトレードに関して調査するとの見方は強い。
ヒート
ミッチェルがトレードを要求した場合、マイアミ・ヒートを選んでも驚く人はいないだろう。素晴らしい気候で州の税金がかからない名門球団。スター選手が移籍する時、ヒートはいつも人気の候補となる。さらに、ミッチェルはバム・アデバヨと親しい関係で、『Bleacher Report』のエリック・ピンカス記者によれば、ヒートは彼の移籍先の希望リストの上位にいるという。
タイラー・ヒーローとハイメ・ハケスJr.を合わせれば、ヒートはサラリーをマッチさせられる。ヒーローは以前から意見を二分させる選手だが、得点力は疑いない。かつてシックスマン賞を受賞した彼は、ここ3シーズン連続で平均20得点超をマークしてきた。キャバリアーズが良かったのは、3ポイントショットが増えた時だ。ヒーローは、そのプレイスタイルへと完全にシフトするのに役立つかもしれない。守備の限界については、エバン・モーブリーとジャレット・アレンがいる。
ハケスJr.は昨夏のドラフトで最もうれしい驚きのひとつだった。昔ながらのポストスコアラーで、素晴らしい基礎からのショットがある。ボールがないところからのプレイのやり方を知っており、キャバリアーズにすぐ適応するはずだ。ヒートとしては、ハケスJr.を手放したくないだろう。だが、ミッチェルはトップレベルの選手だけに、嫌々ながら踏み切るかもしれない。
ドラフト指名権については、ヒートには提示できるものが多くない。ドラフト後にトレードできるのは、全体15位指名権と、2029年、2031年の保護条件なしの1巡目指名権だ。これらの指名権がどうなるか、ジミー・バトラーの残り時間などを考えれば、素晴らしい選択となる可能性はある。
実現すれば、ヒートはバトラー、ミッチェル、アデバヨという素晴らしい主軸を手にし、キャバリアーズはリーグ有数の若手タレントチームとなるだろう。ミッチェルが移籍するなら、キャバリアーズはうまく次のバージョンへと切り替えることができるかもしれない。
原文:Donovan Mitchell trade rumors: Knicks, Lakers, Heat offers that could sway Cavaliers to deal star(抄訳)
翻訳:坂東実藍