NBAのレギュラーシーズンが最終コーナーを回り、最後の直線に差し掛かったこの時期になると、全30チームを巡って次の疑問が浮かび上がる。
オールスターブレイク以降に花を開かせることはできたのか。それともブレーキがかかったのか?
すべては3月から4月上旬にかけて勢いを得るか、逆に失うかだ。順位の決定、プレイイン・トーナメント回避、あるいは逆にプレイイン・トーナメント出場に向け、大きな分かれ道となる。
それは今季も例外ではない。ここでは、オールスターブレイク以降の成績が良かった5チームについてまとめる。カッコ内はオールスターブレイク以降の戦績だ。
デンバー・ナゲッツ(15勝3敗)
支配力とスタミナ、気を緩めることない姿勢に西地区トップの成績を目指す今季強さを兼ね備えたナゲッツは好調だ。
オールスターブレイク以降に喫した3つの黒星のうち、2つはケビン・デュラントを擁するフェニックス・サンズが相手だった(2戦目はジャマール・マレーも欠いていた)。もうひとつは、ルカ・ドンチッチを擁するダラス・マーベリックスに2点差で敗れたものだ。逆に、ミネソタ・ティンバーウルブズやサクラメント・キングス、マイアミ・ヒート(2試合)といった相手に勝っている。何より、NBAファイナルのカードとも予想されるボストン・セルティックスとの一戦にも勝利した。
ミネソタ・ティンバーウルブズとオクラホマシティ・サンダーとの競争は、ナゲッツが鋭さを保つ役に立っている。さらに、ニコラ・ヨキッチはスランプを知らない。MVP候補の彼はオールスターブレイク以降に4試合連続でトリプルダブルを達成しており、チームを今に導いている。
ディフェンディングチャンピオンが3月にプレイオフモードのようなのは恐ろしい。
ボストン・セルティックス(14勝3敗)
セルティックスはペースが落ちていない。イースタン・カンファレンス首位の座は確実だ。地区トップを目指すのは、オールスターブレイクから間もなくで終わった。
このリストでセルティックスが上位にいる理由は、もちろん彼らが優れているからだ。そして次に、層が厚いからである。プレイオフを見据えて最近の彼らがしているように、主力選手たちに息をつかせることができ、それでも相手を圧倒できるということだ。例えば、軽いケガでドリュー・ホリデー、クリスタプス・ポルジンギス、ジェイソン・テイタムが試合を欠場しても、大きな問題ではなかった。
サム・ハウザーやペイトン・プリチャード、デリック・ホワイトの最近の活躍、ジェイレン・ブラウンがテイタムのように本能的に試合を支配するのを見ただろうか?
オールスターブレイク以降の黒星は3つだけで、そのうち2試合は合計で3点差をつけられたのみ。もうひとつの敗戦は、相手が王者ナゲッツだった。それ以外は65勝超のペースを保っており、開幕時と同じように力強くシーズンを終えつつある。
ヒューストン・ロケッツ(13勝5敗)
2月終了時点で25勝34敗だったチームが、現在のリーグで最長となる連勝を記録している。3月27日(日本時間28日)にはオーバータイムの末にサンダーを下し、10連勝を達成した。
ロケッツは十分にプレイイン・トーナメント出場の可能性もある。西地区10位のゴールデンステイト・ウォリアーズとは1ゲーム差だ。4月4日(同5日)のヒューストンでの直接対決は、クレイジーな一戦となるかもしれない。
絶好調なのが、ジェイレン・グリーンだ。この間に平均29.8得点を記録している。2試合で40得点超、2試合で37得点をマークした。さらに、ロケッツは足首のケガで離脱するまでチーム得点王だったアルペレン・シェングンを欠いた中で勝ち続けている。
ロケッツは昨季、13連敗と12連敗を喫したチームだ。しかし、イメイ・ウドカ新ヘッドコーチの下、オールスターブレイク以降の正しい方向へのかじ取りを続けられれば、ドラスティックで新鮮な運命の変わり目となるかもしれない。
オクラホマシティ・サンダー(13勝5敗)
MVP候補のシェイ・ギルジャス・アレクサンダー、新人王候補のチェット・ホルムグレンがおり、大きなケガもない。成功のための要素がそろい、野心的なサンダーはすべてが素晴らしい。結果、ウェスタン・カンファレンスのトップを競っている。
そのことが、サンダーをハングリーに保っているのだ。オールスターブレイクが明ける際、サンダーは西地区首位のウルブズにわずか1ゲーム差だった。そのニンジンを追い求めることが、大きなモチベーションとなったのだ。地区首位の座でシーズンを終えること、つまりホームコートアドバンテージを得られるメリットを、サンダーは理解している。若いチームで経験値は低いだけに大きい。
オールスターブレイク以降の成績は、ある意味でサンダーの主張にもなる。彼らは周囲のリスペクトを求めているのだ。サンダーは2016年を最後にプレイオフのセカンドラウンドに進出していない。もしも彼らが地区首位となり、プレイオフ・ファーストラウンドで例えばロサンゼルス・レイカーズと対戦することになったら、五分五分のように見る人もいるかもしれない。
オーランド・マジック(12勝5敗)
2018-2019シーズン以来の球団最高成績は確実となった。次はプレイイン・トーナメントを回避し、プレイオフ・ファーストラウンドでホームコートアドバンテージを手にすることに集中できる。東地区を3位で終えることはできるだろうか?
オールスターブレイク以降に足元を固めてきたチームなら、それも可能だ。ジャマール・モズリーHCが率いるのは若いチームかもしれない。だが、そうと分からない試合が多いのだ。
マジックはオールスターブレイク以降にリーグトップのディフェンシブレーティングを記録している。オールスターブレイク以降の対戦相手のターンオーバー(平均14.6)とペイント内からの得点(44.7)はリーグ5位、セカンドチャンスからの得点(9.4)は同2位の少なさだ。
そこが、他の若いチームとの違いだろう。
ただ、ここ2試合は、パオロ・バンケロとフランツ・バグナーが合わせて3ポイントショット19本中3本成功と低迷している。そしてチームは2試合とも敗れた。それだけに得点でチームを引っ張る2人はこの点をクリアにしなければならない。
マジックは東地区の5位だが、混戦が続いている。連敗が続いたり、ヒートやインディアナ・ペイサーズが急浮上すれば、マジックは困難を抱えるかもしれない。
次点
ミルウォーキー・バックス(11勝5敗)
MVP受賞経験者のヤニス・アデトクンボに、タイトルを熱望するデイミアン・リラードを加えた。展望と違っていたからと、シーズン途中に指揮官を解任した。エイドリアン・グリフィンに代わってドック・リバースが就任してから、当初は不安定だった。だが以降、レイカーズ戦での過ちを除き、バックスと2人のスター選手たちは答えを見つけ始めている。
原文:Nuggets, Rockets among 5 hottest teams since the All-Star break(抄訳)
翻訳:坂東実藍