伏兵ペレスがメキシコ人初の優勝、ルクレールは陣営のミスで夢散る|F1第7戦モナコGP

Author Photo
Monaco GP winner Sergio Perez and 3rd Max Verstappen
Getty Images

現地時間5月29日午後、FIA(国際自動車連盟)F1世界選手権の第7戦モナコGP(モナコ公国、モンテカルロ市街地コース)の決勝が行われ、シャルル・ルクレールのタイヤマネジメントを見誤ったフェラーリの自滅もあり、伏兵セルジオ・ペレスがメキシコ人として初のモナコGP制覇を成し遂げた。マックス・フェルスタッペンも3位に入賞し、レッドブルがさらにポイントを伸ばした。

世界3大レースと謳われるモナコGPを地元モナコ人として初制覇するルクレールの夢が今年も崩れ去った。ルクレールは、フリープラクティス(FP)3以外ですべて1番手を飾り、予選でもポールポジションを獲得。昨年の悪夢の呼び水となったクラッシュもなく1番グリッドに収まり、今年こそ偉業達成に近づいたはずだった。

しかし、決勝スタート直前にコース一帯を滝のような大雨が襲い、2度の延期を経て15:16に開始となった。セイフティカー(SC)出動により規定通り全車フルウエットタイヤに交換したが、それでも路面には雨が降り注ぎ、川のような水たまりが生まれている箇所もあってか、4分経たずに赤旗でレースがストップしてしまった。

雨脚が弱まるまで1時間近くおいてようやくレースは再開。SC先導でのローリングスタートとなったが、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)とランス・ストロール(アストンマーチン)がクラッシュし、ピットインを強いられた。大荒れの予感もあったが、間もなく路面状況が改善されていった。

先行してインターミディエイトに替えたマシンが路面乾燥も手伝って好タイムを叩き出す一方、上位グループはウエットで粘るも、17周目でペレス、18周目にルクレール、フェルスタッペンらが揃ってインターミディエイトに替えた。20周目を超えた辺りからさらに路面状況が良くなり、ハードに履き替えるチームも現れ始めた。インターミディエイトへの交換を拒否してステイアウトしていたカルロス・サインツ(フェラーリ)が21周目でハードに履き替えると、チームはルクレールにも指示したが、続けざまにピットインしたことで、ルクレールは待機状態に。この陣営の指示ミスで順位を落とした。

レッドブル勢もハードに切り替えると、ついにペレスがトップを奪取。フェルスタッペンもハードに替えるが、宿敵ルクレール同様のシチュエーションで待機状態となり、サインツに遅れを取った。ルクレールも気づけば4番手に後退しており、オーバーテイクが難しいモンテカルロ市街地コースだけに、ピット戦略のミスがのちのちのレース展開にも響くことになった。

各車ペースをあげたいところだったが、26周目にミック・シューマッハが(FPでダニエル・リカルドがクラッシュした)プールシケインでコントロールを失い、アウト側のバリアにリヤを激突。マシンが真っ二つになるほどの大破で路面にはパーツや破片が散乱し、赤旗によりレースは中断した。このタイミングでレッドブルやメルセデスらがハードからミディアムへと履き替えるなか、フェラーリ勢はハードを維持する。

ここからは大事もなくレースは進むが、規定の3時間ルールにより64周で終了。直後にレッドブル勢がピット出口のライン右側に車体を維持する規定に反していたとフェラーリが抗議したものの、結局違反は認められず、順位が確定した。

ペレスが迫るサインツをおさえて首位を守り切り、メキシコ人初のモナコGP制覇を達成した。重い病気にかかった母に勝利をプレゼントするためにこのレースに臨んだと明かしており、感慨深い優勝劇となった。前節スペインGPでのような順位禅譲もなく、フェルスタッペンは3位に滑り込んだ。昨季覇者フェルスタッペンにとってはFPから終始イラ立ちの募るレースとなったが、同僚ペレスの優勝を祝福し、チームとして表彰台にあがれたことを喜んだ。

一方、ポールポジションだったルクレールは4位に沈み、チームのタイヤ戦略や指示ミスで、モナコ人初地元優勝を逃した。逆に2位のサインツは、ペレスに水を開けられることにはなったものの、チームの指示を拒否してピットストップを減らすことで致命傷を回避できた。また、予選Q3でのクラッシュ後、昨年のルクレールの二の舞いを避けるため、ギヤボックスを交換していた。同僚の経緯すら、ルクレールにとっては皮肉な結果となり、今年も"呪い"を断ち切れず、故郷に嫌われる格好となった。

スペインGPで復活の狼煙をあげたメルセデス勢だったが、FP段階から車高を下げた影響で以前とは違うポーパシング現象が発生し、ジョージ・ラッセルが5位、ルイス・ハミルトンは8位と苦しんだ。

メルセデス勢の間に割り込んだマクラーレンのランド・ノリスは6位、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は7位と健闘した。とくにノリスはペースの上がりにくいレース展開のなかファステストラップ(1分14秒693)を刻んでおり、マクラーレンの存在感を示してみせた。日本人レーサーの角田裕毅は、11番スタートだったが、リタイアした3台を抜けば最下位となる17位と厳しい結果になった。

ドライバーズランキング・トップ5は、1位のフェルスタッペンが125点でルクレールとの差を9点差(116点)に広げた。25点を得たペレスは110点ですぐそこに迫っている。ラッセルが84点で4位、サインツが83点で5位となっている。コンストラクターズランキング・トップ3は、レッドブルが変わらず1位(235点)、フェラーリが199点、メルセデスが134点で続いている。

次戦の第8戦アゼルバイジャンGPは、近代都市と中世の城壁が融合するバクー市街地コースを舞台に、現地時間6月10日から開幕。決勝は12日となっている。

▶F1を観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

著者
Author Photo
日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。
LATEST VIDEOS